1階が苦手
かれこれ平屋の一軒家からアパートタイプまで、色々と住んできたのだが、現在は縁あって二階建ての一軒家で暮らしている。
結論から言えば、私は地面との距離が近い場所が苦手だ。色々な家に住んでみて、自分をダシに検証した結果、やっと最近気がついたことだ。
ちなみに夫は、地面との距離が離れていると落ち着かないという自覚があるらしい。平屋の一軒家に住んでいたときは、とても楽しそうに快適に暮らしている様子だった。その平屋はいわゆる古民家で、レトロ可愛い造りだったのだが、やはり長く暮らすとなると、私の心身には負担が大きかったようで、次に引っ越した先が3階建の3階だったのだが、その部屋に入った途端に熟睡できるようになり、体がホッとして緩んでいくのを痛感したのだった。
これらの原因について色々と考えてみた。
生まれた時の家が、アパートの2階だったためだろうか。
平屋に慣れていないせいだろうか。
地面に近いところで眠るのに慣れていないからだろうか。
ちなみに私はキャンプなどにも微塵の魅力も感じないタイプで、いかに高級キャンプのグランピングだとしても、全く行きたいとは感じないのである。自然の中に遊びにいくのは構わないが、寝るときは地面から極力離れて寝たいのである。ピクニックなどをしてレジャーシートを敷いて寝転ぶというのも好きじゃない。そもそもピクニックが好きじゃない。紫外線にアレルギーがある私は体を守らなければならないし、日に晒されていると頭痛も酷くなってくるので、全然リラックスしようがない。
私が1階、つまり地面に近い場所が苦手なのは、そういった外が苦手、アウトドアのレジャーが好きじゃないなどの理由からくるのか、はたまた偶然にも生まれた時から長く暮らした場所が2階だったからなのか、いったい何が原因でそんなにも地面に近いことが苦手なんだろうかと考えていたのだが、つい先日奇妙な記事をネット上で見かけた。
なんと飛行機に乗っているような上空は、地面にある邪気を受けないという話なのであった。
この話を読んだ時、1階より2階、2階より3階がホッとする原因がここにあるように思えたのだ。単なる偶然でこの記事を見かけたのだとは思うのだが、この世に偶然はないのだとするならば、悩んでいた答えがひょいと目の前に提示されたことになる。
そうか、私は体感的に、「軽い」と思える地面から距離が離れているところを、自然と好んで、自分を休ませていたんだなと、急に腑に落ちてしまった。
そうなのである。この「自分を休ませる」というのがポイントだったのだ。
外出して道を歩いていたり、自然の中に遊びに行ったりしている時は、あまり感じないのだが、いざ夜に寝るという時になると、この地面との距離が急に気になるのだ。心身ともにきちんと休ませることに若干の執着とも言えるこだわりがある私は、どうやったら自分をきちんと休ませてあげられるのか、その環境に敏感だったのかもしれない。
今の二階建ての家でも、1階に長くいると疲れてしまう。2階に上がって、床に寝転がると、ホッとする。本当に具合いの悪い時は雨戸も、部屋のドアも全て閉めて寝ると、シンとしてきちんと自分を休ませてあげられている感覚になる。
どうやら今の家では2階という場所が、私の要塞であり、最後の砦のような、大切な場所のようだ。
将来、家を設計から考えることになったら、絶対に1階はガレージなど、日常の暮らしと切り離せるものにしたい。玄関は2階。ポストは1階。玄関チャイムも1階。門と玄関の距離は遠ければ遠いほどよい。
え、それは、豪邸では。
いやいや、仕方あるまい。終の住処を理想に仕上げるために、妥協なんてしてはいられないのである。もう日本じゃなくてもいいし。