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第1章[小説]34年の距離感 - 別離編 -

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クラスメイトの朔玖に、触れてほしくないことを訊かれた月桜。誰にも見せたことのない怒りを朔玖にぶつけるも、そのとき不思議な感覚を体験する。朔玖は、月桜の噂の真相を知っているのだろう…
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第1章-1 (#1) キミってそんな子じゃないよね?[小説]34年の距離感 - 別離編 -

 『キミってそんな子じゃないよね?』  目の前にいる朔玖は何も言わなかった。  だけど確かに聴こえたんだよ。朔玖の声が。  「ごちそうさまでした」の挨拶と同時に、彼らは一斉に教室を飛び出していく。中学生にとって、昼休みは唯一自由を満喫できる時間だ。給食の配膳台を片付けているところに、校庭に急ぐ男子の群れから外れた朔玖が近づいてきた。 「長濱のことなんだけど……」  またかよ。これで何人目だよ。その名前はもう聞きたくない。どうせ朔玖も、あの噂を信じてるんでしょう。仲良く