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『大人にこそ届けたい。グッとくる絵本』

こんにちは!
大人になっても、絵本を人に読んでもらうのが大好きな
児童書コンシェルジュの川向です。

最近「物語」、読んでいますか?

「もともとは本好きだったけど、この頃疲れて本が読めてない……」
「読むとしても、ビジネス書や実用書ばかり。
小説は、この頃読む時間も気力もなくて……」

という方も、多いのではないでしょうか?
(当てはまる方は、「後〇園でボクと握手!」)

私も、まさにその状態でした。
一日は24時間。一年は365日。
時間には限りがあるので、優先順位の高いものからこなしていくと
なかなか「物語を読む」時間は確保できず……。
自分の中のボキャブラリーや感性の引き出しのストックが
どんどん減って、心が貧しくなっていくのを感じていました。

「物語が読みたい!でも、時間も気力もない!」
そんなときに私は、絵本を読むことにしています。

前回の
どんな年齢でもOK! 『年齢を超えて楽しめる絵本』|KIKASETE公式|noteという記事でも

絵本に対象年齢はない

とお伝えしましたが、それは大人にだって言えること。
むしろ、大人だからこそ楽しめる絵本 だってたくさんあります。

そこで今回は、忙しい毎日を頑張る大人たちにおすすめしたい
「大人にこそ届けたい。グッとくる絵本」をご紹介したいと思います。

「絵本=子どものもの」と、侮るなかれ!
たったの数ページの中で、過去にも未来にも、宇宙にも行ける。
絵本の世界に、ぜひ癒されて行ってください!



★『ぼくのたび』作:みやにしあきこ(ブロンズ新社)

「ここではない、べつのどこかへ」

そんなことを、一度は考えたことはありませんか?
今の自分も、今いる場所も愛しているけど、
いつか、ここではない「どこか」へ行ってみたい。
そんな気持ちを持った、小さな町の小さなホテルで働く
「ぼく」が主人公の物語です。

世界中からやってくるお客さんをおもてなしする毎日を送る「ぼく」。
自分の町もホテルも愛しているし、自分の仕事にプライドも持っている。
けれど、夜ベッドに入り目を閉じると、遠くの場所に行きたい気持ちが
込み上げてきて……。

いつか、いつか。
大きなカバンを持って、この町を出て、この国を出て、
「ここではない、べつのどこかへ」行くことができたなら。


広い世界に旅に出ている自分を、想像してみてください。
どんな気持ちになりますか?

素敵なことが起こりそうで、わくわくする気持ち?
見たこともない新しい世界に、ときめく気持ち?
知らない世界でやっていけるか、少し不安に思う気持ち?
残してきた場所や人のことを思い出して、懐かしく恋しく思う気持ち?

それらの気持ちをぎゅっと1冊に閉じ込めたのが、この絵本です。

この絵本は「リトグラフ」という版画の手法を使って描かれているのですが、本当に美しく、想像力を掻き立てられる絵です。

「少し疲れたな」
「どこでもいいから、どこか旅へ出たい」
「気持ちをリセットしたい」

私はそんな気持ちになったときに、
この絵本を本棚から引っ張り出してきて、ページを開きます。
そして、じっと絵を見つめて「ぼく」と一緒に旅に出かけ、
最後に、元の場所に戻ってきます。

みなさんも、同じような気持ちになったことはあるのではないでしょうか?
そんなときは、ぜひこの絵本で「旅」に出かけてみてください。

忙しいけれど愛すべき毎日を生きる大人たちに、
ぜひ一度読んでほしい1冊です。



★『こびん』作:松田奈那子(風濤社・らいおんbooks)


圧巻される、美しい絵

物語もさることながら、この絵本の魅力は何と言ってもその美しい絵です。
片面ずつの絵ではなく、見開き2面を使って、大きく広々と描いていることもあり、ページをめくると絵の美しさと迫力に息を呑みます。

主人公は、人々の思いを詰めて海を漂う「こびん」。
(いわゆる、メッセージボトルですね!)

