神は細部に宿る
「神は細部に宿る」とは、ドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエの言葉です。細部にまで妥協せずに仕上げることで、全体の完成度が高まるという意味であり、この考え方は建築にとどまらず、ワインや飲食の世界においても重要です。
たとえば、グラスでオーダーが入ったワインでも、「ボトルを見せて」と依頼されることを想定して、美しく抜栓するのが一流の飲食店の共通点です。とくに、シャンパーニュなどのスパークリングワインの場合、ボトルの先端を覆うシールの切断部分がきれいな直線を描いているかどうかは、その店が細部にどれだけこだわっているかを象徴します。
料理においても同様です。器選びには、料理に合わせるだけでなく、季節やその料理をオーダーした客の雰囲気までが考慮されます。数ある選択肢の中から、最高の一皿を選び出すことこそ、店主の腕の見せ所であり、プロフェッショナルとしての証です。
こうした細部へのこだわりに気づくようになると、ワインの注ぎ方ひとつにさえ、その背後にある店主の信念や美学が感じられるようになります。店全体の雰囲気や所作の一つ一つに込められた意味を見逃さず感じ取ることで、その店の本質的な価値が読み取れるようになってくるのです。
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