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夏の布
まりネェの手しごと。やっとトップスまでやってきました。時は夏。あ、もうすぐね。
夏と言えば、「麻」。和装家なら麻へのこだわりについて、うなずいていただけるはず。日本の古来から人々の被服として使われてきたのは綿じゃなくて、麻、なんですよ。綿は戦国時代から、だったかな?昔の民衆は絹なんか絶対着れませんからね。真冬でも麻の服を着ていたらしいですよ。寒っ!
でも夏は断然、麻!
私が着物生活者になったのは2006年。ずいぶん経ちましたね。その頃は普段に着られる着物なんて、全然持っていませんでした。でも、夏が近づくにつれて、やらねばならぬ、と毎月骨董市に足を運んで、夏物の着物やら帯やら買い込んで、とうとうその夏ひと夏、着物で通してしまいました。いろんな素材の着物を着ましたよ〜。絽とか紗とか。でも、絹は気をつかうし、手入れが大変!正直言って、下着をいっぱい着なければならないので透け透けのようで、結構暑い。で、まず、下着から変わった。麻、ですよ。麻!洗える!(単の夏着物は絹でも洗いますけどね、私)ネットに入れて洗濯機で洗える!そして、乾くのが速い!出張先のホテルのバスルームで洗って、タオルドライして、吊るしておけば、次の日に着られる!
驚きました。
それからは、麻信仰者です。襦袢はもちろん、上布、縮み…。あ、上布というのは麻の平織の生地。宮古上布とか能登上布とか近江上布とかが有名です。縮みと言うのはいわゆる楊柳のような生地。最初からシワになっているのでシワの出やすい麻特有の問題を気にしなくてよいし、通気性が抜群。有名なのは小千谷縮ね。
麻の着物を着ていれば、もちろん袖は長いから日差しを避けることができて、吸湿速乾性が良いので汗をかいても風さえあれば、涼しいのです。(ええ、風さえあれば!)
あれから14年…。まりネェの夏着物はさらに進化して、今やなんとポリエステルの着物です。化学繊維の進化は本当に凄まじい。麻のような吸湿速乾性に鮮やかな発色性と丈夫さが加えられました。今年のお出かけも着物はセオαの着物になりそうです。どう言うオチなんだか。
で、麻の古裂を手に入れまして
ほんの少しなんですが、素敵な色の麻の古裂を見つけました。ほんの少しです。
どうしようかなぁ、と考えて、折り曲げてみたり、ひっくり返したりでも、どうしても着るにはちと足りない。それで、パーツを足すことにしました。
柄が素敵なので、できるだけシンプルに。襟ぐりも切りたくない。減らしたくない。なので、切って折って、縫うだけ。
ちょこちょこ小さな穴があったりするんです。それも、一つひとつ繕って。
それで、出来上がりました。
袖も、別布では作れなかったんだけど、タックをとって仕上げたら、カフスのような趣になりました。
面白いんだよ。前も後ろも着られるの。
ほら。
時間が育んだ布地はおしゃべり。何にもしなくても、歌を歌ってくれているような気持ちになります。
気になる人はお店を覗いてみてね〜。