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小さなタトゥーで繋がろう。ドネーションタトゥーイベント

2ヶ月に一度、ドネーションタトゥーのイベントをひっそり一人で開催している。2023年の秋から始めて以来、毎回誰かしら数名に参加していただいていて、本当にありがたい。
ドネーションデイには、小一時間ほどで施術が終わる小さなデザインを用意して、イベントの2週間前に告知をして予約を取っている。
もちろん告知の際にドネーション先も明示しており、その日の売り上げは全額寄付することにしている。

ここ2年ほどで、ロシアのウクライナ侵攻、ガザ地区への猛攻撃などなど、歴史の教科書に確実に載るであろう悲惨な出来事がどんどんと起きた。
そういったニュースが流れるたびに、SNSでは様々なタイプのドネーションの呼びかけが始まる。
アーティスト界隈でも多く見られ、絵をオークションにかけて全額寄付する人、ワークショップを開いてドネーションを集める人などなど。

アメリカの若者は総じて政治に関心が高く、政治に関するイベントに積極的に参加することが多いように思う。
戦争などの非常事態が起きたときのドネーションイベントも然り。
ただ、気をつけるべきはその集めたお金の寄付先である。それは、明確にそのオーガナイザーの政治的意見を映し出す。

この多文化の国では、それはもう様々なバックグラウンドが入り混じり、もちろん政治に関しても様々な意見がある。

私は政治的情勢を人並みにはチェックしているけれど、多数に向けて語れるほど世界中の国の歴史に詳しくはない。そして思うに、どんな状況にも、どちらにもそれぞれの正義があるものなのだろう。でも、いつも傷つくのは何の罪もない市民であって、本当に胸が張り裂けるほど悲惨なことが今も起きている。
なので私のドネーション先は、The Doctors Without Borders (国境なき医師団)と決めている。

どのような政治的意見を持とうと、どのような国に生まれていようと、傷付いたり、命の危険がある人がいれば、それを助けてくれる人たちを支持したい。

施術の短い時間、みんな今起こっている戦争のこと、これからの世界のこと、今の恐ろしい政治のことなどポツリポツリと話してくれる。
ドネーションデイは、このスタジオの中が平和を願う雰囲気に包まれて、こうして同じ気持ちで集まってきてくれている人たちがいること自体が、まだこの今のアメリカにも希望があると思わせてくれるのだった。

このタトゥー を入れたその気持ち、この日の会話、雰囲気が込められた小さな絵を身につけて、みんなそれぞれの生活に戻っていく。
前回のドネーションデイに、ひとりのお客さんがこう言ってくれたのが嬉しかった。
「きっとこのタトゥー を見るたびに、同じ気持ちの仲間たちがいるって思えるから、心強いわ。」

この世界はどうなってしまうんだろう。さらに恐ろしい時代に突入しようとしているのだろう。
でも、優しい気持ちを持った仲間たちとまだ繋がれているということが、少しだけ私に希望を与えてくれる。

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