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オランダでチャリ生活を再開してから致死率が確実に上がった気がする

チャリがまた盗まれて(2回目)、以降ずっと6ヶ月くらい電車生活だったんだけど、オランダはまぁ交通費がバカ高いので絶対に自転車で生活したほうが節約になるのは火を見るより明らかだったんだけど、だけど、だけど。

まぁ探すのがめんどくさくて。それが私というズボラすぎるあまり人生の大半を無駄な時間とお金に費やしてきた人間の成れの果てである。

なかなか安い自転車が見つからなくて、ダラダラ先延ばしにしてたけどやっと安いチャリ見つけた!と思って購入して届いてみたら、まさかのおもちゃだったという嘘みたいな本当の話がこの前あって。

実際の画像がこちら。

ボケではない。ガチだから怖い。

こんな綺麗なチャリが46ユーロなんて!買い!と思って微塵の迷いもなくクリックしたら。(そこは迷えよ)

まさかの16センチだったなんて。

あとでサイトを見直したけど、2ページ目にちゃんと何センチって書いてた。

荷物が届いたとき、「ん?なんかこんなの頼んだっけ?」と思って不審に思いながら、箱をガサガサとあけたら…「????」となって。

え、待って。まさかあの時頼んだ…?!?!!!?  
ファ?!?!?!

となったわけである。
悲しみと絶望のあまり、Xで呟いたら1万ビューくらいいったのでそれだけちょっと嬉しかった。

いやでも返せよ、私の尊い46ユーロ。
ミニチュアコレクションの趣味など全くない私にとってこんな実用性ゼロのチャリの模型、

ガチ、要らなすぎる。


とんでもなく、いらない。いくら間違って買ったにせよ、こんなにいらない商品もそんなない。商品がかわいそうになるくらいいらない。

お金なくて安いの買ったのに本末転倒ってやつ。
こうして貧乏人はお金をなくしてゆくんだろうなぁ…。(遠い目)

お金なくて安いホステル泊まったら、治安が悪すぎて全財産盗まれる的な。

安さに釣られてチャリ購入したら、おもちゃだった的な。(聞いたことねーよ)

が、しかし…!!

捨てる神あれば、拾う神あり(?) で。
そんな不運な私にその後なんともラッキーなことが起きた。

ヤケクソになってこの時のことをInstagramのストーリーにあげて
「このおもちゃのチャリと本物のチャリ、交換してくれる人いませんか?」と冗談(9割本気)でつぶやいたら

まさかの「いいよ」という危篤な神のような方がいらっしゃったのである。

え、いいんですか?????
君、頭大丈夫?

オモチャはいらんからキャンディを箱詰めでくれたら交換してあげるよ、と。

(え、オモチャいらないの?私もいらないんだが)

そんなことある?と思ったんだけど、その人は自転車屋さんで働いてて、最近ちょうど自転車を新しく知り合いから安く買い取ったから、買ったばかりの自分の自転車が不要になったのだとか。

チャリがオランダで不要になることなんて、まずない。売りに出したら速攻売れるはずである。

だってオランダは、チャリ盗まれ大国なんだから。

前どっかのイタリア人が「アムスにチャリを置きっぱにしたら1秒で盗まれるぞ」と言っていた。いや、1秒は盛りすぎだろ。

とにかくその人の優しさに大いに感謝である。
早速先日、アムスの有名なキャンディショップで箱詰めのキャンディ(20€相当)を買って、全くその対価に見合わない立派すぎるほぼ新品のチャリと交換してきた。

大切に使わせていただきたいと思う。

さて、ここで話を本題に戻すが、オランダといえば自転車。オランダは自転車大国である。なぜなら坂がなく、ずーっと平地だから。

しかしそのためか、
オランダの自転車の優先度がやばい
なんたって、ある場所においては歩行者より権利が上なのだから。

例えば、歩行者と自転車が衝突して怪我をしたら、歩行者のせいになる場合がある。それがオランダである。

オランダには、自転車専用の道路が存在する。自動車道路の横のオレンジ色の細い道路で、そこはいわばチャリ勢の聖域(チャリ=サンクチュアリ)であり、歩行者が一歩間違ってその聖域に足を踏み入れたら、ジ・エンド。激しい罵声を浴びせられるか、轢き殺される


実際、この自転車専用道路はオランダ語で「Fietspad(フィーツパッド)」(Fiets=自転車、Pad=道)と呼ばれ、歩行者は利用することができない。つまりここでもし歩行者がチャリにぶつかったら法律上、歩行者の過失となる。

そこを観光客が知らずに歩いてしまってみろ。
ロードレース並みの高速チャリたちがビュンビュン飛び交っていて、知らなかったでは済まされない恐ろしい結末が待っている。本当に気をつけて欲しい。

Fワード連発である。当然である。そこは彼らの聖域(チャリ=サンクチュアリ)なのだから…。思わずFワードを発したくなるぐらい彼らのチャリを漕ぐスピードは速い。ゆえに危険が伴う。

