【菊花】女性のカラダと365日のハーブ
2月14日は、日本の暦ではまだ冬の季節に位置しており、二十四節気の「立春」と「雨水」の間の時期にあたります。「立春」は春の始まりを告げる日で、新しい生命が息吹き始める季節の変わり目を意味します。一方、「雨水」の時期は雪が溶けて雨が多くなり、自然界が徐々に春に向かって目覚める頃です。この時期にはまだ寒さが残りますが、日差しの温かさや早春の訪れを感じさせる兆しも見られます。
2月14日といえば、世界的にはバレンタインデーとして知られています。日本でもこの日はチョコレートを贈り合う文化が根付いており、愛や友情を表現する大切なイベントの一つとなっています。このような季節の節目と特別な日にちなんで、今回は「菊花」をご紹介します。
菊は日本で古くから愛されてきた花であり、秋の季節を代表する花として知られていますが、その美しさと、健康や長寿を象徴する意味合いは一年を通じて多くの人々に親しまれています。特にこの時期に菊花を取り上げることで、冬の終わりを告げ、新しい季節への移り変わりに対する期待感を込めたいと思います。
季節の悩みと菊花
冬の季節は、寒さによる肌の乾燥や血行不良、そして日照時間の短縮による心理的な影響など、女性特有の悩みが顕著になりがちです。肌の乾燥は小じわの原因となり、血行不良は冷え性を悪化させ、心理的な影響は冬季うつや不安感を引き起こす可能性があります。これらの悩みに対し、菊花はその解決策として注目に値します。
菊花には、美肌効果や血行促進、リラックス効果が期待できる成分が含まれています。特に、菊花のエキスは肌を潤す効果があり、冬の乾燥から守ってくれます。また、菊花茶は体を内側から温める効果があり、冷え性の改善に役立ちます。さらに、菊花の香りには心を落ち着かせる作用があるため、リラックスして心身のストレスを緩和するのにも効果的です。
基本情報
学名:Chrysanthemum
原産地:アジア、特に中国が原産地とされており、日本にも古くから伝わっています。
形態:多年草で、茎は直立し、分枝が多いことが特徴です。菊の種類によっては、一年草のものもあります。
使用部位:主に花が利用されますが、葉を食用にする文化もあります。
収穫時期:一般的には秋に花が咲くため、秋に収穫されます。しかし、品種によっては春や夏に咲くものもあります。
名前の由来
「菊」の名前は、その美しい花が秋に咲くことから、古くは「九月」を意味する「きくづき」と関連付けられていたとされます。また、菊は古代中国で長寿や不老不死の象徴とされ、その美しい姿から多くの詩や文学作品に詠まれてきました。日本に伝わってからも、その美しさと象徴する意味から多くの人々に愛され、特別な花として位置付けられてきました。
別名
秋菊(しゅうぎく):秋に咲くことから、この時期特有の菊を指す名前として用いられます。
金花(きんか):中国由来の名称で、金色の花を意味し、菊の美しさを象徴する名前です。
長寿花(ちょうじゅか):菊が長寿の象徴とされることから、健康や長生きを願う意味を込めて呼ばれることがあります。
栽培
適切な場所の選定:
菊花は日当たりが良く、風通しの良い場所を好みます。直射日光が当たる場所が適していますが、夏場の強い日差しは避ける必要があります。
土壌の準備:
排水性と保水性に優れた土壌が適しています。一般的には、腐葉土や堆肥を混ぜ込んだ肥沃な土が望ましいです。
植え付け:
種まき、苗の植え付けのどちらも可能です。種まきの場合は春か秋に行い、苗の植え付けは春が適期です。
水やりと肥料:
土の乾燥を避け、定期的に水やりをします。乾燥に弱いため、特に夏場は注意が必要です。肥料は生育期間中に月に1〜2回、液体肥料を与えると良いです。
選定と注意点:
