【ブラームスとシューマンの合作 F・A・Eソナタ】公演、【クラリネットソナタOp120のヴァイオリンVer.】も。
7月7日(金)七夕の夜
横浜 青葉台のフィリアホールにて、ブラームスの“2つの知られざるソナタ”と題してヴァイオリンとピアノとのデュオリサイタルがあるようです。
いろんなことを含めて、私にとってソナタはほとんど「知られざる」ですが、気になったので曲の背景を調べてみました👐
Ⅰ. ソナタ Op.120
Two Clarinet Sonata arranged for Violin by Brahms himself.
晩年、厭世的な孤独の中で創作意欲が衰え(というか、たぶん中断)ていたブラームスに、再び創造の火を灯したのが1891年夏に出会ったクラリネット奏者のリヒャルト・ミュールフェルトであり、Op120-1.2 はクラリネットソナタとして世に出る。
その後、この曲をヴィオラに編曲し、さらにヴァイオリン用に編曲したという3段階の編曲を経たうちの最後の版がヴァイオリンになるらしい。
ただ当時諸事情によりヴァイオリン版は出版されることなく、今日でもヴァイオリン版の演奏は珍しいとのこと。
(どんな諸事情でしょうか。気になりますね。)
ブラームスの生涯最後のソナタ。
常に他の才能に刺激を得て自分自身を削り新しい何かを生みだすというサイクルが、ブラームスの創造の原点であったように思う。
故に、どうしてもブラームスの曲を弾くときには身を削るような感覚があるし、事実内面の変化が表にでてしまいやすいし、また表に出ないとつまらないのに、それでも隠していないと本質を突けないというバランス感覚が求められる。
創作せずにはいられない葛藤がそのまま生き様として迫り、聴く前から既に愛しく感じられるこの楽曲に、出会うのが楽しみです。
Ⅱ.F.A.E ソナタ
時代は遡りブラームスがシューマン家に逗留していたころ、シューマン家に出入りしていた音楽家たちと親交を結ぶことになった若き日のブラームス。
その中の一人、指揮者と作曲家両面で知られていたディートリッヒとともに
シューマンとブラームスの3人で合作したヴァイオリンソナタがこちらのOp.(オーパス)番号のないソナタ。
同じく音楽家仲間でシューマンにブラームスを紹介した天才ヴァイオリニストでまたよき友人のヨーゼフ・ヨアヒムに、彼の作品のモットーである“Frei aber Einsam (自由だが孤独)” の頭文字(F.A.E.)を織り込んだ主題(ヘ・イ・ホ)で3人が合作して贈った。
全四楽章。どの作曲家がどの楽章をつくったのか、感じられるでしょうか。(ちなみにブラームスはスケルツォ楽章を担当しているとのこと。)
シューマンにとっても、ブラームスにとっても、ヨアヒムにとっても、よくは存じ上げないのですがディートリッヒにとってもおそらく、輝かしい日々だったのではと眩しく感じます。
でも私は自由と孤独の間には、逆接ではなく順接の接続詞がくるはずではないのかしら?と思うので、
きっとこの人たちはみな、本質的に自由だったんだわ。と思うのです。
常々思うのですが
演奏会は生もので、
同じものは絶対に2度とめぐってこない切なさがどこにも存在していて
でもそのためにひとつひとつが一瞬として輝かしく心に残り、
また何か別のものを生み出す力になっていると感じます。
演奏
ヴァイオリンは桐朋学園大学卒業、ピアニストでもあるヴァイオリニスト、今をときめく才媛の荒井章乃(あやの)氏。
ピアノは第16回ブラームス国際コンクール3位及び審査員特別賞、円熟のピアニスト、斎藤龍氏。
聴きにいくのが楽しみです。(^^)
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