The Interbiew① 一色真司さん(代々木高等学校 校長) みんなが笑顔になれる学校づくり ~ part2

https://www.yoyogi.ed.jp

(Part1の話はこちら https://note.mu/mari_gss/n/n2a3f2a757426)

ユニークな通信制高校の代々木高等学校「よよこ~」は高校の卒業資格にプラスアルファ、というのを生徒たちに呼びかけている。つまり「よよこ~」は生徒がプラスアフラを得られるように、様々なカリキュラムを揃えているのだ。

「去年のアジア大会、すごい嬉しいことが起こったんですよ!」と一色校長が教えてくれた。去年夏、ジャカルタで開催された第18回アジア競技大会。競泳では池江選手が6個の金メダルを獲得しMVPにも選ばれた、あのアジア大会だ。実はそのアジア大会で、ゴルフ競技において、男女それぞれ個人優勝を飾ったのは、なんと「よよこ~」の生徒だった。

「よよこ~」には「プロスポーツ」コースというのがある。プロのアスリートを目指し、カリキュラムにはトレーニングメニューなどを組み込んでいる。そこにゴルフのコースもある。

(写真は代々木高等学校のHPより。https://www.joc.or.jp/games/asia/2018/japan/golf/team/nakajimakeita.html)

しかもさらに興味深いのが、個人女子で優勝した笹生優花さん。彼女は「よよこ~」の生徒だが、フィリピン国籍なのでフィリピン代表で大会に出場し優勝を飾っている。「よよこ~」はインターナショナルでもある。

他には音楽やアート、デザイン、ファッションなどの専門教育を学ぶコースもある。それらは多くが実践型の教育を取り入れており、上級学校への進学、あるいはプロデビューを見据えたカリキュラムになっている。

さらに面白いのが様々な企業や団体と学校が提携し、作り上げている奨学金コース。地元の伊勢志摩のホテルや旅館で本格的な料理人として学ぶ「伊勢志摩料理人コース」やバイク修理を学ぶ「バイクメカニックコース」、最近ではゲームのバグを見つける「デバッガ―コース」も人気だ。「漁師コース」はカツオやマグロの一本釣りを学ぶため、年間の大半を海の上で過ごす。

奨学金を受けつつ、働き、本場の技術も学べる、場所によっては住み込み、かつ親方ととことん顔を突き合わせてディープな人間関係も得られる一石二鳥、いや一石三鳥といったプログラムも充実しているのだ。

全日制であろうが、通信制であろうが形式は正直構わない。どういうスタイルが本当に未来を担う子どもにとって重要なのか、それを突き詰めて作り上げている印象を持った。もうとことんお節介、といわれるほどに「子ども第一主義」を貫いている。

「様々な子どもたちが、色々な問題や課題を抱えていても輝ける環境づくりのためであったら、誰とでも交渉し、なんとしてでも道を開いていく」。そう言い切る一色校長。まだまだ何かを仕掛けていってくれそうだ。

課題は何だろうか。

「大きな壁は親世代や社会の偏見です」。

確かに少しずつ通信制の学校は知られてきたとはいえ、まだまだ完全に認知はされていない。結局は学歴社会はまだ脈々と受け継がれている。しかし、よく考えてみたい。何も考えずただぼーーーっと全日制の高校に通っている子ども、そしてその後もただただ、ぼーーっと大学に通っている生徒の多いこと。そんな学生よりもよっぽど通信制や定時制で頑張っている子どものほうが頼もしいではないか。努力もしているし、一生懸命自立しようとしている。そこにどうして偏見や差別ができるのだろう。そんな偏見がなくなる時代が1日でも早くきてほしい。

周りで悩んでいる子どもがいたり、悩んでいる保護者がいたら、ぜひこんな学校があるよ、こんな選択肢もあるよ、と教えてあげてほしい。

少子高齢化が進む日本。子どもたちは私たち社会の明るい未来だ。人間はみな違っていい。違っていて当たり前。色々な発想こそが新しい未来を創る。子どもの未来は無限大だと私は思う。大人は偏見なんかよりも理解と支援。決して子どもの未来を型にはめたり、つぶしたりしないでほしいと切に願う。



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