のりと私
そうは言っても無職。なんてったって無職。
「死にたいんだ。死ぬと思ってたから金も遣いきった。」
始めにのりはそう言った。
最初の一年は怒涛の濃さだった。私を信頼してもらうためにありとあらゆる手を使った。つもり。毎日仕事終わりに電話して(これはうざがられたけど)色々な話をした。のりは冗談ばかりで私はそれまでにない位笑った。
付き合ってしばらくして、喧嘩をした。愛してると言った私に
「愛してるのと依存とは違う。依存なら要らない。」
とか訳の分からない事を言ったので、私はキレた。
「私以外頼れないとか言って心配させて、突き放す位なら、最初から私を頼らないで。」
キレる事に慣れていない私は、電話ではなくメールでそう伝えた。
泣いていたら電話が掛かってきた。
「泣いてると思って。」
まぁ、そうゆう、素で駆け引きをやってのける人だ。のりは。