家族で受け継ぐ古民家と、幼少期の宝物
こんにちは、くわばらまりこです。
今回は、私の家族にとって特別な場所である群馬の「古民家」と、そこでの幼少期の思い出について書きたいと思います。現在も、親族が力を合わせて維持していますが、今後どう活用していくかが、私たちの課題になっています。
「古民家」と共に育んだ家族の歴史
築150年。その多くの時間は、7年前に101歳で他界した祖母が切り盛りしていました。祖父は私が生まれる前に他界していたため、私にとっては「祖母の家」です。
生まれてから中学生くらいまでは、盆暮正月に家族で帰る場所だったので、いとこたち家族も交えた「大家族」体験が楽しみでした。
「古民家」を拠点に、夏は自然体験、冬はスキーやスノーボード、今は使われていない「お蚕部屋」を探検したり、蔵で江戸時代の鎧や刀などに触れた事もありました。
小さい頃は苦手だった五右衛門風呂も、振り返ってみると貴重な体験です。
夏休みになると、祖母が私たちのために庭の梅の木で取れた梅で「梅ジュース」を仕込んでくれていました。ご近所の農家からいただいた新鮮なお野菜は美味しいし、近所のブドウ園でぶどう狩りもできるし、群馬名物の「焼きまんじゅう」は美味しいし、食文化も大好きです。
そうやって過ごしてきたからこそ、生まれ育った場所ではないのに、私にとっては「ふるさと」と言える場所になったように思います。
高校・大学・社会人と大人に近づくにつれ遠のいてしまったけれど、今でも特別な場所に変わりはありません。
「古民家」の未来と家族の想い
今も時々、いとこたち家族も集まる場所になっている「古民家」なのですが、これからどうしていくかは棚上げ状態です。いい加減、向き合わなければいけないことも分かってはいるのですが、時間だけが過ぎていきました。
父たちの世代からは、私たち孫世代の「いとこ会」で考えてみてと言われています。
祖母が大切に守り続けてきたこの「古民家」への思いを大切にしたいという気持ちはあっても、ではどうしたらよいのかという話はできていませんでした。
「古民家」を子どもたちの学び場にしたいという夢
私自身、幼児期は小学生のいとこのお姉さん、お兄さんたちと同じことができるようになりたくて、追いかけて、真似をして育ちました。小学生になると、弟・妹・年下のいとこたちと一緒に活動するようになり、必然的に「リーダー」という役割を担うようになりました。
年齢が違う子どもが集まると、自然と学び合えることを身をもって体験してきたように思います。
今は、祖母にとってはひ孫の代が子ども期を過ごしています。
一年前に祖母の七回忌で集まった際、ひ孫たち主催の「ちびっコーヒースタンド」というミニショップをプロデュースしました。下は2歳から上は15歳まで総勢11人で豚汁を作り、食後のコーヒーを出してもらいました。
昔と変わらず、歳上の子たちは下の子たちを引っ張り、下の子たちは真似をして張り切っていました。子どもたちがいきいき楽しむ姿を見て、この光景は次の世代に引き継ぐべきものだと思いました。
多分この時が、私のアイデアの種が芽生えた瞬間だったように思います。
自然と共にあった昔の暮らしから学ぶ
私が学んでいるモンテッソーリ教育では、幼少期の「手しごと」が大切にされています。
それは、手を使って自分で考え、工夫しながら活動することで、身体と心の成長が促されるからです。手しごとを通して、集中力、自己管理、問題解決力などが自然に身につき、また、成功体験を得ることで自信も育まれます。手を使って学ぶことは、子どもが環境と積極的に関わり、自主性や独立心を養う大切な手段とされています。
モンテッソーリ教育の手しごとは、アナログ生活とも深く関わっています。アナログ生活とは、デジタルツールに頼らずに手や五感を使って生活を営むことです。手しごとを通じて子どもたちは、物の手触り、重さ、匂いなどを直接感じ取る経験を積み重ねます。例えば、ボタンを留める、ひもを結ぶといったシンプルな動作であっても、手先の器用さや集中力を養い、日常生活で自分でできる喜びや自立心が育ちます。
このようにアナログ体験は、直接的でリアルな感覚を子どもに与え、環境や他者とのつながりを感じさせるため、モンテッソーリ教育で重視される「五感を通して、動きながら学ぶ」を実現する重要な手段とされています。
「古民家」の環境は、正にアナログ体験の宝庫です。
祖母の七回忌で高校生の甥っ子が「何これ!?使えるの??」と面白がっていたのが「黒電話」でした。
自分のスマホから電話をかけ「ジリリーン」と鳴る黒電話に大興奮していました。ダイヤル式の電話から自分のスマホに電話がかかることを確かめる姿を見て、子どもたちは私たち以上に「デジタル」にどっぷり浸かって生きているんだなと思いました。
そして、アナログ世界を「魅力的で面白いもの」だと感じていることに興味が湧きました。
デジタルから離れて、自然の中での五感を使った経験も、子どもにとってとても豊かな学びの機会です。自然の中で手しごとや遊びを行うと、土や水、風、植物や動物の生命力を直接感じることができ、生命や環境への関心が育まれます。
たとえば、庭で採れた梅で梅ジュースを漬ける、葉っぱを使って工作をする、石や木の実を集めて遊ぶといった活動は、自然との関わりを深め、アナログ生活の一環として子どもにたくさんの刺激を与えます。こうした自然体験は、モンテッソーリ教育で重視される「自ら環境と関わり、学ぶ力」を育むのにも役立ち、子どもが世界のつながりを感じる感性や、自然への愛情を育てる基盤にもなります。
祖母が愛し続けたこの「古民家」が、ただの「場所」ではなく、未来の子どもたちが学び、成長できる場となるように、私自身が体験した「自然の中での学び」や「アナログ体験」を次世代に引き継ぎたい。これが今の私の願いです。
祖母が残してくれたこの場所が、次の世代の「宝物」になるように、家族とも相談しながら、少しずつ準備を進めていきたいと思っています。
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