真っ暗な夜の海に降る、銀色の月明かり。
空も海も、世界のすべてを真っ白に染める雪。
海の中から見上げる、あたたかくてまぶしい太陽の光。
声を上げて泣いてしまいたくなるような、夕焼けの海。
光り輝き海を照らす、目が離せなくなるような圧巻の朝日。

色鮮やかに描かれるそれらの海を旅しながら、
「こびん」は人々の大切なものをその身に詰めて運びます。
(あれ……?また旅の絵本になってしまった……)


「こびん」の中に詰められているのは?

中に詰められた大切なものとは、手紙だけではありません。

兄弟の笑い声や、あたたかい空気。
おいしいスープのにおいに、家族のおしゃべり。
子どもの健康を願う、お祈りの言葉。
生まれたての音楽。

それらを受け取るたびに
「ぼくは たいせつなものを あずかった」
と「こびん」は思い、ゆっくりゆっくり時間をかけて
次の人に届けていきます。


海は繋がっている。人も繋がることができる。

この絵本は、「こびん」の旅の物語でもありますが、
人の繋がりの物語でもあります。

世界中の海は繋がっていて、たった一つなのと同じように。
世界中の人々の思いも、きっと繋がっていて、
大切なものを思う気持ちは一緒だと感じる1冊です。

「少し立ち止まって、穏やかな気持ちになりたい」
というときに、ぜひ手に取ってほしい絵本です。

読み終わった後、きっと静かであたたかい気持ちになれるはず。

こちらの「絵本ナビ」というサイトで少しだけ中身が見れるので、
ぜひ覗いてみてください!



★『あんなにあんなに』作:ヨシタケシンスケ(ポプラ社)


笑っちゃうくらい愛おしい、日常の切り取り。

最後に、今までと少し毛色の違う絵本をご紹介します。
絵本『りんごかもしれない』や『もうぬげない』で有名な
人家絵本作家ヨシタケシンスケさんの1冊です。


油断すると、泣きます。

警告しておきます。
こちらの絵本、最初に笑っちゃう感じで油断させておいて
途中で一気に泣かせにかかってきます。
グッピーなら死んでしまうくらいの温度差です。
(グッピーという熱帯魚は、とても繊細で温度差に弱い)

私はのほほんと書店で試し読みしていて、泣かされました。
(不覚!!!)

「涙は他人には見せたくないぜ☆」という人は、
ぜひ1人の時に読むことをおすすめします。

下の公式動画で、丸ごと内容が読めるので
まずは「泣かずにいられるかチャレンジ」をしてみるのもいいかも。

「泣かずにいられるかチャレンジ」初級編


初級編をクリアしたら、こちらの動画にもチャレンジ!!!

「泣かずにいられるかチャレンジ」上級編


昔子どもだった、すべてのひとたちへ

親目線で描かれている絵本なので、
子育て経験のある人にはクリティカルヒットする作品ですが、
そうでない方にも刺さる内容です。

誰だって昔は、子どもだったはず。
自分にも、こんなことがあったのかもしれない。
それが今大きくなって、もしかしたら親は
「あんなに あんなに」と思っているかもしれない……。
そう思うだけで、胸に何かが込み上げてきて
目頭が少し熱くなってくるのではないでしょうか?

自分に自信を無くしたり、自分を見失いそうになったとき
に、
ぜひ読んでほしい1冊です。

あなたを「あんなに あんなに」と思いながら愛して育てた人がいたことを思い出せれば、きっと自分も見失わないはず。

家族との何気ない日常を、大切にしたくなる絵本です。



いかがでしたでしょうか?

今回は、少し主旨を変えて
『大人にこそ届けたい。グッとくる絵本』をお届けしました。

絵本は、ページや文字数が限られているからこそ、
不必要なものを削って削って、本当に必要なものだけを選び抜き、
伝えたいことを濃縮して作られます。

だから、短い数ページの作品でも長編の小説を読んだかのような
読後感のある絵本もあるのです。

今回紹介させて頂いた絵本以外にも、大人が読んでグッとくる絵本も
子どもと一緒に楽しめる絵本もたくさんあります。

「子どものためのものだから」「大人が絵本を読むのは恥ずかしい」
などと思わず、ぜひ気になる絵本は手に取ってみてください!

選び方としては「絵が気に入った」という1点のみで大丈夫です。

今後は読書の候補に、ぜひ絵本を加えてみてくださいね!


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