寒さを味わう
つい先日、ワクワクすることがほとんどないというような話をしたばかりだったが、家の2階から階段を降りているときに、突如思い出したことがある。
そうだ、私は寒いだけで、心の底から踊り出したくなるような幸福を感じる人だった。
もしかして、これが私の「ワクワク」なんじゃないだろうか。
引き寄せの法則系の話からくる「ワクワクに従う」というような話は、行動や行為、何かの目的などについて考えていることが多い気がしていたのだが、そうじゃなければいけない理由もないはずだ。
私は寒いことにワクワクする。
寒い。それはただそれだけで私に生きる喜びを与えてくれるもの。
寒い。それは私になんだってできるんだという気持ちにさせてくれるもの。
寒い。それは心も体もどんどん浄化されてクリアになっていくもの。
寒い。それは私を穏やかにしてくれるもの。
寒い。え?もういい?ああそう?そうね、永遠に続けられる気がするからこの話。やめとこうねこのあたりで。
そういうわけで舌の根も乾かぬうちに私は「ワクワク」らしきものを見つけた。
寒いこと。冬であること。
しかし寒いと言っても感じ方は人それぞれであろうから、一応基準を示しておく。
私が一般的に夏のような格好と言われる服装で快適だなと感じる気温は21度くらい。
それ以上は暑い。27度を超えたらかなり暑いと感じる。30度を超えたら人が生きる気温じゃないと感じている。
寒いなと感じられる気温は16度から。つまり17度くらいから21度くらいまでは、暑くも寒くもなく薄着で心地よく過ごせるなと感じている。
しかし昨今特に関東の湘南エリアでは17度を下回る時期は非常に短い。想像しただけでうんざりする話である。
1秒でも長く寒い時間を味わい尽くさねばと毎年必死になるのだが、あっという間に暑い季節に逆戻りするのだ。なんとも腹立たしいことである。
つい先週まで、暑すぎて2階にちょっとした用事で往復するだけでもサウナに入ったように滝の汗をかいていた。泣き出したくなるような拷問の季節であった。実際、2階に行かなければいけない用事を思い出すたびに心が痛いほど苦しく辛くなったし、何度か本当に目から涙がこぼれ落ちた。それくらい、私にとって暑いことというのは心身への悪影響が大きい。
冬の真っ白な曇り空は私の心を天にも登るような輝きで満たしてくれる。
頭おかしいのか?と思われそうで今まで隠してきたのだが、私は夏の青空を見ても一向に気分が上がらない。むしろジェットコースターレベルで急降下である。夏には本当に生きる意味を見失う、もう生きていることがどうでも良くなる。これは例えではなく、本当にそう感じてしまうので、一種の夏によるうつ病のような状態なのかもしれない。
しかしそれが気温が下がり、空が曇り、今日のような冷たい雨が降るような頃になると、生きているだけで全てのことに感謝したい気持ちになるし、心は本当に晴れやかになる。一般的に冬の寒空の下の方がうつ病になる確率が高いと言われているようなのだが、私は明らかに真逆なので、ちょっと人としてどこかおかしいのかもしれないが、もうそんなことは一切気にしないことにした。
私は寒いのが好き。寒いことこそ生きる喜び。寒いことが私を幸せにしてくれる原点。
もう、そんな私を素直に認めてあげることにした。