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絵本、子ども、自然

はじめまして。岩渕真理です。
自然や生きものをテーマに絵本を描いています。
そして、自然の魅力を伝える写真を撮影しています。

ここでは、絵本や絵の制作のこと、心惹かれる自然や、環境教育など心に残しておきたいことについて書き記していきたいと思います。

絵本は、ものごころついたときから好きで、そのまま大人になっても絵本の世界で制作したり、読んだり、集めたり、紹介したりしています。
生き物も、小さなときから大好きで、幼い頃に住んでいた家の前の林で、よくダンゴムシをつかまえて遊んだり、池でザリガニやカメを見つけて持ち帰ったり、いろんな生き物を飼育したり観察していました。
絵本以外にも、図鑑も好きでパラパラと眺めては、世界にはいろんな多種多様な生きものたちがひしめき合っているのだなぁとその世界をよく想像して楽しんでいました。
そして時を経て、武蔵野美術大学の時に取り組んだ卒業制作で、これからの指針が大きく方向づけられていきました。
卒業制作のテーマは自由でしたが、今までを振り返り、自分自身がとても好きで興味があるものにしようと心に決めていました。そのとき実家の庭にやってきたキアゲハを卵から飼育したところ、そのしぐさがとても魅力的で可愛く、卒制のテーマにするならこれしかない!と思い、そこから夢中でキアゲハを観察し、200個の卵がどのくらいの割合で生存し、どのように成長するのか、その生命のドラマをダイアグラムに落とし込んだ『私の庭の昆虫生態』という図鑑を制作しました。

卒業制作の一部。庭にやってきた蝶の種類と蝶道も記録する
キアゲハのメスは約200個の卵を産むが、成虫になれるのは1,2匹

キアゲハの幼虫が、1日にどのくらいの葉を食べて、1日にどのくらいうんちを出すか、観察するだけでも楽しく、気づけば何時間も観察していることがよくありました。また、写真で表現しようと考え、キアゲハの姿をより魅力的に撮影するために、自然・昆虫写真家の海野和男さんに師事を仰いで撮影についても学び、今でも多くのことを教えていだいています。リサーチから制作するまでの過程がどれも楽しくて、「こうやって昆虫を観察する仕事が世の中にあればいいのに」と真剣に願うほどでした。また、恩師である新島実先生に、発見を共感していただいたり、励ましてくださったことも大きな力となりました。
そして、印刷会社に就職を経たり、ブックデザインの仕事をしたり、大学院で研究をするなどいろいろな道のりを歩むのですが、その旅程で生き物を観察して絵本という媒体で表現するという、好きなことの原点に行き着くことになりました。振り返ると、これまで出会った人たちや動植物、出会った絵本や物語、迷いながらも選んできたことが、だんだんと実を結ぶように形になってきたのだなと、感慨深い思いが波のように心に寄せています。

生き物を見ていると、ふとそのものに成って、世界を見ることができるような感覚をときおり感じます。
例えば、このカマキリは今どんな気持ちなのかな、お腹は空いているのだろうか、今乗っている葉っぱは足場が悪そうだな、もう少し居心地のいい場所に移動したいかも…などいろんなカマキリ視点の想像が浮かびます。
そんなとき、「自分以外の他者(虫)に成る」という視点を得ていることに気づき、人は自分以外に成るイメージや想像力、そして愛でることができる力を持っていることにはっとさせられます。そして、その力がゆくゆくは、価値観や文化、種を超えて多くの他者と歩んでいく道を見つけることにつながるのかもしれないと思います。

そのようにして、観察したものを物語や表現に落とし込み、それを読んだり、味わった読者が、いままでとは少し違う視点を得て、自然に興味関心を持つことができたらという願いを胸に抱いて、これからも表現を続けていきます。

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