5度の押さえ方
お悩み:ドとソのように同じ指を使った和音の音程を上手くとることができません。
【5度とは】
お答えする前に、まず弦楽器の仕組みを簡単にお話しようと思います。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロは、音域は違えど、いずれも4本の弦が張ってあり、それぞれの弦の音程間は「5度」です。
その「5度」というのは、シンプルに言えば、「ド-レ-ミ-ファ-ソ」と5つ音を並べたときの、ドとソの関係です。
例えば、ヴァイオリンの弦は、下から「ソ-レ-ラ-ミ」と調弦をするのですが、ソとレ、レとラ、ラとミはそれぞれ「5度」の関係ということです。
【和音とは】
お悩みに書いてある「和音」という言葉ですが、ここでは、ひとつ以上の音をいっぺんに鳴らすことを差すので「重音」「ハーモニー」と同意語になります。弦楽器というと単旋律を弾く楽器というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、工夫次第では、最大4音まで (弦が4本なので) いっぺんに鳴らすことができます。
【5度の和音とは】
先ほど、ヴァイオリンの弦は、下から「ソ-レ-ラ-ミ」と調弦をすると書きましたが、つまり、指で何も押さえない状態 (開放弦) で、下2本の弦 (「ソ=G線」と「レ=D線」) を同時に鳴らすことができます。そして、同じ指で隣の弦を押さえることで、他の「5度」の関係の和音を弾くことができるわけです。
【どうしてこれが難しいのか】
同じ指で2本の弦をいっぺんに押さえることの難易度は、実は人によって違います。私は比較的指が細いので「5度」をとるのは今でも苦労します。弦と弦の間に指がちょうど挟まって、弦をちゃんと押さえられないこともしばしば。しかも、ヴィオラはヴァイオリンよりもネック部分 (楽器のボディと渦巻きの間の黒い細いところ) がやや太いので、弦と弦の感覚もやや離れ気味になり、より難しくなります。ただ、私の場合それでも、指先がカエルのようにちょっと丸くなっているので、指先までほっそりした指の持ち主さんはもっと苦労されていると思います。
また、同じ指で押さえると、指の角度のコントロールが他の指よりしにくいので、音程が不安定になりやすいとも言えます。いただいたお悩みはまさにそこですね。
【解決法】
① 比較的太さのある人差し指か中指で押さえる。
② 指を立てて真上から押さえてみる。
③ ②の方法が指が細くてうまくいかない場合は、指をペタッとねかせてとることになりますが、その時に上の音の音程が下がらないように手首や肘を少し内側に入れる。
(写真はヴィオラでドとソを押さえています)
指の太さや肉づきなど個人差がありますし、曲の前後関係や場面によっても押さえ方は変わってくるので一概には言えませんが、ご参考になれば嬉しいです。