地域おこし協力隊をたずねて ~岡山県奈義町~|2024.大暑・土潤溽暑
土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)
前回のnoteで、「倉敷天領夏祭りのステージで手話通訳のかたを発見してとってもびっくりしたよ!」という話をしたら、めぐりめぐって通訳者のかたにあのnoteが届いていたらしく。
「天領祭りで通訳してたんだね!まりちゃんのSNSでみつけたよ~」
と連絡がいってしまったそうな。
「嬉しくて勝手にあれこれ書いちゃってすみません~」
と平謝りしたら
「まりちゃんのおかげで、手話通訳が身近な場所でおこなわれていることを地域の人に知ってもらえてすごく嬉しいよ。ありがとう」
と声を掛けてもらってほっと一安心。
前回のnoteを書いてからまだ一週間も経っていないのに、お祭り当日に手話通訳をしていた人みんなと顔を合わせてしまったんだから、手話の世界というか倉敷という街というか、この世界は案外せまいもんなんだなぁと思う。
倉敷に移住してきて、もうすぐ9ヶ月目。
倉敷で手話通訳を依頼すると、だいたい見知った顔のかたが通訳してくれるようになってきて、わたしもこの地で生活する人になってきたんだということをしみじみ感じる。ちょっぴりこそばゆい気持ち。
「このイベント、取材しに来ない?」「この記事読んだよ」「お裾分けをどうぞ」
こうやって、地域の人たちと繋がって、関係を深めていくなかで、ここに根を張るのも悪くないかもな……という気持ちが膨らんでいく。そういう経験を積み重ねていった先に「定住」があるのかしら。
ひとつの場所に長くても6年程度しか住んだことがないわたしは、やっぱりイマイチ「定住するわたし」がイメージできないけれども。ここで一緒に暮らしていきたいと思う人が一人、また一人と増えていく日々はあったかくて好きだなと思う。
地域おこし協力隊をたずねて ~岡山県奈義町~
地域おこし協力隊は、国の事業なので
・地域おこし協力隊ってどんなことが求められているの?
・卒業後はどんな進路があるの?
・活動費はどうやって使っていくの?
などといった定期的に研修会が設定されている。
そもそも地域おこし協力隊は税金を使った事業なので、税金によって活動させていただいている以上は、その自治体が推奨する研修に参加して、自治体であったり国が今どんなことを考えていて、わたしたちに何を求めているのかに対しては、敏感でいるべきだと思っていて。それで、予定と予算の都合がつく限り、研修には参加するようにしている。
研修に行くと、他の自治体だけれども同じくらいのタイミングで活動する地域おこし協力隊と実際に顔を合わせてお話しできるのも良いところ。
直近では、2024年5月に岡山県の地域おこし協力隊を対象とした初任者研修に参加した。
このときに意気投合したメンバーで、岡山県の県北にある奈義町で活動する隊員をたずねて日帰り小旅行をした日のこと。
倉敷市中心部→奈義町は、公共交通機関で約3時間!
