コンラッド 闇の奥より
「星を見上げると、星はにじんで、幾多の星が一つになった。」
三島さん命売りますのラストワード
誰にも束縛されずに歩いていく人間が、孤独をくぐり抜け、静寂を通り抜けて、原始の世界のどんな異様な場所へたどり着いてしまうことがあるか、君らにわかるはずがない。
その孤独は、警察官のいない完全な孤独──静寂は、親切な隣人が世の意見を代表して警告してくれる声が聴こえない完全な静寂だ。警察官の反故や隣人の助けといったものがあるかないかでは大きな違いが出てくる。そういうものがなくなれば、持って生まれた自分の力と、自信を持つ能力に頼るほかない。
もちろん、あまりにも愚かすぎて道を踏み外すことができない人間、あまりにも鈍くて闇の力に襲われていることを自覚できない人間もいるだろう。あるいはとんでもなく気高いせいで、清らかな天上のものしか眼にも耳にも入らない人間もいるかもしれない。
そういう連中には、この地上は単に立っているための場所にすぎないだろう
それがその人にとって損か得かは、あえて言わないでおくよ