高梁川志塾で学びたい5つのトピック ~聴覚障がいのある倉敷市地域おこし協力隊の場合|2024.白露・草露白
草露白(くさつゆのしろし)
先日、児島にある唐琴の海に行ったら、砂浜に死んだ魚が漂流していた。
その姿があんまりにもそのままの姿で、とってもびっくりした。
東北の海は漂流してくるのが海藻ばかりだったし、流れつくお魚もどこか食べられて欠けているモノが多かった。関東では、漂流した魚なんて見ずに友達とわいわい写真や動画ばかり撮っていたように思う。
倉敷に来て、瀬戸内海のおしとやかな穏やかさを眺めるたびに、なんだかホッとする。海って漁師さんのための神聖な場であったり友達と真夏を満喫するためのスポットだったけれども。
倉敷に移住してきてからは、誰かと一緒に海に行っても、ただぼんやりとその凪を眺めて心を落ち着かせることが多くなった。海を眺めることが、こんなにもわたしの心を落ち着かせてくれるだなんて知らなかったよ。
だから、もしかしたら東北の海にも関東の海にもお魚は漂流していたのかもしれないけれども、それをマジマジと眺めることがなかっただけなのかもしれない。
そういう、今まで何気なく見逃していたものを、じんわりと感じていく日々は、思いのほかわたしの性に合っているんじゃないかなんてことを、しみじみと。
ちなみに、あのお魚は「ボラ」らしい。InstagramのフォロワーさんがわざわざDMで教えてくれた。
わたしのポロリと溢した呟きを誰かがすくってくれる世界線のあたたかさもまた、好き。
高梁川志塾で学びたい5つのトピック
倉敷市は、街の真ん中に川が流れる街。どうやら、その源流である高梁川の流域は仲間意識が強いらしく。「高梁川流域〇〇」みたいな催しや補助金制度をよく見かける。
ほら、わたしの受け入れ団体である一般社団法人はれとこが主催するライター講座も「高梁川流域ライター塾」だし。
街の真ん中に大きな川の流れる街に住みたかった
わたしの生まれ育った仙台も街の真ん中を「広瀬川」という大きな川が流れていて、わたしの祖母はこの広瀬川に関連する水環境のNPOで活動をしていた。そんなこともあって、定住の地は街の真ん中に大きな川が流れているところが良いな、とふんわりと考えていた。だから、倉敷が移住の地の候補になったワケで。
倉敷へ移住してきてみて、初めてお世話になったコワーキングスペースもこの「高梁川流域」をキーワードに活動している団体だったことも、この街になじめた理由の一つかもしれない。
高梁川流域圏と呼ばれる7市3町は、観光・子育て・移住・教育・働く・SDGsの推進などについて連携し、活力ある経済・生活圏として発展していくことを目指しているとのこと。倉敷市はその中心的な役割を担っているんだとか。
わたしの移住の決め手は「倉敷とことこでライター活動をしたい」が一番だったので、倉敷美観地区周辺の川を眺めたときには「やりたい仕事があって、しかも街の真ん中に川が流れているなんてラッキー」くらいの感覚だったけれども。倉敷市としては、高梁川流域圏であることはとても大事なアイデンティティのひとつだったみたい。
高梁川志塾とは
余談はここまでにして、本題の「高梁川志塾」についてもお話ししよう。
社会人になってから、何かを真剣に学ぶためにどこかに通うという経験が、すっかりなくなってしまったような気がする。でもせっかく、地域おこし協力隊の活動として参加できるのであれば。この期間、しっかりと学びに全力を注いでも良いのではないかと思って受講を決意した。
倉敷市地域おこし協力隊として受講するにあたり、学びたいと思っていることは以下の4つ。
1.高梁川流域圏で活動する活動家と直接交流する
高梁川志塾では、毎回高梁川流域圏で活動する活動家たちが毎回の講師として登壇する。塾生として、高梁川流域圏で活動する活動家と直接コミュニケーションできる機会が保障されるということ。
地域おこし協力隊としてのミッションである「生活者目線での情報発信」の内容をより味わい深くするために、さまざまな「生活者」がどんな活動をしているのかを「発信」していきたい。
発信場所は、主にこのnoteになるかなと思うけれども、場合によっては倉敷とことこがふさわしいタイミングもあるかもしれない。そんなときは、「あとがき」のような形でより主観的な発信をしていきたい。
2.高梁川流域圏で活動したい人たちと出会う
高梁川志塾のHPによると、受講をお勧めするのは以下のような人。
つまり、この高梁川流域圏でこの先活動をしていきたい人たちが集う場。このように、今活動している人たちだけでなく「これから活動したい」人たちの生活にもフォーカスを当てて発信していけるのではないかと思う。
