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映画「島守の塔」感想
映画「島守の塔」を観てきました。
(1)映画の説明
これは、沖縄戦の渦中にいた2人の男と沖縄県民の物語です。
戦争 ー どれほどの恐ろしさが、沖縄に降りかかったのか。
この「島守の塔」の島守とは、沖縄県庁職員らです。兵庫県から県知事として赴任してきた 島田 叡(あきら)と、警察部長として着任した栃木県出身の 荒井 退造 ほか、469名の県庁職員が亡くなりました。
さらに映画のタイトル「島守の塔」というのは、沖縄の平和祈念公園にある慰霊碑。総称して「慰霊の塔」と呼ばれており、沖縄県各地に400基以上も建立されています。
慰霊とは、亡くなった人の魂を慰めることですから、どれだけ悲惨な死を遂げられたのか、慰霊碑の多さにも表れていますね。
都道府県の碑、将兵・住民の碑、職域・諸団体の碑、学徒隊の碑、沖縄・市町村の碑などがあります。
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(2)心に残ったシーン
「戦争が終わったら、勉強できますか」
男子学生を兵士とした鉄血勤皇隊を思わせる15歳の少年が、沖縄県知事となった島田叡に問うシーン。
戦争で青春や夢を奪われ、家も、家族も、命すら失い・・たとえ辛酸を舐めようと、生きてさえいれば勉強はできる。でもこの人たちは、それも叶わず蕾のまま死んでいったのですから・・涙なしに観られませんでした。
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(3)個人の感想
沖縄戦とわたくしについて、ちょっと説明しておきます。昨年8月にちょっとした出会いがキッカケで、沖縄戦を知りたいと思うようになりました。
ここから、沖縄戦に関連する本や映画を少しばかり目を通すようになりましたけれど、この映画を観て、はじめて 重い・・と感じたんです。
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今までも真剣に取り組んできたつもりでした。しかし、わたくしは戦争など言葉に過ぎない世代の人間ですから、沖縄戦を知っても、どこか現実味を帯びておらず、白昼夢のようでした。
「島守の塔」は、面白い映画ではありません。残すべきものを形にした映画です。
太平洋戦争末期に沖縄で行われた地上戦は、おびただしい数の死者を出しました。
生きのびた人も戦争の辛い記憶を忘れることなどできないはずです。もちろん沖縄県民だけではありません。戦争を経験「させられた」人すべてです。
戦争のことなど、初めから理解できないはずです。経験してないんですから。そしてこれからも経験しないために、映画、本、漫画で知り、「戦争は愚かな行為である」と認識しておきたいですね。
この映画を観て、ようやく今まで積み重ねてきた史跡巡りや読書やらが結びつき、沖縄戦の恐怖や怒りが自分の中により鮮明に写るようになったのです。わたくしにとって、とても良い映画でした。
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(4)役者の話
わたくしは、舞台挨拶のある日を選んで映画館へ足を運びました。監督、主演の萩原聖人さん、村上敦さん、香川京子さんがおいでになり、コメントを発表しました。
香川京子さんのご挨拶は、たどたどしい印象も持ちましたけど、誰よりも心に刺さる言葉を発せられていました。戦争のことを話す、伝える「心」が伝わってきました。
一体、おいくつなんだろう・・と検索してみますと。御年90歳!?凛とした方でした。当然、戦争も知ってらっしゃる年代です。映画「ひめゆりの塔」にも出演され、時を経て「島守の塔」の生き抜いた人を熱演されました。
五十嵐監督は「どうしても香川京子さんに(ご出演を)お願いしたかった」とおっしゃっていました。
ひめゆり学徒隊を 池間夏海 さんが演じていましたけれど、彼女は沖縄県出身の若手女優なんですよね。朝ドラ・ちむどんどんの黒島結菜ちゃんと同じくらい、好きになってしまいました。名演技でした。
(5)戦争について
萩原聖人さんが「戦争は誰も幸せにしない。それだけは間違いありません」といったことをお話されていました。
わたくしは、まったく意見が異なります。
戦争によって、お金を儲ける人が居て、幸せすら買えると思っている人が居ます。
「誰も幸せにしない」ではなく、世の中の「誰か」を犠牲にして、富や名誉や利を得る人が居るから、戦争が起こるのです。
ー (地上戦 間近の沖縄へ)誰かが、どうしても行かなならんとあれば、言われた俺が断るわけにはいかんやないか。俺は死にたくないから、誰か代わりに行って死んでくれ、とは言えん。ー 島田叡