ちなみに言っておくと、都市部の環状交差点では、自転車が自動車より優先される。

チャリ専用道路では歩行者よりもチャリが優先され、自動車道が混ざった環状交差点ではチャリが優先される。

オランダはチャリが偉い国なのである。

しばらく電車生活に慣れ、ヌホリンッとした日常を送っていた私は、

この恐ろしさをしばし忘れていた。


しかも今回オランダ人から譲り受けたこのチャリ、いわゆるダッチバイクと呼ばれるやつで、足元ですべてコントロールできる仕様になっていて、ハンドブレーキがなく、フットブレーキだけなのである。

これがどれほど恐ろしいかというと、まず急ブレーキとかしたら多分、体ごと吹っ飛ぶ (※本人の妄想)。うまく説明できないのだが、なんとなくそんな気がする。

足でブレーキを踏むしかない不自由さと言ったら、ない。てかそもそもチャリに乗ってる時の足はペダルを漕ぐためのもので、ブレーキをかけるためのものではない。チャリこぎながら急にブレーキかけろと言われても、それまで足の裏で踏んでいたペダルに急に足のつま先を下からくぐらせて、クッてやらなきゃいけない。

そんなとっさの判断、頭がこんがらがって急にできるかァ!!

なぜダッチバイクはこうなったのか?ハンドブレーキを外す仕様に行き着く意味がわからないのだが、今日友達にその話をしたら、

オランダ人は全てを足で完結させ、両手離しで朝ごはんとか食べたり、手作業したりするらしい。

いや、効率化求めすぎだろ。いくら合理主義オランダとは言え。確かに電車通勤だと移動時間を有効に使えるのに対し、チャリだとそれが音楽聴くぐらいしか出来ないよねと決めつけていた側からすると発想力すげえ、とはなるが、とはいえ。

実際、朝の通勤時間とか両手ばなしでチャリ漕ぎながらリンゴ食べたり、サンドイッチたべたり、バナナの皮剥いてる人とかいる。ごく稀にルービックキューブやってる人もいる。

いや、エドワード・スノーデンかって。
セーラームーンのうさぎかって。(古すぎて伝わらない)

あのフットブレーキは、通勤時間を朝ごはんに当てた、効率化を求めすぎたオランダ国民の成れの果てだったのか。。。

とりあえず、チャリに乗り出してからアムス市内を走る時、私は確実にトラムに乗っていた時よりも肌感で致死率が30%ほど上がった気がする。

一寸先は、事故。


いつもその想いを胸に秘めながらブレーキの存在しないハンドルを強く握りしめている。

ここで、皆さんの身の安全のためにもトップ・オブ・危険な場所を紹介しておく。アムスの中心地に、鬼門と呼んでも過言ではない史上最悪の自転車走行エリアが存在する。それが、悪名高い異名を持つ、通称

「デッド・サンクチュアリ=チャリ」

である。

 「ミッドナイト・イン・パリ」(映画) ではない。「デッド・サンクチュアリ=チャリ」である。もちろん私が勝手に名付けた。アムスのど真ん中にある、ライクスミュージアムとフォンデルパークの近くである。オランダに住んでいる人、これから旅行に来る人には身の安全のために絶対に把握しておいていただきたい。

もうあれは本当にひどい。ぐっちゃぐちゃである。
本当に2度と近づきたくない(けど毎日通り道)。十字路みたいに全方向から車、チャリ、歩行者がやってきて本当にカオスである。あそこで毎日絶対何人か怪我人が出てる。知らんけど。

まぁそんなこんなで、チャリに乗る日は本当にヒヤヒヤする。しかも何かと衝突したとき、冷静に考えると吹っ飛んだら簡単に死ぬくらい無防備なので、ヘルメットをかぶってるバイクや、車両の硬い自動車よりもある意味怖いよなと思ったりする。

まぁとはいえ、めちゃくちゃ節約になるのはわかっているので、やはりしばらくはチャリかな〜と思ったりする。

日々の致死率の上昇に耐えながら、私は今日もオランダでチャリを漕ぐ。

私もいつか、チャリに乗りながらバナナの皮、剥けるようになるだろうか。私もいつか、「轢かれるの怖いなあ」から、「轢いちゃいそうで怖いなあ」に変われるだろうか。

もし私がそこまでダッチナイズされたら、チャリ乗りながらバナナ食べてるセルフィーでも撮って、このチャリくれたオランダ人に送ろうか。いやそんな調子乗ったこと考えてると明日にでも私の命があるかわからない。

とにかくしばらくは、あのサドルにまたがった瞬間から身を引き締めて走行したいと思う。

おしまい。

※ここでいう致死率の使い方が間違っていることは大目に見てやってください。「疫学における致死率(致命率) とは、特定の疾病に罹患した患者のうち、その感染が死因となって死亡する割合のこと」ですよね。そんなことぐらい知っています(本当は調べた)。他に短くて面白そうな表現が見当たらなかったゆえ。タイトルには文字制限があるので。ね。てへぺろ。

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