チケット転売について

推しの舞台が始まって、また「友人が行けなくなりました。空席をつくりたくないので行ける方はDMください」的な「お譲りポスト」とそれをリポストする人が増加してくるので、チケットの転売についてちょっと書いてみようと思います。

このサイトの下の方に、

「チケット不正転売禁止法で禁止されている行為とは」

という記事があります。
ここには

①特定興行入場券(チケット)を不正転売すること
②特定興行入場券(チケット)の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けること

バイセル買取

は禁止されている。
とあります。
「特定興行入場券」とは、

1. 販売に際し、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、その旨が券面(電子チケットは映像面)に記載されていること。
2. 興行の日時・場所・座席(座席指定でない場合などは入場資格者)が指定されたものであること。
3. 購入者や入場資格者の氏名と連絡先(電話番号やメールアドレス等)を確認する措置が講じられており、その旨が券面に記載されていること。

バイセル買取

の3つすべてに該当するもの。
だそうです。

多くの舞台(今回は舞台に限定します。)のチケットの前面には2と3は記載されています。
では1はどうでしょう。
だいたいこう書かれていませんか。

「営利目的の転売禁止」

「営利目的」とは定価以上の取引のこと、ならば、お譲りポストは「定価➕送料」だから営利目的ではないじゃない?
というふうに思う方が多いのではと思います。
その通り。本当に定価でのやり取りならそれは違法ではありません。

でも、それを証明することはできますか?
たった140字のXのポストにそこまでわかるように書くのは不可能だし、実際に定価取引を証明しているポストを見たことは(わたしは)ありません。

一方、公式のリセールなら「営利目的でない転売」つまり定価での取引と証明できます。
だからこれは、違法にはあたりません。

そうです。

チケットが余って困っているのなら、お譲りポストをして不特定多数に拡散してもらうことを期待するのではなく、公式のリセールに出せばいいのです。


わたしはこれを声を大にして言いたいのです。

今年、わたしの大好きな田中圭さんの舞台がありました。
地方公演を含めて全50公演の大ロングラン。
それでもチケットを取るのは本当に大変でした。
特に東京公演が打たれたシアタートラムはキャパ100名ほどの小さな劇場、チケットを手に入れるのはそれはもう激戦でした。

しかし、シアタートラムを運営する世田谷パブリックシアターは、公演が始まる前のある日こんなコメントを出しました。

ここには

つきましては、下記に記載しているチケットは、転売が確認されたためチケットは無効となりご入場をお断りいたします。予めご了承ください。

世田谷パブリックシアター

と書かれています。
激戦だったチケットの転売を劇場側がきちんと糾弾した、素晴らしい措置でした。
でもよく見るとそこには、「転売が確認されたため」としか書いてありません。
「高額転売」とは書いてないのです。

そしてこのページのいちばん下には公式リセールの案内が載せられています。
つまりこれは、

「営利目的でない転売」とは公式リセールのことを言うんですよ。

と解釈していい、ということではないでしょうか。

「メディスン」の公演では、「お譲りポスト」も「お譲り希望ポスト」も劇的に数が減りました。
これは田中圭さんのファンの皆さんの正しい行動によるものだとわたしは思います。
本当に素晴らしいことでした。
(次回作でもこれが続くことを願います。)

こんなことを書くと、
「そんなこと言っても急に用事ができることもあるし、病気になることもある!それでも転売はできないの?」
という方がおられるかもしれません。
いえ。
そんなことは言ってませんよ。

それなら自分の身内や友だち間でやり取りすればいいんじゃないの?

と言いたいんです。
なぜ、不特定多数が閲覧するXで訴えないといけないのか、ということなのです。

「いや、そんな都合よく行ってくれる人なんか身近にいない!」という人

それなら最初からそのチケットを取らなければよかったのでは?

