35.「令和の白拍子」清く、正しく、逞しく〜宝塚音楽学校ライフ(予科生編⑥)
令和の白拍子こと、花柳まり草こと、まりちゃんです。
あっという間に12月!
街にはクリスマスソングが流れ、おせちの予約も始まりました。
皆様、お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。
前回は、「宝塚音楽学校生あるある」の一つである睡魔との戦いについてお話しさせて頂きました。
こちらの記事も皆様に面白がって頂き、とても嬉しいです。
今日は「我らは武庫川のほとりでどんな一日を過ごしていたのか」というテーマの続きです。
睡魔との戦いが繰り広げられていた授業中のことをご紹介しましたので、今回は放課後の様子についてご紹介したいと思います。
よく同期とも話すのですが、「ツライ」「死ぬ」と強く感じた時の思い出ほど、後々になって振り返ると盛大な笑い話となるんですね笑。
現在も同期と集まったりするのですが、予科生時代の思い出話には一頻り花が咲きます。
こうした状況ですのでなかなか集まることが難しくなってしまいましたが、またみんなと一緒に大笑いできる日が来るといいな、と思っています。
それでは、はりきって参りましょう!
■武庫川の1日〜放課後の大規模集会
睡魔と戦いながら1日の授業を終えると、すぐに帰寮できるかというとそうではありません。本科生の方が全員帰られてから、また予科生全員で寮に戻るのです。
(ちょっとここら辺の記憶は曖昧なのですが、何人か残っていらしても、ある程度の時間になったら帰っていたような気もします。)
本科生になると、早朝と放課後に自主稽古ができるようになります。私も大体20時過ぎくらいまで、退校時間の目一杯まで学校に残っていたような気がします。
予科生は寮に帰るまでの2〜3時間を学校で過ごす訳ですが、その過ごし方も「武庫川ルール」によって厳密に決められておりました。
その過ごし方いかんによっては、本科生の方からのご指導が入ることもしばしば。ヒエー。
武庫川ルールの規則に違反した失敗事例が沢山累積してしまうと、放課後のビックイベントととして予科生全員VS本科生全員の「大規模集会」が開催されました。
最初はひたすら恐れ慄いていた「大規模集会」ではありましたが、だんだん回数を重ねてきますと「おぉ〜今日は大規模集会かぁ」とお祭りイベントに参加するような妙にウキウキとした心持ちになっていきました。
総勢100名弱の女子たちによる激しいエネルギーの応酬は「あぁ、私は今、生きている」という感覚をまりちゃんに呼び起こし、なんとも言えない恍惚感を伴うようになっていったからです。(変態か)
数多のエピソードが繰り広げられた「大規模集会」。その中には、忘れようとしても一生忘れられない様なお話が沢山あります。
まりちゃん自身には、残念ながら面白い話は全くないのです。ただ同期の中にはツワモノがいて、数多の「武勇伝」を残している子もいます。
私もそれ位の図太さと心の余裕があれば、もっと生き方が変わっていたのではないかとつくづく思います笑。
そうしたツワモノ達の中でも、同期を巻き込んでしまう位の破壊力を持ち合わせていた子もいました。
仮に、そんなツワモノ同期をAちゃんと致しましょう。
本科生の方からありがたいご指導をいただいている最中、「笑ってしまう」というのはご法度でした。人から怒られている時にヘラヘラ笑えるって、なかなか肝が座っていますよね笑。
でも、Aちゃんは笑ってしまう子だったのです。
多分、すごく冷静に物事を見れるタイプだったので、自分が怒られている状況自体がすごく面白くなってしまうのでは?と推察します。
とある「大規模集会」の日。
その日はAちゃんがしでかした失敗について本科生全員から集中的にお話をして頂いていました。しかも「こちらが真剣に話をしているのに、なんでそんなに笑っていられるの」という様な内容だったのです。
そんな時に・・・そうなのです。あろうことかAちゃんは笑ってしまったのです。
「えええええ?????!!!!!!!!!!!!なんで笑っていられるの?!」と本科生の皆様。
そりゃそうなります。
そして
「ちょっと、この顔、同期のみんなも見てみて!」
と、本科生の皆様に振り向かされ、同期全員に顔を向けたAちゃん。
