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【中国茶コラム】⑩台湾茶について その1

今回は中国大陸ではなく、台湾茶にフォーカスを当ててご案内したいと思います。

台湾茶の歴史は
1790年代後半(日本は江戸時代)
中国からの移民が台湾北部に茶葉を持ち込んだ事に始まると言われています。

持ち込まれた茶樹は福建省の武夷山から。
大紅袍などの岩茶や、正山小種などの紅茶を生むとても有名な地域です。

しばらく台湾のお茶の中心地は台湾北部でしたが、
徐々に開墾しながら南下しました。
1860年前後(日本は幕末)には、
お茶のヨーロッパ輸出も始まりました。

台湾茶といえば青茶(烏龍茶) が有名です。

緑茶や紅茶も生産していますが、烏龍茶が圧倒的に多いです。


「烏龍茶」、と 一括りに言っても
発酵度(酸化度)がとても幅広く、
緑茶に近い爽やかなものから、紅茶に近いしっかりとしたものまで生産されています。

台湾を代表する烏龍茶をいくつかご紹介させて頂きます。

「文山包種茶」
(ぶんさんほうしゅちゃ)

「条形」の文山包種の茶葉


発酵度(酸化度)が一番低い烏龍茶。
台湾北部の文山地区で生産されています。
台北からも近いので、生産地を訪れた方も多いはず。

茶葉はよじれたような形 ”条形”(じょうけい)。
爽やかな蘭の香りと緑茶のような優しい味わいを楽しむことができます。

水出しにするのもお勧め。
お野菜やお魚を使った前菜などと とても相性が良いです。
ワイングラスを使うと、より繊細に香りや味わいを楽しむことができます。

まるで白ワインのような色合い

かくいう私も、台湾茶で一番最初にハマったのが
この文山包種。
台湾を訪れた際、地元の案内人に文山地区石碇の「逢春茶莊」さんに連れていってもらい、初めてお茶の淹れ方を学んだのは良い思い出です。

逢春茶莊さんの茶室

その時初めて飲んだ「文山包種」の味わいが今でも忘れられません。

文山地区 石碇の茶園

日本茶好きの方に是非一度試していただきたい烏龍茶です。



「凍頂烏龍茶」(とうちょううーろんちゃ)


台湾土産の代表格といっていいこのお茶。

厳密には、台湾中部にある凍頂山と麓にある鹿谷生産されるお茶のことを「凍頂烏龍茶」と呼んでいたのですが...

現在では、同じ製法で作られるお茶も「凍頂烏龍茶」を名乗っているようです。

お茶のスタイルの名前になって来ている、といっても過言ではないでしょう。

「凍頂山の烏龍茶が飲みたい!」という方は、産地に注意してみてください。

凍頂山周辺は温暖で、茶樹の生育にとても適した地域です。
品質の良いお茶が多く生まれています。

台湾といえば標高1000m以上の山で生産される「高山茶」のイメージが強いと思いますが、
この凍頂山は高くても800mほど。
「高山茶」には分類されません。

茶葉は真ん丸のビー玉のような形をしています。
この茶葉の製法は中国 福建省南部のもの。

「球形」の凍頂烏龍茶の茶葉


茶葉を布に包んで機械にかけ、ぐるんぐるん、と力を加えて回しながらこの形にしてゆきます。
(「包柔」(ほうじゅん)」とよばれる工程です)
ちなみにこの機械、日本で改良されて逆輸入した物とのこと...

猫空「「臺北市鐵觀音包種茶研發推廣中心」」にて撮影

実は台湾のお茶の歴史に日本も大きく関わっています。
まだ別のコラムでご案内できればと思います。

「阿里山烏龍茶」(ありさんうーろんちゃ)


こちらも、凍頂烏龍茶に並ぶ台湾を代表する烏龍茶です。
阿里山という約15ある連山で生産されるお茶の事を指します。


標高は大体800~1400m。
いわゆる「高山茶」ですね。

よく、「凍頂烏龍茶」と「阿里山烏龍」の違いは何?
という質問を頂きます。

やはり、まずはその標高の違い。
阿里山のほうが標高が高く、
アミノ酸の含有量が多いので爽やかで甘みのあるお茶が生産されます。

また、凍頂烏龍茶のほうが焙煎度合が強い傾向にあるため、より香ばしいニュアンスが生まれます。

お茶お淹れた後の色、「水色(すいしょく)」も、凍頂烏龍茶のほうが少し黄色味が強いです。
ただ、生産者さんによって異なるため、
一概に「こうだ!」とはお伝え出来ません。

凍頂烏龍茶も、阿里山烏龍茶も、まるで緑茶のような黄色っぽい水色です

よりしっかりとした味が好みの方は「凍頂烏龍茶」
繊細で爽やかな味が好みの方は「阿里山烏龍茶」
を選ばれることをお勧めします。


さて、今回は台湾の歴史と有名な烏龍茶3つをご紹介致しました。
次回も台湾特集は続きます…



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