活動したい人たちが活動するタイミングで、わたしは情報発信者としてお手伝いができたら、受講者同士のコラボレーション企画なんかも生まれるんじゃないかと思う。地域おこし協力隊同士のコラボ活動もとっても楽しかったので、高梁川志塾でもそのような試みができるといいな。
3.わたし自身が高梁川流域圏の生活をより密に知る
2023年12月に東京から倉敷へ移住してきて10か月。ようやく、ここでの暮らしにも慣れてきて、行きつけの飲み屋さんやコーヒー屋さんができて、何かをお裾分けし合いたくなるような顔見知りが増えてきた。
わたしは倉敷市役所の移住定住推進室からの委嘱というかたちで活動をしているので、活動時間も教員時代と比べたらずいぶんとホワイトだと思う。でも、最初の半年くらいはその活動だけでいっぱいいっぱいで、時間を超過してしまったり疲れ切ってしまったり。
でもようやく、暮らしも活動も「ちょうどよい」塩梅が見つかってきたここ最近は、ほかの自治体で活動する地域おこし協力隊の任地へ視察に行ったり倉敷とことこの取材をきっかけに個人でお仕事をいただいたり。「やらねばならないこと」だけでなく「挑戦してみたいこと」にも目を向けられるようになってきた気がする。
この、外にも目を向けられるようになったこのタイミングでの、高梁川志塾の開講。今なら、わたし自身が高梁川流域圏で活動する人たちの生活を心からおもしろがり、より深く学べるような気がしている。
地域の情報を発信する立場だからこそ、それを言語化するためには「知る」ことが必要だと思う。ちょっと前のわたしには「学ぶ」か「発信する」かのどちらかしかできなかったけれど(キャパ的に)、今なら学びを発信するところまでできそうな気がする。やってみたい。
4.倉敷市への「移住検討者」が求める情報発信は何かについて、ヒントを得る
わたしの地域おこし協力隊としてのミッションは、以下の二点。
二つ目については、自主的に何かを企画することが求められているわけではないので、協力の要請があったらその時々にできる範囲で協力していきたい。
一方、ひとつ目についてはざっくりとしたミッションではあるけれども、こちらで方向性を考える必要がある。
倉敷市では、商工課・まちづくり推進課にもそれぞれ地域おこし協力隊が活動している。それらの協力隊は、地域ならではの魅力を伝え、地域がさらに活性化することを目的としている。そのため、情報の発信先は、地域の人や県内の人でも良い。
一方で、わたしが委嘱を受けているのは移住定住推進室なので、「県外の人」が「移住を検討したくなるor移住のきっかけになる」情報の発信が求められている。つまり、今までや今現在活動をしている倉敷市内の地域おこし協力隊とは、情報発信のターゲット層が若干異なる。
移住定住推進室から委嘱を受ける地域おこし協力隊は、わたしが倉敷市第一号。だから、正直なところわたしも市役所の職員さんたちも、どんな情報をどうやって発信することが「移住」やそのさきの「定住」に繋がるのか見えていない。
高梁川流域圏のネットワークはこの「移住」も連携して取り組む項目に取り上げられているので、ここでの学びを通して来年度以降の活動のヒントも得たい。
5.障がいのある人「も」高梁川流域圏内で暮らすことを知ってもらう。あわよくば、仲間を見つけたい
今回の高梁川志塾、なにがすごいって合理的配慮が整っていること。
というのも、わたしには聴覚障がいがあって。そのため、講師の音声やほかの受講者さん同士のやり取りを、ほかの受講者さん同様に得ることができない。同じ受講料を払っているのに……‼
ところがどっこい、受講申し込みの前に事務局へ
という旨のメッセージを送った。すると、当日のうちに
との回答をいただいて、現在は毎回講座の前に以下の流れで情報保障の手続きをしている。
講座ごとに会場の環境やグループワークの有無などが変化するので、適宜相談してもらえるのが本当にありがたい。
また、わたしが受講することで講師や受講生、事務局の人たちが「聴覚障がい者も高梁川流域圏で生活している」ということをわたしと関わることで知ってもらいたい。あわよくば「こんな当事者・支援者がいるよ」と仲間と繋がれたら。障がいのある当事者「も」住む場所や職を選べる地域に少しずつ近づいていくのではないかという野望もあったりして。
そんなわけで、せっかく活動時間としてこの高梁川志塾に参加させてもらうので、学びの過程をこのnoteで紹介していきたいと思います。