「自分を知ろう」Maria Project を通じて、私たちが叶えたいこと
ギリシャの哲学者ソクラテスが大切にした「無知の知」という考え方。
無知の知は「知ることで、自分に知らないことがあることを知ることができる」という意味ですが、この一文だけ読んでも少しわかりにくいかもしれません。
しかし言っていることはとてもシンプルで、「知らないこと(無知)」と「知らないことを知っていること(無知の知)」の間には大きな差があるということです。
ソクラテスは「無知の知」を得るために街に出ては「問い」を立て、その問いの答えを人に求めていました。
大切な「問い」は「人との関わり」から生まれます。
問いを通じて、人との関わりを通じて、自分が知らないこと、自分に足りていないことの存在を知ることができます。
知ることは本来楽しく、うれしいことですが、時に苦しく、逃げ出したい気持ちになることもあると思います。
ただそういった自分の弱い部分や足りていない部分に気づいて受け止めること、それが何よりも大切です。
知らないことがあることを知ることで、人はもっと知ろうとして学び続けます。
自分が本当に欲しいものはなんでしょうか。
自分が一番大切にしたいものはなんでしょうか。
問いを通して、人との関わりを通して、私たちは自分を知っていく必要があります。
自分を知ること、すべてはそこから始まります。
Maria Project が生まれた経緯
「今後のAI化社会において、本当に必要とされるスキルは何なのか?」
それが私たちに課せられた「問い」です。
私たちはこれまでに、数々の業務効率化システムを開発してきました。
過去に「10人必要だった業務を、たった1人で回せるようになるシステム」を開発したことがあります。
90%の人件費を削減できるのですから、とても画期的なシステムといえるでしょう。
経営陣の皆さんも大変喜んでくれました。
しかし、それはあくまでコストと経営の観点からの評価です。
システム導入により、その部署はメンバーを1名残しました。
では他の9人はどうなったのでしょうか。
これまで活躍していた9人は部署異動になりましたが、異動先が合わなくて会社をやめた方もいらっしゃいました。
結果として、新たなシステムの開発が9人とその家族の生活に大きな影響を与えたのです。私たちがそれを知ったのは、その会社をやめた社員の方から厳しいお言葉を頂いたときでした。
良かれと思って開発したシステムが、誰かの生活を脅かすことになっていた。
それに気づいたとき、私たちは愕然とし、私たちの存在意義すらも見えなくなってしまいました。
しかしながら、業務の効率化を止めることは誰にもできません。
私たちが止めたとしても、また別の誰かが同じことに試みるでしょう。
私たちが本当に為すべきことは何なのか。
向き合うべきものは何なのか。
自問自答を続けるなかで見えてきたのが、新しい形の教育を考えることでした。
「これからのAI化社会でも幸せな人生を送るために必要な教育システムを作ろう」
そう思って立ち上げたのが『Maria Project』です。
「Maria」には、この取り組みが自分たちの救いになってほしいという「願い」、そしてその名に恥じない仕事をしようという「決意」が込められています。
Maria Projectの理念は 「それぞれの人がそれぞれの価値観で『幸せな人生を送るため』をゴールに設定した品質の高い教育を追求し続ける」と定めました。
『幸せな人生』に近づくための4つの条件
幸せな人生を送るために必要な条件とは何なのでしょうか?
まず私たちはシステム開発プロジェクトという領域において、常に必要とされている人材、プロジェクトで残り続けた人材の共通点を探すことにしました。
そして開発現場で必要とされているエンジニアをピックアップすると、下記のような形に分類されました。
1. フレームワークや言語が作れるほどの圧倒的なスキルを持ったエンジニア
2. 多くのプログラム言語や解析手法などを深く理解しているエンジニア
3. 他言語の経験があり、アプリだけでなくインフラやDBも扱えるエンジニア
4. スキルは一定だが、良好な人間関係を築いているエンジニア
1〜3は主にスキルベースの人材で、そのレベルに到達するには相当のプログラミング習熟が求められます。当然のことながら、ここに該当するのは一握りの人材です。
一方で4の人材は、それほど高いスキルを持っていないにもかかわらず、現場で必要とされ続けていました。私たちが注目したのがこの人材です。
4に該当する人材を調べると見えてきたことがありました。
1. 自ら率先して学び続けることができる人
2. 多様性を理解している人
3. 人と協力して仕事ができる人
4. モラルを大切にする人
環境変化が激しい開発現場で常に必要とされ続けていたのは、この4つの条件を満たしている人材だったのです。
業務とは直接関係の無いスキルが、エンジニアという仕事を続ける決め手になっているという事実。
それに気づいたとき、私たちが目指すべき教育システムの方向性が見えてきました。
Maria Project が実現したいのは「自分を知るための教育」
ハーバード大学の75年間にわたる追跡調査によると、人間の幸福や健康は、年収、学歴、職業と直接的には関係ないことがわかっています。
関係があったのは『いい人間関係』でした。
いい人間関係を作るためには「自分を知ること」「相手を知ること」そして「相互理解を深めること」が必要不可欠です。
アドラー心理学においては、人間が幸せになるための条件として以下の3つを提示しています。
1. 自己受容:自分が好きだと思えて、自分にOKを出せる状態
2. 他者信頼:自分だけでなく、他人にもOKを出せる状態
3. 貢献感:自分が役に立っている感覚
まずは自分を受け入れること。それを基盤にしながら、他人を受け入れ、他者との関係性を築いていくこと。それが人の幸せにつながっているということです。
このように、さまざまな領域の調査や研究を調べれば調べるほど、幸せな人生を送るためには先にあげた4つの条件が必要であることがはっきりしました。
【4つの条件】
1. 自ら率先して学び続けることができる人
2. 多様性を理解している人
3. 人と協力して仕事ができる人
4. 社会ルールを守る人
Maria Projectでは、自分を知ること・自分を探求することの重要さに気づき、そこを起点として、それぞれが目指す『幸せな人生』を歩んでもらいたいと考えます。
私たちはそのために必要なプロダクトを提供し続けていきます。
【Maria Projectのプロダクト】
・KIKASETE:絵本を読みながら親子が一緒に学べる、子供向け対話型知育アプリです。自分の気持ちと向き合い、自分を知るための問いを投げかけます。絵本を通して多様性や社会ルール、人との関わり方、社会との関わり方を学びます。
はじまりは絵本とともに
新しい形の教育を考えたとき、私たちが手に取ったのは「絵本」でした。
小さい頃、誰もが一度は大人に読んでもらったことがある、絵本という存在。
色とりどりに描かれた登場人物がつむぐ、魅力的なストーリー。ページをめくれば想像していなかった展開に胸が踊ります。
そして何よりも、絵本は親と子のあたたかな関わりの象徴のように思えました。
「絵本をテーマにして教育と向き合いたい」
そうして生まれたのが「KIKASETE」です。
「KIKASETE」は絵本を読みながら、親子が一緒にそれぞれの想いや感情に気づくことができます。
「なんでそう感じたんだろう?」
「この人はいまどんな気持ちなんだろう?」
問いを通じて気づきが生まれ、その気づきは自分を知ることにつながります。
私たちの役割は、あくまでその最初の問いを投げかけるだけ。
問いの先にある自分を見つけるのは、あなた自身です。
「自分を知ることを通じて、自分の幸せにたどり着いてほしい」
それが私たちが心から望むことです。
あなたが、大切なあなたを見つけられますように。