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The Interview① 一色真司さん(代々木高等学校 校長) みんなが笑顔になれる学校づくり~part1

旬な方々に直接お会いして話を聞くシリーズ「The Interview」、初回は代々木高等学校の一色真司校長。「お節介のプロ」を目指している一色さんのこれまでの苦悩、信念、そしてこれからのビジョンについて聞いた。

みなさんは高校には3つのタイプがあるのをご存知だろうか。フルタイムの「全日制」、夜間などパートタイム的に通う「定時制」、そしてこの2種類とは違い必ずしも通学にはこだわらない「通信制」。実はこの「通信制」が今熱い。色々な形の「通信制高校」が登場し、少しずつではあるが市民権を得てきている。

(代々木高等学校本校 学校のHPより)

通信制の中でもユニークなのが代々木高等学校だろう。「代々木」と名が付くが、三重県の志摩市に本校を置く。伊勢志摩国立公園の賢島のホテルが学校になっているという一風変わった学校だ。通信制がベースだが、通学コースもあり、週1日、週3日、週5日など選べるのも面白い。そんな代々木高等学校「よよこー」を率いているのが一色校長だ。

「今の日本の教育システムは個性をそぎ落としているんです。6~7割の子どもたちは、そのシステムにはまるのですが、それ以外は順応するのが単に難しいだけです。おかしなことでもなく、それってごく当たり前だとおもうんです。」。そう一色校長は語る。確かに詰め込み式、型にはめようとする従来の教育システムには、馴染めない子どもがいて当然だ。その窮屈な型にはまらず、不登校などになった子どもたちを、社会は「落ちこぼれ」や「怠け者」といった烙印を押す。

「人と違っていいんだよ、という単純なことを教えたいんです。だって、世界のイノベーターと言われる人たちは、だいたいが異端児だったり、あるいは発達障害だったいするんですよ」。確かにアップルのスティーブ・ジョブズ氏やマイクロソフトのビル・ゲイツ氏、ふむふむ、相当の変わり者だ。普通ではない。

筆者もニューヨーク特派員時代の2005年、ビル・ゲイツ氏に単独インタビューをした。確かに彼は変わっていた。朝イチのインタビューだったので、寝ぐせたっぷり、寝ぼけ眼でかつ、若干不機嫌な面持ちで登場したゲイツ氏。会社の細かい業績なんかにはあまり興味がなく(経済記者としてはそこのところが聞きたかったのだが・・・)新しいゲーム機「Xbox360」に話が及ぶと目の色が変わった。まるで子どものようだった。ポケットからおもむろにゲームのコントローラーを出してきて、いきなりゲームを始めた。あっけにとられた私をよそに、「ここ、ここ!これを突破するのが難しいんだよ~~~」なんて言いながらゲームに夢中になった。「すいませ~~~ん、私、いまインタビュー中なんですけど」と言いたいのをぐっと抑えた。ひとしきりゲームをやったら、ゲイツ氏は超ご機嫌になった。そんな ”異端児”ビル・ゲイツ氏だが、世界を変える偉業を成し遂げているのだ。

異端児こそ、新しいものを生み出せる。常識を疑うからこそ、新しい価値観が生み出せるというもの。現状を変えたい、常識を変えたいとの願いから学校づくりを始めたという一色校長もユニークな異端児といえる。

一色さんは自身の大学進学の学費はすべてバイトで賄った。学生の時から何か自分で起業したいと思っていたらしい。大学卒業後はリクルート「フロームA」創刊に携わった。その後、知り合いから誘われて、家庭教師派遣会社を手伝うようになったことから教育に関心を持ち始めた。

家庭教師時代は不登校や尖がっているような子どもにも接した。そんな子どもには勉強を教えるだけでなく、人生についてもいろいろと相談に乗った。ある子の高校受験の際、たまたま担任と折り合いがつかないというだけで、学校側は内申書を書かない、と言ったことがあったそうだ。せっかく本人がやる気を出し、進学したいと言っているのに。そこで一色さんは職員室まで乗り込んでいって担任に文句を言いに行った。「担任の先生はその子の何をみているんだろう、と思いました。私のほうがよっぽどその子のことは知ってましたよ」と笑って見せた。熱血家庭教師だ。

学校の先生は、はみだした子どもの面倒はできればみたくない。先生自身もとにかく忙しい。ひとりひとりに寄り添いたくても、かまっている時間はない。一色さんはついに異端児や不登校の子どもたちの内申書を自ら作成し、成績は模擬試験などの結果を付け、知り合いの高校に推薦入学を取り付けたりするほどになっていた。

そんな熱血家庭教師時代を経て、ついに自分でもっと「しばられない自由な発想の学校」を創ろう、と考えた。自由でのびのびとした学校、アメリカでいうチャータースクールを日本に導入したいと考えた。しかし、容易なことではなかった。日本の法律にはそうした学校を受け入れる仕組みがなかった。

一色さんは様々な勉強会を開き、同じような想いを持っているようなメンバーにも声をかけ、ネットワークを広げ理解者を増やしていった。まずは1993年に公教育とは別の方針を持ったオルタナティブスクール「代々木高等学院」を始めた。引きこもりや不登校、学校に馴染めない子どもなどのサポートを始めたのだ。

その後、高校卒業資格も取得できる学校づくりに取り掛かった。ちょうどその頃出会ったのが「構造改革特区制度」だった。当時「特区制度」を担当していた経済産業省の若手官僚たちとの出会いが一色さんの学校づくりへの門戸を開いた。試行錯誤、色々な障壁はあったが、ようやく「通信制」をベースにした自由発想の「代々木高等学校(よよこ~)」を2005年に設立した。

「よよこ~」は高校卒業資格+ONEをうたっている。学歴だけではないプラスONEが大切で、それが人生を輝かせてくれるとしている。「よよこ~」の具体的なカリキュラムは次回に。





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