適切な高さで摘心(先端を切り取ること)を行い、茂りすぎないように管理します。病害虫の予防にも注意し、必要に応じて適切な対策を行います。
収穫
収穫:
収穫は、朝の早い時間帯に行うのが理想的です。露が乾いた状態で、花が最も鮮やかな時に収穫します。
清掃:
土や虫がついていないか確認し、必要であれば軽く洗い流してから水気をしっかりと取り除きます。
準備:
乾燥させる前に、余分な葉や茎を取り除きます。菊花の花びらが密接していないように少し広げておくと、乾燥が均一に進みます。
乾燥:
直射日光は避け、湿度が低い環境を選び乾燥させます。
別の方法として、乾燥剤(シリカゲルなど)を使用して、密閉容器内で菊花を乾燥させることもできます。この方法は、花の色をより鮮やかに保つことができます。
確認:
乾燥には数日から数週間かかります。定期的にチェックし、完全に乾燥しているか確認します。花びらがパリパリになったら乾燥完了です。
保存:
完全に乾燥した菊花は、密閉できる容器や袋に入れ、直射日光を避けた涼しい場所で保存します。
利用の歴史
菊花は、古代中国で約3000年前から栽培されていたとされ、非常に長い歴史を持つ花です。最初は薬用植物としてその価値が認められ、後に美しさを愛でる観賞用としても栽培されるようになりました。中国では、「菊に酒を浸して長寿を願う」という習慣があり、菊は長寿や不老不死の象徴として重宝されてきました。
菊花は中国から日本に伝わり、日本でも古くから栽培されてきました。平安時代には、貴族の間で菊花を愛でる文化が発展し、「菊の節句」として9月9日に菊を楽しむ風習が生まれました。この風習は現在も続いており、菊花展や菊人形など、菊を用いたイベントが秋に数多く開催されています。
また、日本では菊を用いた様々な伝統芸術や工芸品が生まれました。例えば、菊花を模した陶磁器や、菊の紋様をあしらった着物などがあります。さらに、日本の皇室と菊花は深い関わりを持ち、菊花紋章は皇室の象徴の一つとされています。
菊花は、その美しさだけでなく、薬用としての効能も注目されています。古代から伝わる菊花茶は、視力回復や風邪の予防、リラックス効果など、健康に良いとされてきました。
特徴的な成分
フラボノイド:抗酸化作用があり、体内の活性酸素を除去することで、細胞の老化を防ぐ効果が期待されます。また、血液の流れを改善する効果もあり、冷え性やむくみの改善に役立つとされています。
カロテノイド:ビタミンAの前駆体となる成分で、視力の維持や美肌効果が期待されます。
ビタミンE:強力な抗酸化作用を持ち、肌の老化防止や血行促進に効果的です。紫外線によるダメージから肌を守る効果もあります。
カリウム:体内の余分なナトリウムを排出することで、高血圧の予防やむくみ解消に役立ちます。
肉体面への効果
視力の保護:
菊花に含まれるカロテノイドやフラボノイドは、眼の健康をサポートし、視力維持に役立つとされています。特に、長時間のスクリーン使用による目の疲れに効果的です。
抗酸化作用:
強力な抗酸化物質を含むことで知られており、体内のフリーラジカルを減少させることにより、細胞の老化防止やがん予防に寄与する可能性があります。
抗炎症作用:
菊花に含まれる成分は、抗炎症効果があり、関節炎や筋肉痛などの炎症を緩和するのに役立つとされています。
血圧の調整:
高血圧を予防または改善する効果があるとされ、心臓病や脳卒中のリスクを低減するのに役立つ可能性があります。
冷え性や循環促進:
菊花は体を温める効果があるとも言われており、冷え性の改善や血行促進に効果的です。
感情面への効果
ストレスの軽減:
菊花の香りには、心を落ち着かせる効果があるとされており、アロマセラピーなどで利用されることがあります。ストレスや緊張感を和らげ、リラックスした状態へと導くことができます。
