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カウンセリングと友人との対話、何が違うの?(第二部)
日本の精神科医・公認心理士で、現在はオーストラリアで心理カウンセラーをしているMarikoです。
今回のテーマは「カウンセリングと友人との対話の違い」。本記事はその第二部です。第一部では、友人との会話とカウンセリングの違いやそれぞれの役割についてお話ししました。第二部では、カウンセリングが何をどのように提供して進行していくのか、イメージしやすいよう具体的なエピソードを交えながらお伝えしたいと思います。
カウンセリングの場とは?
そもそもカウンセリングは、「話を聞いてもらえる場所」だけではなく、「悩みや不調を抱える人が思考や感情を整理し、課題の解決や自己理解を深めていくことができる場所」です。
それらのプロセスを進めていく主役は相談者(以下クライアント)で、カウンセラーはその過程を「サポートする役割」としてカウンセリングを提供していきます。
カウンセリングでは、初回とその後のセッションで進め方が異なることが一般的です。
初回セッション(アセスメント面接)
信頼関係の構築
最初のステップは、相談者(以下クライアント)とカウンセラーとの間に信頼関係を築くことです。「この人になら相談しても良さそう」と、クライアントがリラックスして話せる雰囲気を作り、安心感を持ってもらうことが重要になります。情報収集
クライアントが抱える問題やこれまでの経緯について詳しく聞き取ります。現在の悩みや課題
これまでの生活歴や経験
サポート体制や環境(家族・友人の存在など)
目標の共有
収集した情報をもとに、カウンセリングの目的や進め方についてクライアントと共有します。そうすることで、カウンセリングに対して具体的にイメージしやすくなり、クライアントが安心してカウンセリングを受けることができます。
初回セッションで上記の全てが終わらない場合ももちろんあります。その場合は、初回で行うアセスメントを2-3回にわたり時間をかけて行うこともあります。
フォローアップセッション(2回目以降)
問題の特定
初回で得た情報をもとに、解決すべき具体的な課題やテーマを探っていきますが、最初からはっきりと見えている方はそう多くはありません。とはいえ、カウンセリング全体の指針を決めるための大切なプロセスになるので、「何が課題なのか」「悩みの根底にあるテーマはなにか」を探るために、丁寧に時間をかけていきます。心理療法の実践
認知行動療法(CBT)など、クライアントの目標に合わせた技法を用いてアプローチします。進捗の確認と調整
各セッションで進捗を確認し、必要に応じて目標やアプローチを調整します。カウンセリングが進む過程で、新たな課題を発見したり、目標やゴール設定が変わることは珍しくありません。大切なのは、同じ目標に向かって進めるように、クライアントとカウンセラーの認識を一致させておくことです。自己理解と成長
問題解決にとどまらず、自己理解を深めることで、より良い生活や心の安定を目指します。
これらのプロセスを通じて、クライアントが自分自身の心に向き合い、良い方向に変化していけるようサポートします。
具体的な利用例
カウンセリングはメンタルヘルス不調者が利用する、と思われがちですが、日常生活での悩みや困りごとを相談する場としても有効に機能します。かなり単純化した架空のケースですが、いくつか具体例をお示しします。
例1:他人に言えないプライベートな悩み
Aさんは、交際相手との関係について悩んでいました。誰かに相談しようにも、それは非常にプライベートな内容で、友人や家族に話すことができずにいました。そこで、プライバシーが保たれ誰にも知られずに相談できる、という理由からカウンセリングを受け始め、安心して悩みを話していく中で、少しずつ解決への道筋を見いだすことができました。
例2:周囲に相談しても整理できない
Bさんは、ご自身の悩みをすでに複数の友人に相談していましたが、友人はそれぞれの視点や価値観をもとにアドバイスをするため意見が様々で、Bさんは考えが整理できず混乱が深まるばかりでした。そこでカウンセリングを利用したところ、カウンセラーの質問や視点の提供を通じて自分の気持ちや考えを整理することができ、その結果、問題の本質に気づき、自分なりの解決策に近づくことができました。
カウンセリングを利用する意義
第一部でもお伝えしましたが、カウンセリングの特徴は、クライアントが安心して自分の話をできる環境を提供し、問題の解決を計画的にサポートすることにあります。
プロフェッショナルな技法:ただ話を聞くだけでなく、専門的な技法に基づいたアプローチを提供
中立性と安心感:評価されることなく、安心して話せる環境
自己成長の促進:悩みの解決だけでなく、自己理解や成長を促す場
まとめ
この記事では、カウンセリングがどのような場で何を提供しているのか、具体例を交えながらその特徴をご紹介しました。
日本人にとってはまだまだ馴染みの薄いカウンセリングですが、自分の心がモヤモヤした時や困った時、「話をして整理して前に進むためのお部屋」のようなイメージでアクセスしてもらえたら、と思います。
For a Better Tomorrow
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