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【旅】松本本箱で本に浸かる

松本本箱は、松本市街から北に上がった浅間温泉の中にある。松本十帖という、2つの宿泊施設、パン屋からなる複合施設の一画を占める。そもそも浅間温泉自体を知らなかったが、いくつか立派な旅館が立ち並び、昔は栄えたであろう面影を残している温泉場だ。

松本本箱は、基本は宿泊者が利用する。ただ、泊まらなくても12時-16時まで、Webから予約して無料で利用することができる。

QRを読み込ませ、ゲートを入ると緋毛氈が敷き詰められたフロアに本がたくさん並んでいる。入り口付近は、文化や芸術、ファッションなど、眺めて面白い本が目に付く。少し先に進むと、現代のキーワードを並べたコーナーに出る。大テーマ(例えば「世の中どうなる?」とか「食と健康」とか)の下に「働き方」「テクノロジー」「コミュニケーション」など、いくつかの小テーマに沿った本がセレクトされていて興味深い。


昔の旅館をリノベしたんだろうなぁ、廊下の上から下まで本箱になっていて、階段があったり、押し入れがあったり。クッションがいくつも置かれた一人用の読書部屋は多分押し入れか。
球形の椅子もあって、座ってみると、上半身がすっぽりと球に覆われる。中が防音になっていて外の音が聞こえにくい構造。ゆっくり本が読める。


もう少し奥にいくと、「こども本箱」と書かれたのれんがある。くぐると、中はなんと大浴場のようだ。カランや鏡はそのままになっている。本箱が迷路のように置かれていて、絵本がたくさんあって、小さな子どもが楽しそうに見ていた。


また「オトナ本箱」というのれんの先には、またまた大きな浴室空間が。ここも壁一面が本箱だが、天井に鏡を貼っているため、目に入る高さは2倍。まさに「映え」を意識した造り。あえて机は置かず、床に直に座るようになっている。これも、高さを強調する工夫だろう。

ここに置いてある本は、写真集や図録が多いようだ。面白いので、家族3人で本を読んでいるポーズで写真を撮った。まさに、この宿泊施設のコンセプトである「本に浸かる」の具現化ですな。昔、子どもの頃に読んだ本の挿絵に、床から天井まで本が並べられている異国の図書館があったが、それを思い出させた。あの挿絵を見るたびに、うらやましくて仕方がなかった。こんな場所が本当にあればいいな、と。

じっくりと本を読むには1時間では短い。やはりここは、宿泊してお気に入りの本と向き合うのが正解だろう。

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