迷ったらこれ!『定番×鉄板絵本』
小さいときから、絵本を毎日10冊読み聞かせされて育ちました。
児童書コンシェルジュの川向です。(今になって、うちの母親じつはすごかったのでは?と思っています)
みなさん、絵本ってどうやって選んでいますか?
自分が子どもの時に読んでいたもの?
→「でも、あんまり覚えていないんだよなあ……」
子どもが自分で選んできたもの?
→「それだと、キャラクターものとか図鑑とかばっかりで偏りが……」
とりあえず、本屋や図書館で目についたもの?
→「でも、たくさんありすぎて何を選んだらいいか……」
そんなお声を周りからもよく聞いたので、今回は「とりあえず、これを選んでおいたら間違いはない!」という、『定番×鉄板絵本』を年齢ごとに1冊ずつご紹介しようと思います。
本当に定番ものばかりなので、ちょっとした読み聞かせポイントも添えながら、ご紹介します!
※わかりやすいよう年齢別でご紹介しますが、絵本は「何歳向け」などは明確にはなく、子ども一人ひとりの成長に合わせて自由に選ぶのが一番だと個人的には思っています。あくまでも目安として、ご活用ください♪
★0歳『だるまさんが』作:かがくいひろし(ブロンズ新社)
ド定番すぎて、これを紹介していいものが迷ったぐらいですが、今回のテーマを思い出し、勇気を出してこの絵本を選びました。
「だ・る・ま・さ・ん・が?」の後にオチをつけながら繰り返し続く展開に、赤ちゃんはケラケラ笑ってくれます。赤ちゃんは、まだ目が未発達なので、はっきりとした色のものしか認識できませんが、白い背景に赤いだるまさんだけのシンプルなこの絵本には食いつきます。
また、言葉のリズムも楽しいようで、この絵本を覚えると本がなくても「だ・る・ま・さ・ん・が?」と言っただけで笑ってくれるようになることも!
読み聞かせもしやすい本なので、最初の絵本としておすすめしたい絵本です!
☆読み聞かせポイント
・「だ・る・ま・さ・ん・が?」は、「だるまさんがころんだ」みたいにリズムよく。
・絵に合わせて、子どもの体を左右に揺らしながら読んであげると、さらにGood!
★1歳『きんぎょがにげた』作:五味太郎(福音館書店)
これもド定番すぎて迷いましたが、(以下省略)。
1982年に発売された40年以上前の絵本ですが、そんな昔の絵本とは思えないほどデザイン性が高く、いつになっても古くならない絵本です。
1歳は、ちょうど指差しができるようになる頃です。そんな頃にはぴったりの、簡単な探し絵のような内容で、子どもたちは楽しそうに絵本の中で逃げるきんぎょを指さして遊びます。
もうきんぎょが隠れている場所は知っているのに、子どもたちは何回も何回も読んで遊んでくれるので、すごくコストパフォーマンスが高い1冊でもありますよ!笑
☆読み聞かせポイント
・ページをめくるときに、「こんどは~(ここでさっとページをめくる)どこ?」などと、めりはりをつける。
・最初は普通にきんぎょを探して楽しんでもらい、何回も読むようになったら「ぞうさんはどこ?」「緑色のきんぎょはどこ?」など、絵に出てくる違うものを探して遊ぶ。
★2歳『はらぺこあおむし』作:エリック・カール(偕成社)
私は昔、色んな人に「昔読んでもらって、覚えている絵本ってなんですか?」と聞いて回っていた時期があるのですが、その際圧倒的1位で回答されたのが、この絵本でした。
鮮やかな色遣いや、おいしそうで「一度食べてみたい!」と憧れた食べ物たち、そして穴が空いているしかけが、大人になっても心に残っている人が多かったようです。
今はこの絵本の歌も作られていて、読み聞かせの際にその歌を歌いながら絵本を見せても盛り上がります!
一度聴いたら頭から離れないような歌なので、ぜひ一度聴いてみてください♪ CDつきの絵本も購入することができますし、Youtubeでも聴くことができますよ!
☆読み聞かせポイント
・歌を覚えられるなら、子どもと一緒に覚えて歌いながら絵本を読む。
・「おなかがぺっこぺこ」の部分で、子どものお腹を(大勢の前で読み聞かせするなら、自分のお腹)ポンポンと叩いて、お腹が空いているアピールをする。
★3歳『ぐりとぐら』作:なかがわりえこ と おおむらゆりこ(福音館)
「昔読んでもらって、覚えている絵本ってなんですか?」ランキング、第2位の絵本がこちらでした。
のねずみの「ぐりとぐら」が、大きな大きな卵を見つけて、カステラを作ってみんなで食べるというお話なのですが、そのカステラのおいしそうなこと!!!大きくて、黄色くて、ふわっふわで、絵本の中からい~い匂いが漂ってきそう!
