もう学生じゃない② -はじめての生徒-
最初の体験レッスンは初心者の4歳の男の子だった。その子個人のことになってしまうのであまり書けないが一言言わせて頂くと「大変だった」。
「4歳からどうぞ♪」なんてホームページに書いてしまったのは紛れもなく私だがとにかく楽しませて集中を保たせないといけない。正直音楽の知識なんてものはほとんど必要なく、ここで必要とされるのは幼稚園の先生的テクニックだ。そして少なくとも今の私にそのような技量はない。持ち合わせていない。
とりあえず30分の体験レッスンを終わらせ後日お返事を頂くことに。結局記念すべき一人目はバイオリンを習うことになったのでそれきり会うことはなかった。
その後残り二人をレッスンし無事私の生徒となってくれた。掲示板に書き込んでから2日で三人も申し込みがあったのだから順風満帆、時間の調整が大変だわなんて思っていた私だったがその後ピタリと音沙汰がなくなった。9月といえばこちらでは新学期。つまりベストなタイミングで投稿したからこそピアノを習いたい人が集まったが、その波が過ぎたら私のサイトでは閑古鳥が鳴いていた。
暇だった。とにかく暇だった。たった二人の生徒のために各自のレベルにあったオリジナルの楽典プリントを作ることに精を出していたが子供はそんなに沢山出来ないので一週間に一枚作れば十分だった。
ダラダラと生きているとせっせと働いてくれている夫へ、そして社会へ世の中への罪悪感でちょっと死にたくなってしまうのでバイトを探すことにした。どうせピアノレッスンは子供が学校から帰宅する16時半以降しか出来ない。ならば午前〜お昼とモリモリ働けるではないか!
というわけで私は日本でもやっていたスイーツ販売、要するにパン屋かケーキ屋での仕事を探し始めた。