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31.「令和の白拍子」清く、正しく、逞しく〜宝塚音楽学校ライフ(予科生編②)

令和の白拍子こと、花柳まり草こと、まりちゃんです。

あっという間に11月に入りましたね!

1月から11月まで、ワープしてしまったような気がします。

仕事が沢山キャンセルになったり、ままならないことも沢山ありました・・・。
でも、それだけでなく、楽しいこともやっぱり沢山ありましたし、新たに気づかされたことや学びも一杯ありました。

「今年一年、何にもできなかった」という自己評価で今年を締めくくりたくない!・・・と、しみじみと思います。

お天気だって、晴れの日もあるし曇りの日もあるし雨の日もある。
でも、どの空模様もそれぞれに味があり、美しいと思います。
もちろん、災害になってしまうほど大変な時は、心して対処しなければなりません。

いつまでこの状況が続くかはわかりませんが、とにかく今年は「こういう年回りだったんだ」と、感情的にならずに冷静に見つめ直したいと思いますし「生きてるだけでめっけもん」だと心の底から思いますし感謝しています。

そして、皆様が元気でお過ごしになられること、それを切に願うばかりです!

・・・さて。

前回の記事では、東京を旅立って宝塚音楽学校に入学するまでの準備期間について、また「武庫川ライフ」で身についたと思われる後天的能力について書かせて頂きました。

記事を読んでくれた同期から「わかるわかる!」と嬉しい反響も頂きました笑。

よく巷で「厳しい」と言われている「すみれメソッド」ですが、私も入るまでは「何が、一体、どう厳しいのか」ということが全く想像できませんでした。

全貌をお話しすることはできないのですが、今回は入学式を迎えるまでの「武庫川ドタバタ騒動」をご紹介したいと思います。

それでは、元気に参りましょう!

■入学するまで、大騒ぎ

無事に「すみれ寮」の入寮手続きも済み、東京から送った荷物を整理して、マイルームを完成させたまりちゃん。

基本的に寮は二人部屋なので、どんな同期が同室なのかドキドキワクワク。ただ、コミュニケーション能力がものすごく低い私が一番気にしていたのは、同期と、特に同室になる子とうまくやっていけるかということでした。

私と同室だったのは元雪組の透水さらさちゃん。

彼女はとっても明るくて気さくで、すぐに打ち解けて話をすることができました(後に同期の中でも「ムードメーカー」的存在になるくらい面白くて素敵なんです♫)。

入学してからは楽器の授業では同じ三味線専攻になり、彼女と二人でお稽古を頑張ることになりますし、その後もとっても縁が深くなる同期です。

さらさちゃんはとってもコミュ力が高くて明るいので「素敵な子と同室でよかった」と、心底ホッとしたことを覚えています。

音楽学校は入寮したらすぐに入学式、というわけではなく、入学式を迎えるまでに「寮生活での過ごし方」や「学校での過ごし方」を学ぶガイダンス期間があります。

このガイダンス期間は、一つ上の先輩である「本科生」の皆様から教えを請うことになっていました。

よく「上下関係が厳しい」と言われている宝塚ですが、何がどう厳しいのかはベールに包まれたまま・・・。本当にドキドキして本科生の皆様とのご対面を待っていました。

そして、いよいよ迎えた初対面の時。

うー、なんと形容したらよろしいのでしょうか。

とにかく

一瞬で悟りました。

「あぁ、こういうことなんだ・・・(遠い目)」と。

一言で言うと、カラスはね、白いんです。

まりちゃんの目には、地獄への一本道が真っ直ぐに伸びているのが見えました。

■すみれ寮ジャングル

入学してから、ていうか入学する前から、この状態が毎日続く。

学校だけではなく、寮でも、外出していても。

この生活から脱落せず、無事に入学式を迎えられるのか。

同期と一致団結して、この武庫川サバイバル生活を完走することができるのか。

それまでの人生の中で、あの本科生の皆様との初対面の瞬間ほど「絶望」という言葉をかみしめた時はありませんでした。

でも不思議なくらい、今は同期たちと大爆笑しながら当時のことを話せるんです。話が尽きないんです。一個上の皆様にも、とっても仲良くして頂いています。

もちろん自分たちも本科生になった時には、同じように後輩の予科生に接するわけです。先輩になってみてよく分かったのですが、本科生には本科生の大変さがあります。「あぁ、先輩方には手取り足取り教えて頂いたし、沢山ご迷惑をおかけしたんだなぁ・・・」と感じたのをよく覚えています。

なので、この独特の生活様式も「一種の通過儀礼」なんだと私は受け止めています。

宝塚歌劇は、一組あたり約70人の生徒が在籍しています。

舞台も広く、舞台機構は複雑で、ちょっとした気の緩みが大事故に繋がりかねません。

安全に、かつ、大所帯でも息を揃えて最高の舞台をお届けするために「苦難に立ち向かう時はみんなで一致団結する《連帯責任》の意識」「カラスは白い、という理不尽も受け入れられる忍耐力」が本当に必要なんだとつくづく思うのです。

「あの時期があったからこそ…」という感謝は尽きません。

まぁ、後から振り返るからこんな風に冷静に色々なことを感じられるわけで、当時の「すみれ寮ジャングル」にぶち込まれたまりちゃん達にそんなことを感じる余裕は一ミリもございませんでしたが。

「同期」はたちまちに「戦友」と化し、いつもみんなで大童。

予科生が集まるミーティングルームは、壁一面に規則共有事項が書かれた紙が貼られ、まるで「軍事戦略室」

そして、本科生の皆様からの熱い熱いご指導…。

寮では係のお仕事もいくつかあるのですが、その係に任命された同期はさらに大変そうでした。また、入学時の成績上位者は「委員」として同期の顔となり、まとめ役をしてくれるようになりました。顔を合わせたばかりのクセも強けりゃアクも強い同期達をまとめて引っ張って行ってくれて、代表で怒られたりもしてくれて・・・そんな委員や寮委員の同期の活躍ぶりには本当に頭が下がりました。

まりちゃんは、そういった大変なお役目は免れたので、ひたすら軍事戦略室のお掃除をしていた記憶があります(お掃除、好きなのです)。何かみんなの役に立ちたい!という思いが強かったんだと思います。

■制服を縫う

てなわけで、日々を生き延びるのにも精一杯。睡眠不足で迎える朝はもはやデフォルト。カロリーメイトがお友達(予科生の時には一生分のカロリーメイトを食べました)・・・そんな毎日ではありましたが、同期のおかげてなんとか入学式前夜を迎えることができました。

音楽学校の制服は、白いシャツの上から独特のジャケットを羽織るのですが、そのジャケットを着た時に、見えて良いシャツの袖口の長さが決まっています。

その長さが一番バランスがよく、だらしなく見えず、美しく制服姿がおさまるのだと思います。(そう思いたい)

が、もちろんそれにはちょっと手を加えないといけません。

そう、袖口にスナップを縫い付けるのです。

空も白みかけて来た頃、「すみれ大戦(予備戦)」を終えた戦友達と共に、眠い目をこすりながら、いよいよ目前に迫ったゴール(入学式)に向けて準備をする。しかも細かい作業ゆえ「ぬあぁぁっ!!!」と投げ出したくなる衝動を必死に押さえながら・・・。

・・・あの時の謎のテンション(喜びと達成感と苛立ちのミックス)を、私は一生忘れることはないでしょう。

さ、というわけで本日はこれ切り・・・是非、次回も逢いにいらしてください♪
ドタバタ武庫川ライフ、続きます!!

いよいよ入学式を迎えます!!

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