
咳が治らない人が多いのはなぜ?
昨秋のマイコプラズマ肺炎、年末年始のインフルエンザの流行など、SNSでも「風邪の後の咳が治らない」という声をよく見かけます。
一般的には「咳が強く出るウィルスが流行している」「気道が過敏になっている」などと考えられますが、今回は野口整体の視点から「咳」を捉え直してみます。
野口整体を知ったのは16年前。それから多くの回り道を経て、ようやく最近「野口整体って究極だよね」と思うようになりました。野口整体(以下、整体)には、自然療法に詳しい方でも馴染みのない独自の考え方があります。ピンとこない部分はさらっと流していただいて、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
整体では、咳などの症状を「病」とは捉えません。「偏ってしまった体が、良い状態に戻ろうとする自発的な調整」――つまり「体による治療」と考えます。咳という小さな不調を経過させることで、体はバランスを取り戻し、より大きな病気を防ぐ助けになるとされています。「ウィルスを外に出す」以外にも、咳には大切な働きがあるのです。
以前、ある治療家の方の「長引く咳によって呼吸関連の筋肉の緊張が強くなるので、胸や背中をほぐしましょう」という投稿をみました。しかし、整体では逆の見方をします。
胸や背中は確かにほぐした方が良いですが、咳が原因で緊張が強くなるのではなく、「体の緊張の強さ」が咳を引き起すと考えます。咳は、体が緊張を和らげ、調整するための手段の一つなのです。
ではなぜ体が調整を必要とする状態になるのか?――夏の過ごし方や、スマホ・PCでの目の酷使など、暮らし方が不調を引き起こすこともあります。以下、もっと早く知りたかった!と私が思ったポイントをご紹介します。
①夏の過ごし方:
👉首を冷やさない:首にタオルや薄手のストールなどかけ、冷風が直接当たらないようにする。
👉汗をこまめに拭く:かいた汗が引っ込む前に。特に首の後ろの汗に気を付ける。
👉冷房で汗をかく機会がない人は、足湯や入浴などで汗をかくようにする。
首を冷やしたり、汗を拭かずに冷えてしまう(汗の内攻)と、咳をはじめ、その後の不調につながる恐れがあります。
②目を酷使するライフスタイル:
👉不調の時は目を使うことを控える。
👉目を使ったらしっかり休ませる。
👉蒸しタオルやホットパック(あずきや玄米など)で目を温める。
実は、目の使い過ぎは咳につながることがあります。体調が優れない時でもスマホを手に取ってしまう方が多いと思いますが、体には負担になります。ケアも忘れないようにしましょう。
ついでに、熱が出た後の注意点:
👉高熱が下がったあとは、さらに1日休養する
熱が出た後に、平熱以下になるタイミングがあります。その時に治ったと思って登校や出社してしまうと、風邪がこじれてしまうことがあります。休めない事情もあると思いますが、休養は大切です。
体の不調を軽減させるには:
👉部分浴(足湯、手浴、肘浴)をする。
👉蒸しタオルやホットパックで目、首の後ろ、鎖骨を温める。
一般的に「〇〇ウィルスが流行したから、咳が続いた」と考えがちですが、夏の過酷な暑さや、目や頭を酷使するライフスタイルなど、呼吸器の不調を起こしやすい条件があったからこそ、咳を伴う風邪が流行った。とも考えられます。
細菌やウィルスの発見、医学の発達は、暮らしを大きく向上させました。一方で、すべての不調の原因を、細菌やウィルスなどの外側の要因に求めすぎる傾向ももたらしました。
不調の原因を外側のせいにばかりすることで、自分で自分の体に注意を向けることを忘れ、「専門家」に任せることが普通になってしまったのです。
もう一つ付け加えるとすれば、内面的な感情やストレスも、咳に影響を与えることがあります。言葉にできない思いや、抑え込んでいる感情がある時、胸でつかえている思いが、咳という形で現れることもあります。
このように、咳にはさまざまな原因があることを知っておくと、日々の暮らしの中で工夫ができるようになります。日頃から心身の状態にに気をつけることで、咳という形で不調を解消せずに済むかもしれません。しなやかで感覚の良い心と身体を育てることこそ、咳の対策になるのではないか、と今の私は考えています。
今回の内容をもっと詳しく知りたい方は、こちらの本を読んでみてくださいね。
いいなと思ったら応援しよう!
