ディジョン、Cite de la Gastronomie et du Vin 二十歳最後の大冒険。#2
二日目、早くも怯えていたシチュエーションに遭遇する。“When is the checkout?” …「朝ごはんは7時からです。」
そう、ホテルで英語が通じなかった。全く通じていないこともないがあまり得意ではないようだ。覚悟はできていたつもりだったが、いざ直面すると焦る。
グーグル翻訳さんの助けを借りながら、わずか半年の授業で習った断片をかき集める。
“Je voudrais le cle…vingt trois?(23番の鍵をください)” “Vingt trois? Voila.(23番ですね?どうぞ)”
おお…伝わったぁ…!ここまでは “Sil vous plait?”と“Merci!”で乗り切ってきたので実質初の成功体験。
さて、ディジョンの驚きはトラムと初めてご対面したことにはじまる。
このあとフランスのいろんな都市でトラムにはお世話になるのだが、はじめてこんなものをみるととんでもなく都会にいるように思えてくる。
ディジョンはブルゴーニュ地方の中心都市で、パリからはTGVで約2時間。朝ホテルからいったん空港に戻り、パリ中心部まで出てTGVに乗るという2日目にしては大移動だっだが、意外とすんなり到着できてまずは一安心。(空港からオペラ座へのバスで、一人で来ていた日本人のおじさんが「夜空ノムコウ」を熱唱し始めたことが一番の恐怖体験だった。なぜ…)
ディジョンに来た理由は、今年オープンしたばかりのミュージアム“Cite de la Gastronomie et du Vin ”があることを知ったからである。
まずどうしても見てみたかったのは美食の展示。常設展のGastronomieの展示、企画展のスイーツ展、そして五感で食を学ぶ展示が開催中だった。
食べずにはわかりにくい、また日常のことである「食」をどう展示にするのか非常に気になっていたのだが、出会ったのは超体験型展示の数々だった。
お皿を裏返しながら読むテーブルウェアの変遷、大きな木製のマカロンを開くと現れるマカロンの秘密…と細工が細かい。
スイーツ展では大きなタッチパネルで作る工程を体験できた。メレンゲづくりなどの実際の映像に合わせて手を動かすのだが、正しく指示通りに動かさないとNG判定が出てしまい、子どもむけだろうとナメてかかると苦戦する。
ワインの中の香りを当てるゲームでは、ボタンを押すとボトルの中から香りが吹き出される。嗅いで当てるだけなのだが、私は高校の授業でトリュフの匂いを嗅いで「たくあん!」と答えた前科がある。全然、当たらない。
片っ端から遊んでいたらあっという間に2時間経ってしまった。説明は英語でも読めるのでそこは安心してほしい。
この街には、ワインショップ、チーズショップ、魚屋に八百屋、果物屋、食専門の本屋さんまで一通りの店が揃っている。全部できたばかりなので、綺麗かつ開放的で入りやすい。本を3冊も買ってしまいすでにカバンが重い。
さて、この日はもう一箇所どうしても行きたいところがあった。Citeの目の前からトラムに乗り、終点まで向かう。
“Université de Bourgogne”、ブルゴーニュ大学!響きが素晴らしい!
今回の渡仏の目的はボルドー大学のサマースクールに参加することなので、ブルゴーニュ大学も(ワインらしい名前だから…)見るだけでいいから寄ってみたかった。
公園のような広場に設置された鉄棒で、マッチョなメンズが筋トレしている。奥のコートではテニス。ああ、青春だね…と一人見つめる私。
この明るさではあるけれどもう午後7時過ぎ。人の少なくなってきたキャンパスをなるべく怪しまれないように歩きながら、ワイン研究所にたどり着いた。ブルゴーニュ大学も立派な国立大で、ボルドー大学に並ぶワイン研究所を持っているのだ。ご縁がありますようにと密かに祈りながら大学を後にした。
受験生でもないのに海外に来てまで大学巡りをするのも変だけれど、一人だからこそできることかもしれない。
ランチのガレットと一緒に頂いたブルゴーニュの白ワインはとっても美味しかった。グラスとはいえ、昼から飲んでしまったけどすごくよく歩いた。ワインの産地巡り、早くも最高に楽しい。