箸を使い果たす
夜、小坪のあかもくうどんを茹でて食べようとしてキッチンに立ちあれこれ準備していたら、グキっと嫌な音が鳴った。手元を見てみれば、持っていた箸の先が折れている。何かの拍子に自分の体に軽く当たったら折れてしまったようだ。5年くらいは使っただろうか。もうしっかり使い果たしたと言える気がした。
これまでの人生、適当すぎる箸しか使ったことがなかったわたしが、普段使うものを見直したくて、ちょっと値段がする箸を選んで買ったのがこれだった。中川政七商店の拭き漆の箸。100円ショップレベルの箸だったところからの2000円弱の箸の購入だったので、当時はちょっと贅沢をしてしまったかなと思いながらも、気に入って買ったのを覚えている。以来毎日のように使ってきた。
折れてしまった箸を捨てようとして、そういえば箸は日本の伝統的なカトラリーだし、何か捨て方の作法のようなものがあるのではないかと検索する。
すると「箸供養」というものが出てきた。針供養は聞いたことがあったが、箸にも供養の行事があるとは知らなかった。神社やお寺でお焚き上げをしてくれるところがあるらしい。ふむふむとネット記事を読んでいけばなんとその「箸供養」の日は年に一度、8月4日だというのだ。思わず「うわっ」と声が出た。今日はその8月4日なのである。箸供養の日に、長く愛用してきた箸が折れてしまった。なんということだろう。
箸が折れたのは夜で、時間も遅く、箸供養のお焚き上げに持って行くのは不可能だったので、他の方法で箸を処分する方法を探し、白い紙と塩でお清めをして燃えるゴミに出すことにした。
感謝の気持ちを込めて、折れた箸に塩を振り、丁寧に白い紙で包む。
ありがとう。美味しいご飯が食べられました。
さて、お箸だが、結局また同じシリーズを買い直すことになりそうだ。
中川政七商店の拭き漆シリーズのお箸。折れたものは削りという形で細めを使っていたはず。軽くて使いやすかった。さて今回は色や形はどうしようか。八角にするか、また同じ削りタイプにするか。色は濃いめか、薄い色か。
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