とわたしは思います。
お金がもったいない、というのなら、その行けなくなったご友人に責任を持ってチケットを買い取ってもらえばいいのでは、と思うのです。

あなたがお譲りしようとしているチケットは

本当に最初からあなたとご友人が必ず行こうと約束した公演ですか?
余分に取って、余ったら誰かに譲ればいいと思って取ったものでないと、本当に言えますか?

ちょっと意地悪なことを言うと、そんなふうに思ってしまうのです。

まぁそうは言っても、正直そんなことは当人にしかわかりません。
分かりませんけど、チケット予約をするときにちょっと見通しが甘かったんじゃないですか?
他人の力を借りて自分のチケットを売ろうとする行為に対して、そう思う人がいても仕方ないのでは?と思うわけです。

わたしは、今回の舞台の東京公演をFC先行で予約したら全て当選したので、1枚をリセールしました。
即売れましたよ。リセールバンザイです🙌
リセール、とても便利な制度です。
個人情報を相手に伝えるリスクを負わずにも済みますしね。


では、なぜわたしがここまでチケットの転売のことをうるさく言うのかということも書いておきたいと思います。
それは、

もっと観劇人口が増えてほしいからです。

(あ、ここは小劇場メインで話してます。ミュージカル、2.5次元、商業演劇、大衆演劇、伝統芸能等は、わたしの知らない界隈です。)

映像メインの人気俳優が舞台に出ると、その作品はとても話題になります。
劇場に足を運ぶ人が増えるのは、演劇ファンにはとても嬉しいことです。

でもその一方で、その役者のファンの人が(言い方はとても悪いですがあえていうと)めちゃくちゃ無節操にチケットを押さえて、アッサリ「行けないから」とお譲りポストをすることにも、本当に閉口しています。

舞台にはあなたの推し以外にもたくさんの役者が出ています。
その方たちをお目当てに観に来る人もいます。
中には脚本家や演出家、劇場のファンの方だっています。
そういう人たちのことにも目を向けてほしいんです。

演劇の良さはなんといっても「生」であるということです。
舞台上は、ひとりの役者だけが芝居をしているのではなく、よく観るとそこに立つ全ての役者が役を生きています。
その空気感こそが舞台の最大の魅力です。
そしてそれは、作品に関わる全てのキャストスタッフが作り上げているものです。

「ドラマダブル」で、ちばくん演じる宝田多家良がスズナリで初めて芝居を観たときの表情。
あれは、その空気感に惹きこまれた人の顔でした。

この動画のいちばん最後の多家良の表情です。
わたしはこの表情が大好きです。
自分もはじめて舞台を観たとき、きっとこんな表情をしていたんだなと思えるからです。

長々と書いてきましたが、最後に今から20年ほど前のエピソードをひとつ白状します。
演劇ではなく、某G魂のライブのチケットの話です。

当時はまだ「ダフ屋」が会場前で「チケットいらんか〜」と言っていた時代です。
この時、わたしはインターネットで知り合った女性と会場前でチケットを引き渡す約束をしていました。
お互いの特徴を送り合って「はじめまして」「ありがとうございます」なんて挨拶を交わしていたその時、会場前にいたスタッフに「何やってるの?君たち。チケット渡そうとしてない?」と怖い顔で咎められました。
「いえ、違います。待ち合わせです。」
そうしどろもどろに応えたわたし達は、ライブ会場前から場所を移動して、チケットの受け渡しをしました。

もちろんそれは定価でのやり取りでした。
それなのに、スタッフの人はわたし達の行為を「ダフ屋行為」とみなしたのです。
これは若かったとはいえ、苦い思い出です。
これ以降はもうこんなことはやめようと思いました。

Xでの「お譲りポスト」ってこれと同じですよね。
やっぱりダメなんですよ。
もう20年前もから(いやいやもっと前から)ダフ屋行為はダメなんです。
あのときスタッフの人に「定価のやり取りです」と訴えても、聞いてはもらえなかったと思います。

そういうことなんですよ。
とわたしは思っています。

追記

フォロワーさんがシェアしてくれたこんなポストを見かけました。
主催者側も個人間のチケットの売買はダメだと明言されています。

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