ラングドックのプレミアムワイン
南仏では、AOP(原産地呼称保護)よりもIGP(地理的表示保護)ワインが多く、とくにラングドック・ルーション地方では70%以上がIGPワインです。そんなカジュアルな印象のラングドック・ルーションにも、他のワインと一線を画す〝プレミアムワイン〟があります。それが今回ご紹介する「ドメーヌ・ド・バロナーク」です。
このシャトーの所有者は、シャトー・ムートン、ラフィット、オーパス・ワンなどを手がけるロスチャイルド家で、世界中のワイン生産者の中でも屈指の知名度を誇る一流企業です。「シャトー・ド・バロナーク」は、ラングドックの「リムー村」という小さな村で、メルローワインのパイオニアとして知られています。かつては「泡」と「白」のみ生産が認められていたリムー村で、バロナークが作るメルロー種のワインが大変な好評を博したことから、「赤」が追加認定されました。
2007年ヴィンテージは、経年による若干のくすみはあるものの、いまなお艶やかで潤いに満ちた外観を保っています。カシスのリキュールのような濃密な香りと、ジビエや生肉といった獣香が特徴です。イベリコ豚との相性はいうまでもなく、メルローならではの果実の甘味に南仏ブレンドらしい複雑かつスパイシーな風味が加わり、ステーキをいっそう引き立てます。
〝カジュアルワイン〟の代表格ともいえるラングドックにおいて、高付加価値のワインを生み出すことに成功した「ドメーヌ・ド・バロナーク」。他の生産者もバロナークに続き、以下のような取り組みを通じて、ラングドックワインのブランド力向上に貢献してくれることを願っています。
1.技術力の高い生産者が参入し、プレミアムブランドを確立すること
2.ワインの背景や歴史、栽培者の情熱を伝え続けること
3.最新設備や醸造技術だけでなく、生産関係者に対する教育投資を行うこと
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