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「あの瞬間」を忘れたくないあなたへ。妊娠出産の思い出を、手紙やエッセイにします。

「人生でいちばん忘れられない日は?」と聞かれたら、わたしは迷わず「息子が生まれた日」と答えるでしょう。

うーん、でもほんとは、もっと前から始まっていたのかもしれません。

妊娠を伝えた夜の夫の笑顔、途中下車した駅でペットボトルの水を買ってくれた親子の言葉、お腹をぽこぽこ蹴るあんよ、陣痛がきて病院へと向かう救急車の匂い、初めて我が子を抱いたときの愛しさ――。

忘れられない。忘れたくない。

妊娠も出産も、経験してみないとわからないことばかりでした。
はじめから「ママ」になれるわけはなくて、どんどん変わってゆく自分の心と体に気持ちが追い付かず、わけもなく泣いて夫を困らせたことも何度もありました。

エコー写真の豆粒のような小さな点さえもかわいくて、ベビー服の小ささにおどろいて。ふくらんだお腹を撫でながら話しかけるのがクセになってきたころ、ようやく「わたしと赤ちゃん」になることができたように思います。

心揺さぶられた日々を、覚えておきたい。何かに書いて残しておきたい。いつかこの子が大きくなったときに、「あなたはこうやって生まれてきたのよ」って伝えたい。


そう思っていても、産後すぐに生活が一変して、赤ちゃん中心の日々がスタートします。授乳してオムツを替えて抱っこをして沐浴をして、ああ、いつのまにかもう夜。そして夜も授乳してオムツを替えて……そんな毎日。とても、振り返る時間なんてありませんでした。

でも、ある夜、おっぱいを飲み終わって寝落ちしている息子を抱えてひとりぼーっとしているとき、気づいたのです。もしかして、ほかにも同じような思いを抱えている方もいるのでは?と。

わたしは日記を書くのが好きなので、息子のことも記録に残しています。でも、そのような習慣がない方や、やりたくても子育てに追われて断念している方も多いのではないでしょうか。



妊娠出産は、どんなママにとっても、きっとかけがえのない思い出。

そのすてきな記憶をもとにわたしが言葉を紡いで、手紙やエッセイにしてお渡しできたら。そして何年か後に再び読んだとき、当時の気持ちが鮮やかによみがえったらどんなにすてきだろう、と思ったのです。


忘れたくない「あの瞬間」を、残しませんか?

「生まれてきてくれてありがとう」を手紙に。
命を待ち望んだ日々をエッセイに。

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