2020年と目標の「生きる。」を振り返る
「生きる。」
これが私の2020年の目標だった。
1年の目標を、年の瀬に明かすなんて。しかも、目標というのは普通「何かを成し遂げる」とか「何かを手に入れる」といった類いのものなのに、なぜ、こうした目標を立てたのか。今年を振り返りながら、語っていこう。
この目標は、他人にとってどうということはなくても、私にとっては大きな意味があるものだった。なぜなら私は、たびたび自分の人生を悲観して、死について考えてしまう人間だった(もしかしたら現在もそうであるかもしれない)からだ。
昔から、何か自分の手に負えないことがあるたびに、「もうダメだ死にたい」という気持ちに支配されて、絶望に囚われてしまうタイプの人間だった。しかし昨年から今年にかけて、休養を取る、「HSP気質」というものに適切に対処する、病院を受診して自律神経やホルモンバランスを整えるといった努力をしたほか、周りから励ましもあり、大分よくなった。そこで「生きる」を目標にできたのだ。
昔の死にたい自分からすれば、大きな進歩と言えるだろう。(アポロの船長のように)
そして、偶然か必然か、今年は人の死が、これまで以上に身の回りに多く、身近な存在であった。
まずは、今年の年始頃から現在に至るまで、連日止むことなく報道される、新型ウイルスによる死。
次に、私が舞台を見たことのある、才能と美しさと若さの溢れる俳優が、心の闇を誰にも明かせず、自ら選ぶに至ってしまった死。
そして、数年の闘病の末、30歳を迎えることなく世を去ってしまった、私のかつての先輩。
「人はいつか死ぬ」「命は大切だ」「死んではいけない」…色々な言葉があるけれど、百聞は一見に如かずというか、どんな言葉も、実際に触れた死には敵わない。死んでしまった人に接するたび、死んだ人と私の差は、ほんのわずかな運のよさとか、巡り合わせの差でしかないと思う。
さて、来年も、生きよう。生きられなかった人の分まで、思いきり。
色々なものに、心からの愛を注ごう。今まで知らなかった新しいものに、たくさん触れよう。会えるときに、好きな人に、会いに行こう。
そういえば、亡くなった祖母に最後に会ったのは、お正月だった。
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