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満月の 下で茶を点て 温める夜|2024.立冬・金盞香


金盞香(きんせんかさく)

立冬も末侯をむかえ、倉敷市内の街路樹も色づき、ハラハラと落ち葉が舞い降りてくるようになってきた。

それにしても、街路樹の落ち葉はいつだって見事に木の根元にはが集められていて。朝も昼も夜も、紅葉を楽しみつつも自転車ですいすいとその下を走る抜けられる。

葉っぱが自然と木の根元に集まるわけではないから、誰かが日に何度も葉を掃除してくれているのであって。そういうところも含めて、秋はホッコリした気持ちになる。

もしこの葉がすべて片付けられていたら、落葉樹は剥げかけの残念な気になってしまう。でも、整備した方があえて落ち葉を木の根元に重ねてくれるおかげで落ち葉のお布団を被っているようなあたたかみを感じられるのだからすごい。

整備ってなんでもかんでも片付ければよいのではなく、あえて片づけないことも「整備」なのかと思うと奥深い。春には藤が、夏には新緑が、秋には紅葉が、冬にはイルミネーションがきらめくこの街で、やっと四季を一周しそうな11月末。

来週には、倉敷に来て一周年を迎えます。

【立冬】冬のはじまりの頃
初侯:山茶始開(つばきはじめてひらく)11月7日~11月11日
次侯:地始凍(ちはじめてこおる)11月12日~11月16日
末侯:金盞香(きんせんかさく)11月17日~11月21日

茶道手帳2024

ミヤカフェ夜茶屋でお抹茶を点てました

11月16日土曜日、満月の夜にミヤカフェ夜茶屋でお抹茶を点てました。
とても賑やかで穏やかな思い出に残る夜になったので、その記録をnoteに。

ミヤカフェ夜茶屋とは

ミヤカフェは、私と同じ倉敷市地域おこし協力隊の宮崎菜央さんが月に2回営業している夜カフェ。

場所は、鶴形公民館の近くにある雑貨と甘味茶屋「ことりふらっと」

普段は昼間のみ営業していることりふらっとが、ミヤカフェの日は夜も営業しています。

わたしも何度かお客さんとして行ったことがあるのですが、大きな通りから離れて静かな住宅地でちょこんとついた明かりを道しるべにミヤカフェに行く日の高揚感たるや。そして、そこで一人でぼおっと過ごしたり、たまたま居合わせたお客さんとお喋りしたり、宮崎さんとお互いの近況報告をしたり。

そういう穏やかな時間を過ごすのがとても好きだったので、とある営業日に「今度コラボ企画しない?」と盛り上がった日は、あんまりにもうれしくてお店で思わず小躍りしてしまったり。

いろいろと相談を重ねた結果

・営業日は11月16日土曜日
・19:00~と20:15~の二部制でご案内
・高石がお抹茶、宮崎さんがお菓子を提供

することが決まり、宮崎さんがこんな素敵なチラシを作ってくれました。

もちろん、わたしもnoteで宣伝を。

全員にその場で点てたばかりのお抹茶を提供

第一部は定員を超える11名のお客さまが、第二部は4組のお客さまがいらっしゃいました。
どちらも一席では入りきらなかったので、二席ずつお茶席を設けました。

今回はお茶席担当がわたし一人だったこともあり、お点前をしながら全員に点てたばかりのお茶を提供。お待たせしてしまう時間が生じるけれども、参加者のみなさんにゆったりと交流を楽しんでもらいたかったので、あえて待ってもらう時間を作ることに。

功を奏したのか、どのお席も参加者それぞれにお話に盛り上がってくださって。

お点前の前後の時間も店内でほかのグループと交流されていたり、その場で盛り上がったメンバーで夜ご飯に行かれていたりと、夜の倉敷をたっぷりと楽しんでいただけたようでなにより。

移住者視点の「倉敷とお茶」、地元民視点の「倉敷とお茶」

わたくし高石真梨子は大のお喋り好きなのと、今回のお茶席企画は「交流」を楽しんでもらいたかったので、参加者さんとの交流も楽しみました。

特に第一部は倉敷生まれ倉敷育ちの参加者さんが多かったので、東京の茶道文化と倉敷の茶道文化の情報交換を。

わたしの体感として

・倉敷の各地区にお茶屋さんがある文化は珍しい。東京では、京都などからお取り寄せしたり百貨店でチェーン店から購入することが多い
・倉敷は、自宅お茶室のある家が多い。町家も然り。使われていないお茶室も多いけれども。
・倉敷は「若い頃はお茶をやっていたのよ」というご婦人が多い。部活動や学校園などでお茶席体験をしたことのある人も多い気がする

のように、倉敷の人たちにとってお抹茶はあった当たり前の生活の一部だろうけれども、移住者としてはそれが新鮮。

そんな話をすると、お客さまからも

・そういえば、我が家にもお茶室があるよ。今はあまり使ってないけど。
・我が家にもお茶道具があるなぁ。父がやっていたよ。
・幼い頃の習い事で茶道をしていたよ。
・今もお抹茶を購入して家で点てることがあるよ。

との声が上がり、みなさん頷きながら「でも、当たり前すぎてこれが #くらしきで暮らす 魅力だと思わなかった!」とびっくりしていました。

移住者だからこそ感じる魅力を伝えていけたら

倉敷という街は、人口が70万人近くいる中核市と言われる自治体。地域おこし協力隊として活動しているわたしだって、アパートの隣の部屋にどんな人が住んでいるのか知らないし、当然どんな生活をしているのかなんてわかりません。

だから、移住検討者がふらりと倉敷を訪れたところで #くらしきで暮らす 人々の当たり前の生活にはなかなか遭遇出来ないだろうとも思うのです。

でも、移住者として倉敷に根を張り暮らし続けることで少しづつ、わたしの周りの人たちの生活というものが見え始めていて。そのうちのひとつがお抹茶文化。

お抹茶を飲みながら、こんなにも交流が盛り上がるのは倉敷の人たちにとってお抹茶のある風景が特別ではないからなのではないかな……とも思っています。当たり前のものだからこそ、夜カフェにふらりとお抹茶を飲みに来てくれるわけで。

だからこそ、移住者と地域の人たちが交わる場所でお抹茶を提供してその場を楽しんでもらい、そんな #くらしきで暮らす 生活を発信し続けることで、誰かがこの暮らしを「いいな!」と思ってくれたら万々歳だなと思っています。

素敵な場を提供してくれた
ことりふらっとさん、宮崎菜央さん
当日共にお席を楽しんでくださった参加者のみなさま
本当にありがとうございました。

わたしが点てたお茶と
宮崎さんが作ってくれたあんバターどらやき

また、倉敷市内のどこかで移住者と地域の方が交われるようなお茶席の場を設けたいと思っています。ご一緒してくださる方、お気軽にご連絡ください~!


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