⑥世界同時にスタートしたコロナ対策。統治権力のマトモさを一斉に比較できる機会
たくさんの人にちょっとでも内容が届いたらいいなと思い、一部を文字に起こしました。
(ダースレイダーさんと社会学者・宮台真司さんによる、これからの世界と社会の考察トーク『100分de宮台』)
■世界同時にスタートしたコロナ対策。統治権力のマトモさが比較できる滅多にない機会 (1:07:15〜)
日本は昨年12月までの指標の結果、GDPが7.1%下落した。イタリア、韓国に個人別GDPを抜かれた。個人別GDPを抜かれたというのはどういうことか。日本の産業構造の全体的な生産性がそれほど低いということ。
1964年の東京オリンピックの翌年というのは、結構大きな不況だった。だが、当時は経済成長が13%あったのでみんなすぐ忘れた。
今の日本は、コロナ以前の段階でマイナス成長。コロナがなかった場合、その後の経済的な落ち込みから回復できる見込みは実はない。そのことを、エコノミストや投資家に近い人たちは、本当は知っているけど言わない。言ってしまったら株価に影響してしまうから(自分たちのゲームが終わってしまう)。でも、そういう意味でいうと、もう日本はゲームオーバー。
さて、そこから先。この視点でのコロナウイルスの意味とは何か。師・廣松渉が言っていた「歴史の推転」を早める力となる。国のまともさの度合いが、今回のコロナの騒動で明らかになる。今各国のベールが取られている。
2019年12月31日。武漢で何か起こってると世界の全員が知る。そこから各国が対策をスタート。どの国でどんな対策がとられ、どんなスピーチをし、国民はどのように反応しているか。全部横並びで明らかになっている。このような機会は滅多にない。言ってみれば、各国が参加する競技として、オリンピックは実はもう開催されている。まさに、オリンピック・オブ・ガバナンス。そして、もう台湾が金メダルを取った。(なぜ台湾が金メダルかは動画を見通してください)
ドイツはほぼ全州調査に乗り出している。その結果、感染率が非常に低い。たくさん検査してカウントしたから感染率が低いということではない。死亡者がものすごく低い。その結果、病床のパニックも起こっていない。それどころか、ヘリコプターを通じて、イタリアから重症患者をどっさり引き受けている。多くの人は、「ドイツすごいな」と思った。
韓国や中国も、今後は分からないけれど、封じ込めには一応成功した。第一段階はクリア。韓国、中国、台湾、シンガポール、「すごい」となっている。しかし、日本すごい、と言っているのは日本人しかいない。アメリカ大使館もドイツ大使館も「日本はヤバイ」と言っている。
コロナによって今急激に世界が中国化・台湾化しようとしている(テックで覆われる社会)。そうすると、コロナ騒動後、この末に私たちはどういう社会を築くのかが問われる。社会のデザイン(ソーシャルデザイン)を真剣に考えるチャンスがほとんど初めて与えられている。全世界平等に与えられていて、もうすでに差が出始めている。
例えば、台湾。オードリー・タン(デジタル担当政務委員の大臣)が率先してアプリを開発。全国のマスク需要やどこにどのくらいあるのかの在庫状況が分かるようになっている。マスク不足に対処するためにいち早く導入したマスク配布システム。それがすぐにできるようになる国がある。一方で、IT担当大臣がはんこ議連の会長を兼ねているため、テレワークをしながらもハンコを押さなければ出社できないという国もある。
(参照↓)
これが今、世界で同時に起こっている。これを私たちは今意識しておかなければならない。あの時日本はああいう対策を取った。と後で気がついてももう戻れない。選択のチャンスがいくつかある今、私たちが真剣に考える必要がある。
(もちろん、個人のデータを取られるのは嫌だと多くの人は思うだろう。けれど全世界が、中国のようなテックを駆使した監視社会に遅かれ早かれなる。というか、このコロナの騒動でいっきにそれが早まっている。自分の家族を守るために人々はそれを採用するだろう。そうなった時、テックによってデータが取れていない訳の分からな人間は他国でどう扱われるのだろうか。またそれだけではなく同時に、テックの拡充によって安心安全便利快適にはなるけれど、それで私たちは幸せなのか。倫理の問題なども合わせて議論しておかなければならない。/動画別部分でのトーク内容)
ドイツのメルケルや、イギリスのボリス・ジョンソンを見れば分かる通り、統治権力を見る時、統治者が「人としてマトモであるかどうか」がポイントになる。そういうマトモな統治者が統治しているというのは、国民がマトモであるかどうかに関係している。
私たちはこれから統治権力に対して抱く感情が変わると思う。日本は、どこよりも統治権力がダメだ、と言う意味で、「日本すごい、こんなにダメなのか」となる。そういう目線が必要だったが今まで日本にはなかった。私たちにとっては、今、チャンスが与えられている。
【blog主】「2歳4歳子育て中の母」であり「保育士」。ふたつの現場での経験を社会学・人類学・哲学・政治学・宗教学・アートなどボーダレスな分野の知から考察。これから子どもたちが大きくなって船を漕ぎ出していく社会に疑問が沢山。同じような疑問や不安を持つ子育て世代と、気付き・学び・疑問などをシェアして考えたい。大阪府にて“子育てハウス”を媒介にした共同体を作りたいと企画中。友達申請・メッセージはこちら→ https://lin.ee/qK7pte