この絵本を読み聞かせすると、今でもカステラのページで「わあ~!」と子どもからも大人からも感嘆の声が上がります。
最後に、卵の殻でぐりとぐらは車を作るのですが、それもまた子どもの心を掴んで離しません!
☆読み聞かせポイント
・カステラのシーンでは、自分がそのカステラを「おいしそう!」と思いながら読むこと。
・ぐりとぐらがお話の途中で歌う歌は、リズムよく読み上げること。
★4歳『三びきのやぎのがらがらどん』作:マーシャ・ブラウン(福音館書店)
「お父さんが読み聞かせするのに、おすすめの絵本は?」と聞かれたら、私は真っ先にこの絵本をおすすめしています。
三びきの大きさの違うやぎ(名前は、みんながらがらどん!)が、おいしい草を食べるために、恐ろしいトロルがいる橋の上を順番に渡っていきます。ノルウェーの昔話が原作のため、同じやり取りが三回繰り返されるのですが、子どもたちはこの繰り返しの展開が大好き!
文章は少し長いですが、その繰り返し展開のため、物語に集中して最後まで聞いていられます。
トロルや大きなやぎのがらがらどんのシーンなど、男性が読むと迫力が増す絵本なので、読み聞かせ絵本で迷っているお父さんたちにおすすめの一冊です!
☆読み聞かせポイント
・やぎのサイズが小さいときは、早く小さめの声で。
・中くらいのときは、普通の速度で普通の声で。
・最後の大きいがらがらどんのときは、ゆっくり大きめの声で読むと盛り上がる。
★5歳『おふろだいすき』作:松岡享子・絵:林明子(福音館)
私が一番好きな絵本作家「林明子」さんの作品です。(もちろん、松岡享子さんも好き)
林明子さんは、『こんとあき』や『はじめてのおつかい』といった、名作をいくつも描かれている作家さんなのですが、今回は『おふろだいすき』をおすすめします。
自分の家のお風呂に入っていると、そこにいろんな動物たちが現れて一緒にお風呂に入るというストーリーなのですが、「つぎは何の動物かな?」と子どもたちはわくわくした顔をしながら聞いてくれます。
何か特別なことがあって動物たちがやってくるわけじゃなく、日常の延長戦上で自然に表れて自然に去っていくところが、「もしかしたら、自分の家のお風呂にも現れるかも」という気持ちにさせてくれます。
☆読み聞かせポイント
・次の動物が出てくるときは、少しもったいぶってページをめくる。
・動物たちはとても個性豊かなので、それに合わせてセリフは少し読み方を変える。(例えば、亀はゆっくり話す。せっかちなペンギンは早口で、など)
★6歳『としょかんライオン』作: ミシェル・ヌードセン・絵: ケビン・ホークス
「ルールをまもろう!」という絵本はたくさんありますが、「ルールは大切。でも、それは時と場合による」ということを学べる絵本は、あまりありません。これは、そんな貴重な絵本です。
本が大好きなライオンは、ルールをきちんと守れるならという約束で図書館に通うことを許してもらいます。そのルールとは「しずかにすること」。でもある日、そのルールを破らないともっと大切なものを守れない場面に遭遇し……。さあ、それはどんな場面なのか。ライオンはどうするのか。
この絵本を読むと「ルールとはなんのためにあるのか」という根本的な部分を考えさせられます。日常生活でも、ただ「きまりだから」で思考停止するのではなく、「なぜこのルールが必要なのか」というところまで考えるきっかけになる1冊です。
難しいことを言いましたが、「としょかん」×「ライオン」という組み合わせの時点で、子どもたちの心をがっしり掴んでくれるので、堅苦しくなく楽しんで読んでもらえる絵本です!
☆読み聞かせポイント
・ライオンがルールを破るところ以外は、淡々と読む。(そのほうが、ルールを破るときの展開が映える)
・2回目以降読むときは、カバーを外す。(カバーの下の表紙にご注目!新たな物語が!)
いかがでしたか?
駆け足にはなりますが、0~6歳までの「定番×鉄板絵本」のご紹介をさせて頂きました。
今回は「定番、定番、定番……」と呪文のように呟きながらの選書だったので、次回はまた別の切り口で絵本の紹介をしようと思っています!
みなさんの絵本選びの参考になれば、嬉しいです♪
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!