【エッセイ】ワタシの父と母
今年も8月9日がやって来た。
午前11時2分、長崎に向かって手を合わせる。
昼過ぎ、電話が鳴る。母からだ。
「お誕生日おめでとう。57歳になったのね。私が歳をとるはずよねぇー」
57歳といえば、母が仕事を辞めた年。夜勤がつらくて、定年を待てなかった。母が「看護婦」と呼ばれていたころの話。
母は仕事を辞めてから、父と二人で海外旅行を楽しんだ。エジプトのピラミッド、ペルーのマチュピチュ遺跡、バチカン市国のサンピエトロ大聖堂、カンボジアのアンコールワット遺跡群、中国の万里の長