北欧から学ぶ光を見つめること
昨日実は早上がりになり、
北欧の神秘展に行ってきた。
初日に行くはずだったが
いろいろあって行けなかったので
先輩が気を利かせてくれた。
SOMPO美術館で開催しており
催事をしている百貨展の近くだった。
それを見つけて巡り合わせだ!
と思って行ってみたかったのだ。
1900年前後が北欧美術の黄金期で、
その70点が展示されていた。
ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの
3カ国の展示物があった。
北欧の特徴である日が短いことや
自然や気候などと北欧神話の描写が多かった。
暗い色調の中にも
月の優しい光の反射が弧を描いていたり
美しさがより増す陰影や、
神秘的な描写があった。
例えば、フィンランドは水の国と言われていて
歴史や民族伝承において
重要な役割を果たしていた。
芸術や文学などで
神秘的な水の生き物が登場していたようだ。
中でも考えさせられた作品があった。
ハルフダン・エーデディアスの
夏、テーレマルクのポー という作品だった。
説明書きには
『おとぎばなしや
同世代の文学を思い起こさせるような
空想的な雰囲気、
色彩には描かれた風景が
この現実世界とは
切り離された別世界のように感じさせる
この場所がどこであるかは
さほど重要ではなく
世界がどうあるべきか
あるいは我々が世界をどう見るべきかと
いうメッセージが重要だ
彼は21歳でこの世を去った』
とあり、
少ない一生の中で
描かれている世界観に
とても感動した。
この世界の中で起きていることを
自分がどう捉えるのか
それが自分の世界を作っていると
教えてくれているような心地になる。
またテオドール・キッテルセンが描いた
不思議な世界も興味深かった。
人々が恐れてきたペストや
不思議なトロルや妖精などを
描いており
まさにこの展示会の
題名である北欧の神秘を感じた。
展示の中で
彼が描く作品をショートムービーに
まとめられていたものがあった。
それは壮大な自然の中に
不気味なくらいぽつりとそびえ立つトロルや
少し恐怖を感じるような
たくさんのネズミが逃げ惑う姿など
初めは怖さを感じるが
タッチが柔らかく
ずっとみていると何故か引き込まれる
親しみやすさのようなものがあった。
展示されていた3点の作品だと
トロルのシラミを取る姫 は
暗い室内の中で
あたたかさや優しさを感じるものであった。
彼のことが気になったので
終わったの後に作品を検索してみると
色々な作品があり、
自然の中にあたたかさや
優しさを感じさせるもの、
可愛らしいものもたくさんあった。
作品によって
メッセージ性があるものと
そうではないものがあり
その二局性も魅力的なものだった。
この度見た北欧展でも
暗闇の中の光の描写は心にぐっとくるものがある。
テート美術館展を観た後だからもしれないが、
闇の中の光は非常に美しかった。
厳しい自然の中で
その厳しさを神秘性に込めて
妖精や神話などの描写をしていたり
目には見えない壮大なものに
対する表現がとても心に残った。
私は神社が好きなのだが
その中でも鞍馬寺の言葉で
尊天=宇宙生命のエネルギー
という言葉がある。
鞍馬寺に訪れると
目には見えない存在の力を感じるのだ。
私たちは目に見えない力や
その存在によって生かされているのだと
改めて思い出した。
自然の中に入ると
偉大な力を感じる気がするし、
何かに守られている心地さえする。
自然と共に生きる
という都会にいると
忘れ去りそうなことを
思い出させてくれる展示だった。
東京はビルがたくさん連なっていて
人の数も多く、
いつも誰かが急かされているように見える。
道端にある植物でさえも
なんとなく無機質に感じて
あたたかさや優しさを感じない気がする。
東京に集まる人は
東京で生まれ育った人よりも
別の地方からが多いらしいが、
それぞれ個々の存在で孤独な印象があった。
きっと私が東京に就職していたら
寂しさのあまり心を病んでいたかもしれない。
私が大阪で生まれ育ったからなのか、
お店の接客でさえも
あまりあたたかさや
親しみやすさを感じない気がする。
だからこそ、この展示では
北欧ならではの光を
見つめる姿勢についてが印象的であった。
暗闇の中でも光というものを
見続けて描くという美しさや、
あたたかさや優しさ、
そして目に見えない何かという神秘的なものに
守られている心地よさを感じた。
東京出張で見れたことをとても幸せに思う。
どうか東京に訪れることがあれば
是非おすすめしたい。
展示を見終えた後に
あなたは目に見えない
神秘性に包まれている心地になるはずだ。
あなたはひとりではない
何かに守られているのだと思うかもしれない。
是非その体験に出逢いに行ってほしい。