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私たちのスタジオ

私のタトゥースタジオは、ニューヨーク, クィーンズの端っこにある。
マンハッタン島からイーストリバーを挟んですぐ、ブルックリン北部の真上。倉庫や古いロフト、工場が立ち並んでいて、その中にポツポツとおしゃれなカフェなんかができ始めている、これから賑やかになっていきそうな、そんな場所にある。

古いビルの2階、その一室を、絵描きのパートナー, ベンとシェアしている。
結構広いオープンスペースの、入って右側が彼のアトリエ、左側が私のタトゥースタジオ、というふうに。

ここを借りた時は、部屋は本当にひどい状態だった。
格安で借りられる代わりに内装はボロボロで、床も壁も、トイレも自分たちで直さなくてはならなかった。

ベンと、まずはプライマーと白いペンキを買い込んで、全ての壁を塗るところから始まったスタジオの大改造。
Home DepotというDIYの店で木材を買ってスタジオに運び入れ、作業用の大きい机を作ったり、部屋を分ける壁を作ったり。
それからすべての道具を少しづつ運び込み、冷蔵庫やコーヒーメーカーなんかを揃えたり。結構な体力作業であったし、お客さんを呼べるまで約一ヶ月かかったけれど、ベンと一緒に作り上げたスタジオには愛着が湧いて、毎朝ここに来るたびに嬉しくて、誇らしい気持ちになる。

手作りの大きな作業机はスタジオの真ん中に設置されて、ベンと私はそこで絵を描くときもあれば、ランチを食べたり、私たちの子供達が放課後に宿題をしたり、ゲームをしたり、いろんな風に使われている。友人たちが訪ねてきてここで寛いだりと、この大きな机はスタジオの顔のような存在で、気に入っている。


手作り感100%の作業机

でもこうして自分のプライベートなスタジオを持てるまで、結構な時間がかかった。
いろんなタトゥースタジオでの経験を経て、やっと今ここに居場所を作ることができた。
まずは、私がどうやってこの世界に足を踏み入れたのか、それを次回に書きたいと思う。


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