プイィ・フュメの守備範囲の広さ
フランスを代表する白ワインのぶどうの品種といえば、シャルドネとソーヴィニヨン・ブラン。香りも味も、両者はさまざまな点で相違があります。
たとえば、香りが控えめなシャルドネよりも、ソーヴィニヨン・ブランはハーブ系のみずみずしい香りが特徴です。味わいにおいても、栽培地域ごとでの差が大きいシャルドネに比べると、酸味が強く、柑橘系の風味がソーヴィニヨン・ブランの代名詞といえるでしょう。
なかでも、ソーヴィニヨン・ブランの三大銘醸地のひとつ、フランスのロワール地方で生産されるのが、プイィ・フュメという白ワインです。今夜は「プイィ・フュメ・レ・アンジェロ マッソン・ブロンデレ」の2014年を抜栓。その煙たい鉱物質のニュアンスと、丸みのある酸味、そしてレモングラスのような柑橘系の香りが漂います。
プイィ・フュメのさわやかな酸味が、ヒラメやタイなどの脂の少ない白身魚の繊細な味わいを引き立てます。ハーブや柑橘を加えた軍艦巻きや、ネギトロにシソやミントを混ぜ込んだものもまた、プイィ・フュメの柑橘系やハーブの香りと相性はすこぶるよいでしょう。イカに少しのレモンを添えたものも、さわやかな特性と見事に調和します。
意外と知られていないのが、いくらとはかなり相性が良いということです。プイィ・フュメの酸味がいくらの脂っぽさを中和し、フレッシュな柑橘系の香りがいくらの海の風味を引き立てます。いくらには旨味成分が豊富に含まれており、プイィ・フュメのミネラル感と相まって、相互に味わいを高め合うからでしょう。
このように、ソーヴィニヨン・ブランの守備範囲はかなり広く、「繊細な白身魚、いくら、そして柑橘やハーブを用いた鮨」などがプイィ・フュメと相性の良い鮨ダネの一例です。鮨とワインのマリアージュは、それぞれの特性とテクスチャーのバランスを楽しむ、最高の美食の旅といえそうですね✨