「推しの子」の海外人気がやばすぎる件
突然だが、私は今オランダで去年から始めたNAKAMAという名前のアニメソングをRemixしたDJイベントを定期的にオーガナイズしている。
そのことについては今度詳しく話したいと思うが、今日は海外で強い人気を誇る『推しの子』を始めとする日本の漫画とアニメの海外人気について少し話したいと思う。
『推しの子』は、日本のみならず、海外でも現在非常に高い人気を誇っている。アニメのオープニングテーマ「アイドル」(YOASOBI)は、米国のBillboard Global 200チャートで7位にランクインし、日本のアーティストとしては歴代最高位を記録した。
また、2024年の第2シーズンでは、国際的なアニメランキングでも上位にランクインし、特に4週目には1位を獲得するなど安定した人気を誇っている。
日本アニメの海外人気は今に始まったことではないが、私がそれを肌で物凄く感じたのは3年前オランダに来た時だった。
オランダに来て私が「僕は/私は日本が大好きだ!」という外国人にことごとく聞いてきた質問がある。
それは、「何がきっかけで日本を好きになったの?」というものだ。
日本食が好きだったり、着物が好きだったり、日本の文化が好きな外国人、日本語が少し話せる外国人に沢山この3年間で会ってきた。だが、その”きっかけ”はなんだったのか?
2021~2024年のオランダで私が「日本が好き」という外国人に同じ質問「何がきっかけで日本を好きになったか?」を聞くと、100発100中で「アニメや漫画」という答えが返ってきた。
恐らく少なくとも50人~100人近くに同じ質問を聞いたと思う。しかし、日本食が好きという人も、日本の文化やスポーツ(空手や柔道など)が好きという人も、「全員」アニメか漫画がきっかけで好きになったという返答が返ってきた。
私が13年前カナダに留学していたころ、それは間違いなく「日本車」だった。もしくはSonyなどの電子機器だった。
「私は日本人です」と自己紹介をすると、「Oh! I love HONDA!」とか、「I love NISSAN!」とか言われたものだ。
その中にごく稀に「日本のアニメいいよね!」という声があったが、どんなアニメが好きなの?と聞くと「Susuki」とかいう、日本人でも知らないような謎のアニメの名前を列挙され(他にも言われたが知らなすぎて覚えていない)、なんじゃそりゃ?となった記憶しかない。
しかし、2024年現在。アニメや漫画が好きだというオランダにいる外国人に、彼らが好きなアニメや漫画を聞くと、13年前とは違い、今現在日本で大ブレイク中のアニメが、タイムリーに海外でも人気である。
これはなぜか?
アニメの世界的普及の加速においては、コロナのパンデミックが深く関係している。
世界中がコロナに苛まれた時、最ものびた産業のひとつ、それが「動画配信サービス」だ。
Netflixは、コロナでの外出制限により、全世界で大きく成長し、2020年の第1四半期には1,600万人以上の新規加入者を獲得した。そして2021年の同社の発表によると、全世界のNeflix会員の3分の2が年間で少なくとも1本のアニメを視聴していると報告。
ディズニーが提供するDisney+も、パンデミック中に大きく成長し、特に「スター・ウォーズ」や「マーベル」が人気を集め、短期間でなんと1億人を超える加入者を達成している。
世界最大のアニメ配信サービスであるCrunchyrollは、2020年に会員数が400万人を突破し、無料会員を含めたそう利用者は1億人を超えたと発表した。パンデミック時の視聴時間の増加により、同サービスのアニメ視聴数が飛躍的に伸びたことが示されている。
アニメや漫画の魅力そのものが何十年も前から大いなる貢献をしていたのは当然だとして、それを大きく後押しするきっかけとなったのは、コロナといっても過言ではない。
これにより、現在日本で流行っている漫画・アニメは、『推しの子』をはじめ、『僕のヒーローアカデミア』は海外でも現代アニメの代表作として確固たる地位を築いている。
これは私の主催するアニメソングDJイベントの動画である。音楽には当時『推しの子』と並ぶ人気を誇っていたアニメ『チェーンソーマン』の主題歌、米津玄師氏の『Kick Back』を使わせていただいているが、クラブの盛り上がりを見ていただけたら幸いである。
私の開催するこのいわゆる”アニクラ”(アニメソングだけのクラブ)では、このように推しの子だけでなくありとあらゆるアニメソングが人気を博しているが、その中でもやはり『推しの子』の『アイドル』は別格である。
推しの子はなぜこんなに人気なのか?という考察に挑戦しようと思ったのだが、調べれば調べるほど沼にハマり、すぐ調べて答えが出るような問題ではなさそうだったので今回はやめすることにした。
しかし、とにかく”推しの子(をはじめとする日本の漫画やアニメ)の海外人気がもの凄い”ということは事実である。
言わずもがな、日本の漫画家やアニメ制作者は、昨今問題になっているように、日本国内においてもっと適切な扱いを受けるべきであると考える。むしろ、One of the bestな、最高峰の扱いを受けてもいいはずである。日本という文化を世界中に広め、”日本ブランド”の信用と好意、そこに確固たる地位を確立し、大いに飛躍させたのは彼らなのだ!と、私は思う。
そのくらい、彼らが作り上げた(作り上げている)世界での功績は大きい。
今後も、日本の漫画やアニメの良さを世界に広める手伝いとして私の開催するイベントがもっと大きくなり、それが結果的に最後漫画家やアニメ家の方に考えさせるような仕組みづくりができれば幸いだ。とはいえ、私も今自分がやっているこのアニメDJイベントの明確なゴールがまだわかっていない。
それについても今後考えていきたい次第である。
漫画・アニメはもう、数十年前のニッチなオタク達の世界と違い、特に若い世代、Z世代におけるメインストリームになりつつある。
今後漫画やアニメの世界がどうなっていくのだろうか。
もはや日本人としてそれは、無視できない問題になってきている。