あろうことか・・・私たちの方を見たAちゃんは・・・さらに・・・笑ってしまったのです・・・。
こうなると、我らにとってもただの拷問です。
もちろん笑っている場合ではないのですが、振り返ったAちゃんの顔がおかしくておかしくて。Aちゃん自身も必死で笑いを堪えようと頑張っているのですが、もう、確実に笑っています。
いっそのこと、全ての理性を放り出して大声で笑ってしまえばどんなに楽か・・・。多分、Aちゃん以外の同期は、全員同じことを考えていたと思います。
「・・・っっ!!!すみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
笑っていることを悟られないように、いつもよりも大声を出して、いつもよりも深々と頭を下げて謝りました。
肩を並べて謝っている同期の肩も震えているんです。
笑顔を見られたら我らも「おしまいDEATH」から、笑顔を隠すために全集中しました。全集中しすぎて、血管がキレそうになり、腹筋が崩壊しそうになりました笑
「笑い」って、堪えれば堪えるほど湧き上がってきてしまうものなんですよね。
■武庫川の1日〜放課後の反復活動
そんな「大規模集会」の開催されない日は比較的穏やかに(?)「武庫川ルール」に則って「反復活動」をして過ごしていました。
まりちゃんは、この「放課後の反復活動」を遵守し、割と精力的に頑張っていました。おかげで、物凄く足腰が疲れました。
ただ、他の同期達は寮で係の職についていたり、大変なお掃除場所を任されていたりしていたので、私は割と楽をさせてもらっている方でした。
ですから、自分が他の同期のためにできることといえば、この「放課後の反復活動」だけだったのです。
ただ、この活動を頑張りすぎたために、まりちゃんもついに「とある役職」を任されることになってしまい、まりちゃんの予科生活は暗黒の淵に落ちていくことになります。が、これはまた別のお話。
「放課後の反復活動」をしている最中のまりちゃんの精神状態は「修行僧」のようでした。
2〜3時間の間、ひたすら反復活動を繰り返す内容なのですが、その様子は托鉢をしながら街を練り歩く修行僧。もしくは、山岳修行に臨む修行僧。
そんな反復活動の最中、私は色々なことを考えました。
「東京のみんなはどうしているか」「隣の宝塚大劇場はどんなところなのか」「あのスターさんは今頃何をしているのか」「自分はこれからどうなるのか」「私は今生きているんだ」「眠い」「今日の演劇のセリフ、なんだっけ」「早くカロリーメイトが食べたい」「日曜日まであと何日だっけ」
流れて、留まり、また流れていく思考の数々。
そうかと思うと「起きながらにして瞑想をしている」ような状態にもなり、自我を手放せたような気分にもなりました。
頭の中の声が、急にピタッと止むのです。
実際に自分がしている動作と、心・脳味噌・思考が全く別のところにあるような・・・あれは不思議な感覚でした。
当時「一年経てばこの生活が終わる」と頭では分かっていても、出口のない道を歩いているようにも感じていました。
未来に対する不安や、現実の自分に対する焦り、過去に対する思慕・・・。
湧き上がってくる様々な気持ちと向き合い、黙考しながら、ひたすら同じ動作を繰り返していました。
ある意味、必要な時間だった様にも思います。というか、そう思おうとしていたと思います。
だから、「修行僧」と自分で自分を意味付けしました。
「すべての時間が必要であり、無駄なことは一つもなく、今の自分を作っている大切なものなんだ」と自身を納得させられなければ、
「んだよぉぉぉ!!!!こんなことやってらんねぇよ!!!!こんなことやるために宝塚に入ったんじゃないよぉぉぉおおおおお!!!!」
という様な気持ちになってしまいますから笑、その流れていく時間に必死に意味を見出そうとしていました。
今振り返ってみて、その時間に意味はあったと言えるし、全くなかったとも言えます笑
そういうこと、皆様もご経験ありますでしょうか???すごく興味がありますので、よろしければ是非教えてください☆
さ、というわけで本日はこれ切り・・・是非、次回も逢いにいらしてください♪
ドタバタ武庫川ライフ、続きます!!
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