日本と東京のトータルデザイン
「先人の苦闘を知り、また残してくれた遺産に尊敬の念を示し、未完に終わったプランを知った上で、今後の首都東京の都市計画・まちづくりを考えたいものである。東京人にとって後藤新平という人を持てたことが幸運である。しかし、後藤新平しかいなかったということは実に不幸である。」
越澤明 「後藤新平 ――大震災と帝都復興」より
つまり、こうです。
日本にグランドデザインが無いのは首都東京にグランドデザインが無いから
では、どうしたら?
この本でいちばんヒントになるように思えた箇所はこうでした。
「欧米帰りの若い農学者新渡戸稲造に対して後藤が依頼したのは、今後の基幹産業として育成しなければならない農業の振興策の作成と提案であった。
新渡戸は可能性のある産業は製糖業であると答えると、すぐさまジャワを視察して、意見書を出せということになった。ジャワから戻った新渡戸は台湾の実情を調べてから提出すると答えた。
しかし児玉(源太郎)と後藤(新平)は
「いや、そんな事は要らない。
実際的のことなら、我々の方が良く知っている。君が台湾の事情を知ると、眼が痩せて思い切った改良案が出なくなる。人はこれを実際論というか知らぬが、我々の望むところは君の理想論である」