不安感の緩和:
菊花茶は、不安感を緩和し、心の平穏を取り戻すのに役立つとされています。落ち着きをもたらす作用があり、精神的なバランスを整えるのに有効です。
睡眠の質の向上:
菊花に含まれる成分が、良質な睡眠を促す効果があるとも言われています。夜間のリラックスを助け、深い睡眠へと誘うことで、翌日の心身のリフレッシュに繋がります。
気分の改善:
菊花は、気分を明るくし、穏やかな喜びを感じさせる効果があるともされています。日々の小さな幸せを感じやすくなり、ポジティブな心持ちをサポートします。
薬用酒の作り方
材料
乾燥菊花 10〜20g(新鮮な菊花を使用する場合は適宜調整)
焼酎 500ml〜1L(アルコール度数が高いほど保存性が向上します)
手順
菊花の準備:乾燥菊花はそのまま使用し、新鮮な菊花を使用する場合は、花びらを丁寧に洗い清潔にします。
瓶の準備:菊花薬用酒を入れる瓶を熱湯消毒し、完全に乾かします。
菊花の投入:清潔な瓶に乾燥菊花または新鮮な菊花を入れます。
アルコールの注入:瓶に焼酎を注ぎ、菊花が完全に浸るようにします。
密封:瓶の蓋をしっかりと閉め、直射日光を避ける涼しい場所で保存します。
熟成:約1ヶ月〜3ヶ月間熟成させます。週に一度程度、瓶を軽く振って中身を混ぜると良いです。
完成:熟成期間が終了したら、菊花を取り除き、清潔な瓶に移し替えて保管します。
料理レシピ
菊花のおひたし
材料
新鮮な菊花の花びら 適量
醤油 少々
だし汁 少々
塩 ひとつまみ
作り方
菊花の花びらをやさしく洗い、水気を切ります。
鍋に水を沸かし、塩を加えた湯で花びらをさっと茹でます。
茹で上がったら、冷水にとって色を止め、水気をしっかりと切ります。
器に盛り付け、だし汁と醤油をかけて完成です。
菊花入り茶碗蒸し
材料
卵 2個
出汁 400ml
醤油 大さじ1
塩 少々
みりん 大さじ1
新鮮な菊花の花びら 適量
お好みの具材(鶏肉、しいたけ、海老など) 適量
作り方
卵をボウルでよく溶きほぐし、出汁、醤油、塩、みりんを加えて混ぜ合わせます。
混ぜ合わせた卵液をこして、茶碗蒸し用の器に等分に注ぎます。
お好みの具材を入れ、その上に菊花の花びらを飾ります。
蒸し器で約15分間、中火で蒸します。具材に火が通り、卵液が固まったら完成です。
ブレンドハーブティーレシピ
1. リラックス効果を高めるブレンドハーブティー
材料:
乾燥菊花:5g
ラベンダー:3g
カモミール:3g
作り方:
すべてのハーブを混ぜ合わせます。
混ぜ合わせたハーブに熱湯を約200ml注ぎます。
3分ほど蒸らした後、茶こしで濾してカップに注ぎます。
2. 美肌・デトックス効果を目指すブレンドハーブティー
材料:
乾燥菊花:5g
ローズヒップ:4g
ペパーミント:3g
作り方:
乾燥菊花、ローズヒップ、ペパーミントを混ぜ合わせます。
混ぜ合わせたハーブに熱湯を約200ml注ぎます。
3分から5分ほど蒸らした後、茶こしで濾してカップに注ぎます。
3. 風邪予防・免疫力アップを目指すブレンドハーブティー
材料:
乾燥菊花:5g
エキナセア:3g
ジンジャー(細かく刻んだもの):3g
作り方:
乾燥菊花、エキナセア、ジンジャーを混ぜ合わせます。
混ぜ合わせたハーブに熱湯を約200ml注ぎます。
5分から10分ほど蒸らした後、茶こしで濾してカップに注ぎます。
注意点
アレルギー反応:菊花やその他の菊科植物にアレルギーがある人は、使用を避けるべきです。皮膚に触れた際や摂取した際のアレルギー反応に注意してください。
まとめ
菊花は、その美しさだけでなく、健康や美容にも様々な利点をもたらすことが期待されています。特に冬の季節には、その温める効果やリラックス効果が役立つかもしれません。