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おっぱいが閉店しました

今夜はいつもとちょっと違う。

夕飯の食器を洗ったら、朝から読めていなかった新聞をゆったりと広げる。

読み終わる頃、お風呂上りの1歳の息子を、夫から受け取り、保湿や着替え。その後、夫が寝かしつける。私はリビングで待機。私を求めて泣く息子の声に落ち着かないけど、段々静かになって、私は本当に久しぶりに、ゆっくりと一人で好きなだけお風呂に入った。

それというのも、おっぱいが終わったのだ。

正確には2月11日、おっぱいが閉店した。

息子が生まれてから、1年と3か月と20日のことだ。

出産直後、あんなに張ってパンパンだったおっぱいは、息子の離乳食が始まり、もりもり食べる量が増えるのに反比例して、段々としぼんでいった。3時間おきの授乳は、1歳を過ぎて夜のみになり、最近は寝る前に1日一回に。

割と早い頃から、私は断乳や卒乳の情報を見ては、「こんなにおっぱいを求める息子にそんな酷なことできない!」「おっぱいも張ってつらそう・・」と恐れおののいていた。

けれど、予想に反して、私のおっぱいは何も言わなくても、段々と生産量を減らし、つい昨日、そのシャッターをガラガラとおろして、「閉店」の張り紙をはったようだった。

閉店のおっぱいを前にした息子は、じーっと見て、指でつついた。口に含まなくても、「閉店」したことを感じ取っているようだった。しばしの沈黙の後、何度か口に含んでみて、すぐに離した。

あぁ、終わったんだな。

それはあまりに自然な流れすぎて、もうおっぱいを飲む息子を見られないと涙が流れるようなことはなかった。

ちなみに、「しなびたナンのようになる」など、巷ですごい形容をされている授乳終了後のおっぱいだけど、なんというか、まぁ妊娠前に戻ったのでしょう。気持ちとしては、「前より小さくなった!」とか見栄を張りたいけど、たぶんこのくらいだった、と思う、たぶん。

気が抜けて、リラックスしたように見える、私のおっぱい。

まずは、1年3か月と20日近く。ざっと3千回くらい。一日も休むことなく、おっぱいを供給してくれて、ありがとう。息子は生まれた時の体重から3倍以上も大きくなりました。

夜中は本当に眠かったし、最初の数か月は乳首が痛くて薬を塗りながら、頻回の授乳を中心に生活しているような日々だった。泣きたくなる日もあったけど、少しずつおっぱいは強くなり、おっぱいを求めてしゃぶりつく息子が本当にいとおしくてなっていった。

出産したからといって、いきなり母になるわけではなくて、最初は得体のしれないあまりにか弱い生き物に恐れおののいていたけど、おっぱいの時間は間違いなく私を母になる喜びと愛に満たしてくれた。少しずつ、身体を通じて、私なりの母を感じることができるようになっていったと思う。

おっぱい卒業した初日。大の酒好きの私だけど、この2年と少しでだいぶ弱くなってしまって、念願の「夕飯とともに晩酌」はできなかったけど(おっぱいにアルコールが入らないよう寝かしつけ前は禁酒だった)、久しぶりの一人風呂の後に缶チューハイをぐびぐび。

やっぱり、最高でした。

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