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ヒロシマのインタビューは、つらくて無理だと思った

先日、東日本大震災について触れました。
実は当時、現地の方の活動を取材したい、そして発信したいと考えました。それが私にできることかと。
結果的に、現地の方の活動を少しだけ紹介することができただけ。現地まで行くことはかないませんでした。

次に「被ばく」ということを考えていて思いついたのは、「ヒロシマの原爆の被爆者の方にお話をうかがえたら」ということ。
広島出身の知人に話をしてみると、
「ぜひ! 主人のお義母さんが被爆者で、話をするのが大好きだから」
と言っていただきました。

2014年3月、広島に行く

すぐに実行できたわけではなく、実際に広島に行くことになったのは2014年3月。
知人とスケジュールを合わせ、広島行きパッケージツアーで宿と飛行機を予約しました。

「日本は唯一の被爆国である」
「原爆によって、多大な被害がもたらされた」

学校で習った知識はありました。
しかしインタビュー前に自分なりに、原爆や戦争について、あらためて調べてみることに。

「一体、なにが本当のことなんですか?」

自分なりに調べなおしたことで、私は混乱することになります。学校で習ったのとは違う事実が、次々に出てきたからです。

広島の知人はとても理性的なので、混乱しながらメールを送りました。
「私たちが学校で習ってきたことは、嘘だったんでしょうか? 一体、なにが本当のことなんですか? 誰が言っていることが、一番真実に近いんですか?」

知人からの返信。
「なにが本当で、なにが嘘ということはないのではないかしら。自分でいろいろな資料を読んだり、話を聞いたりして、考えるしかないと思います」

誰も嘘をついていない、すべてが真実

考えているうちに「誰も嘘をついていない」と気づきました。

同じものを見て、「あれは黒だ」という人と、「赤だ」という人がいたとします。
どちらかが嘘をついているわけではなく、ある人からは「黒」に見え、ある人からは「赤」に見える。
つまり、立場や状況によって、ひとつのものの解釈が変わるということ。
「黒」も「赤」も、その人にはそう見える、つまり嘘をついているのではなく、すべてが真実だということです。

だからこそ、物事は多方面から見ることが大事なのだと思いました。
さまざまな立場の人たちの話に耳を傾けることが必要。なるべく全容を把握するために、近づいたり俯瞰したりして見てみること。

原爆について知るうちに、つらくて無理だと思った

ヒロシマのインタビュー記事は1回では書ききれず、5回に分けて書きました。
ラストの5回目がインタビューで、その前の4回が当時の暮らし、原爆投下された瞬間について、資料としていただいた本を元に綴りました。

しかし書き続けるうちに、とてもつらくなってしまったんです。
特に、原爆投下の日、その様子を文字にしているだけで苦しくなり、涙が出てきて、「この記事を読むだけで、きっと傷ついてしまう人がいる」と感じました。「気をつけてお読みください」と、注意書きを入れたくらいです。

本当に書くのがつらくなってしまい、
「私には無理かも。つらすぎて書けない……」
“やっぱり無理です”と、ギブアップしそうになりました。

だけど、応援してくれている人もいて、協力してくれるという広島の知人もいて、「ここで投げ出すわけにはいかない」と思いました。やり遂げなくちゃ、記事にするんだと。

ヒロシマに赴き、原爆資料館、平和公園にも足を運び、インタビューを無事に済ませました。
手土産を持っていきましたが、それ以上のおもてなしをしていただき、恐縮しきり。

ブログにインタビューを掲載

ヒロシマの被爆者の方のお話をうかがいたいと思いついたとき、そういった本や記事・情報は、すでにたくさんあるけれど、いくつあったっていいじゃないかと思いました。お話をうかがい、私は私なりに記事にする。それでいいんだって。

そして、記事にした私の意見を主張するのではなく、記事を通して、それぞれの方たちがそれぞれの心で考えてもらえたら……、と思いました。

ブログに掲載した後、インタビューのとき同席していた広島の知人から「お義母さんに、読み聞かせをしたよ」と連絡がきました。
「お義母さん、喜んでいたよ。インタビューのときは、いつも聞いている話だと思っていたけれど、読み聞かせをしながら涙が出てきちゃった」と。

つらかったけれど、掲載するところまでできて良かったです。

原爆や震災については、実際に体験をしていない部外者が伝えることは、不謹慎なのではないかと感じることがあります。
でもやはり、伝えていくべきではないでしょうか。
たとえ忘れたいようなつらいことであっても、誰も語らなくなってしまうことのほうが怖い。忘れられて、無かったことになってしまうほうが怖いです。

これからもなるべく偏りのない、あるがままのことを伝えていきたいです。

ヒロシマ:インタビュー記事です。よろしければ。
https://oshigoto999.com/2014/03/22/hiroshima5/

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mari@リハビリ中ライター
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