倉敷市中心部から奈義町までは、電車とバスで約3時間。岡山から新横浜まで新幹線のぞみ号に乗って2時間55分なので、乗車時間だけで考えたら関東まで帰れちゃう。岡山県って広いのね。
この日は、岡山駅から津山線に揺られて津山駅へ。
津山駅には、奈義町の隊員が車で迎えに来てくれたので、そこから奈義町までは車に乗せてもらった。なんだか、大人の遠足みたい。
ナギテラス
奈義町は、役場や学校、図書館や美術館などの公共一節が街の真ん中にギュッと集まっている。
わたしたちのお目当ては現代美術館とそのそばにあるイタリアンレストランだったので、この街の中心部に車をとめてあたりを散策した。
倉敷市にある美観地区の観光案内所も倉敷館というレトロな建築の中にあるけれども、奈義町の観光案内所もまたナギテラスというモダンな建物の中にあった。
ナギテラスは「多世代交流広場」とにての役割ももっていて、フリースペース・レンタルスペースとしても使えるとのこと。ナギテラスの側の公園では子どもたちが走りまわっていて、とってものどか。
このナギテラスは放課後になると子どもたちや保護者の利用もたくさんあって、本当にたくさんの人たちが行き交う場所だよと奈義町の隊員が教えてくれた。実際に暮らしている人がその施設をどう使っているのかって、地元の人しか知らないから。こういう情報を得られるのが、現地に住む友人を訪ねる楽しさだよね。
pizzeria La gita ピッツェリア ラジータ
奈義町中心部の散策を終え、おなかが空いたわたしたちが向かったの、pizzeria La gita ピッツェリア ラジータ。ミシェランガイドにも掲載されるピザの名店で、わたしたちの旅の目的の一つ。
この日は女子4人だったので、ピザとパスタを4種類頼んでシェア。
長らく「人と食べ物をシェアすること」が当たり前ではない世の中を経験しただけに、こうやってみんなで一つの料理をシェアできる楽しさは格別だなと思う。
とにかくどのお料理も美味しくて、みんな幸せになりつつも、地域おこし協力隊として活動する中で戸惑っていることや悩んでいることもシェア。同じ自治体や受け入れ団体だと言いにくいような話題も、他の自治体で活動する仲間だからこそポロッとこぼせる。
それから、倉敷市は地域おこし協力隊の年齢層が若くて30代になったばかりのわたしがほぼ最年長女子なのだけれども。今回集ったメンバーはみんなわたしよりもお姉さまなので、甘えさせてもらいながらこれからの人生設計なんかの話も相談できて本当にありがたい。
奈義町現代美術館
お腹が満たされて、次に向かったのは奈義町現代美術館。
奈義町現代美術館の設計をしたのは、世界的に活躍する建築家磯崎新。そしてこの円筒形の建物の中で荒川修作の作品を鑑賞することができる、すんばらしい美術館なんですよ。
「大地」「月」「太陽」3つの展示室からなるこの美術館も、倉敷移住前からずっと気になっていたミュージアム。
今回は、奈義町の協力隊のお計らいで館長の岸本さんに案内していただきながら館内を歩いた。(これまた貴重すぎるお時間!)
那岐山と一体化したかのような感覚を覚える大地
音の反響が不思議な光のきれいに入る月
自分も作品のひとつなれるような太陽
作品と建物とが半永久的に一体化したユニークな館内は、どの展示室も五感でいろんなことを感じられる「大人が遊べる」美術館だったな。
企画展は、「中村宏太展 ぎりぎり の しのぎ “Bear Barely”」。
「夢シリーズ」と「銃シリーズ」の2本立てで、わたしは作品たちの作る影に心を奪われてずっと作品と自分の作る影を見ては遊んできた。
那岐山麓・山の駅
美術館って、身体中の全神経を研ぎ澄ませるから糖分不足になりがち。
ということで、奈義町の隊員の活動拠点のひとつ「那岐山麓・山の駅」で竹炭のドーナツとソフトクリームを食べるなど。
ここでも、気持ち良い景色を眺めながら女子トークは止まらず。
けいこ農園
奈義で活動する地域おこし協力隊けいこさんは、なんと、奈義町で農園も経営している。
実は、わたしたちがこうして奈義町を訪れるようになってきっかけは、けいこさんが初任者研修会に農園で採れた卵を持ってきてくれて、即売会をしてくれたこと。
その卵がとんでもなく濃厚で美味しかったので、農園にお伺いできるのをずっとずっと楽しみにしていた。
けいこさんのお宅では、前日から仕込んでくれたという熊肉を囲みながら楽しくお酒を飲んで過ごした。楽しい楽しい。
協力隊の家族やパートナーたちも集ったので、パートナーシップや家族のお話なんかもはじまって、それもまた乙。
ちなみに、奈義町→倉敷市街地は車で(下道)約2時間でした。
帰りはけいこ農園での宴会に参加した一人が車で倉敷まで送り届けてくれたので、うつらうつらしながら帰宅。ほろ酔い良い気分。
せっかく地域おこし協力隊として岡山県に移住したのだから、いろんな隊員の活動拠点や活動の様子を知りたいし、倉敷発のお出かけのバリエーションも増やしていきたいなと思った奈義町への日帰り旅。
コーディネートしてくれたけいこ隊員、本当にありがとうごさいました!
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