①日本の政府がやっているのは対策ではなく空気づくり <日本は「3密」・欧州は「1.5m」>
ダースレイダーさんと社会学者・宮台真司さんによる、これからの世界と社会の考察トーク『100分de宮台』
「長いので見ない」となるのは勿体ない。たくさんの人にちょっとでも内容が届いたらいいなと思い、一部を文字に起こしました。
①日本の政府がやっているのは対策ではなく空気づくり(44:28〜)
日本では空気によって国民を支配できる。
法的根拠がなくても「みんな家にいてね」という空気を被せれば家にいてくれる。日本では今「3密」が自粛されている。
ヨーロッパ標準では「3密」ではなく、「1.5m以内に近づいてはいけない」という明確な基準がある。
日本では外にでいると警察官が職務質問をする。(本当は任意でなければ職務質問はできないはずだが、このコロナの雰囲気で職務質問されてもしょうがないという認識になっている。これも空気による支配が可能な日本の現状。誰もおかしいと思わない。)「今何してるんですか?」「どうして外にいるんですか?」そういうことをするだけ。
ベルギーでは、例えば並んでいるとお巡りさんがやってきて実際に1.5m離れているのか測る。それが仕事。「3密」がいけないとかじゃなく、実際にどのくらい近づいたらいけないのか、の基準をはっきり作っている。
空気による支配のダメなところは、みんなが適当になること。例えばお花見をしている自分たちは互いに1.5m以上離れていたとしても、近くにいる他のグループが1.2mくらい近づいているのを見ると、「みんなやってるし俺たちもいいんじゃね」みたいな空気になる。何が「3密」なのかがみんな分からないから。
通勤電車も空気。「3密」がいけないという空気はあっても、「でもみんな電車乗って会社行かなきゃいけないんだから。。しょーがねーじゃん」という空気で通勤電車が成立する。基準が曖昧だから。
「3密」というが、単純に1.5m以上離れれば「3密」は成立しない。ただそれだけのこと。ベルギーで言うと、スーパーの決められた敷地内では「人数制限」がある。エントランスで数を数えてストップする。「この広さの場所ではこの人数しか居てはだめで、お互いの距離はこのくらい離れている状態が適切です」。本来は、これだけでいい。
それが分かっていれば。「あれはやっていいのかな」「これってどうなの」「あそこは3密に入るのか?」を丸投げされることなく、全員が同じ指針で動ける。
コモンセンスが崩れた今の日本のような社会で、空気による統治は機能しない。だが、コモンセンスがとっくになくなった今も日本はまだ同じことをしている。
みんな「3密」が何か分からないので、結局全部ダメになる。本当は大丈夫な場所もダメになる。
「全員が全て自粛しなさい」という雰囲気を作りながら、「ただし保証はしませんよ」ということが認められそうなのが今の日本です。
【blog主】「2歳4歳の子育て中の母」であり「保育士」。ふたつの現場での経験を社会学・人類学・哲学・政治学・宗教学・アートなどボーダレスな分野の知から考察。これから子どもたちが大きくなって船を漕ぎ出していく社会に疑問が沢山。同じような疑問や不安を持つ子育て世代と、気付き・学び・疑問などをシェアして考えたい。大阪府にて“子育てハウス”を媒介にした共同体を作りたいと企画中。友達申請・メッセージはこちら→ https://lin.ee/qK7pte