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西瓜を噛りながら


縁側の孫や西瓜の種ぷっぷっ


子どもの頃、この世界の全てのことは全部、隅から隅まで、もうとっくに解明されていると信じ込んでいました。

そして、この世界の全ての真理が本に書かれていると思い込んでいました。だから、本が好き、特に図鑑が大好きでした。

父にせがんで植物や動物、宇宙など、色んな図鑑を買ってもらいました。

自転車で30分ほど、村の中心地にある小さな本屋さん。そこに並んでいる、うっすら埃を被った、重たい図鑑が欲しくてたまりませんでした。

ド田舎に住んでいる少女にとって、本を読むこと、知識を得ることは世界に繋がることでした。

本を制する者は、世界を制する!

もちろん、小学生の2年にもなると、そんな考えは愚かなことに気づきました。

質問しても子どもが納得するように答えられない大人たち、彼らの作ったこの薄っぺらい図鑑に世界の全てが入っている訳がないし、頑なに信じていた幼い自分が妙に可愛く思えてなりませんでした。

世界には、知らないことがいっぱいある。

当たり前、そんなの常識と思っていたことがひっくり返されて、いつの間にか、非常識になったことがいっぱいあります。

恐竜には毛が生えていたそうですし、思っていたよりもカラフルでした。昔の恐竜図鑑のイラストは、みんな黒とか灰色、茶色などの地味な色です。

もし、カラフルな恐竜もいたことが分かっていたら、ゴジラも派手なデザインだったかもしれません。

看護のことでは、昔は褥瘡(床擦れ)は乾かす方がいいとされ、ドライヤーで乾かしていたそうです。

ところが、わたしが看護師になった頃には、湿潤させる方がいい、と真逆の治療が行われ始めました。今のキズパワーパットみたいなものでしょう。

新しいことが解明されると、昔の常識だって非常識、でも、昔のやり方をやっていたからといって、過去に遡って非難されませんが、知識のアップデートせずにいると罰せられるでしょう。

図鑑や専門書に書かれていることが全て正しいという訳ではない、本当に?と疑うことも大切です。もちろん、疑い過ぎても世間からはみ出てしまいますし、前に進めません。

素直さも大事ですし、疑問を持つことも大事です。

一番身近な存在なのに、一番知らない存在の自分、以前は心理学など色んな本を読んでは自分のことを知ろうとしました。

でも、自分のことを知る、理解しようとするのはいいけれど、自分にラベルを貼ることはやらないと決めています。

少し繊細で、神経質っぽいですよ、ちょっと切れっぽいですよ。精神的にヤバいですよ。これまで何度、そんなラベルを貼られたことかしら。

でも、こんな厄介な性格も個性だし、多様性です。気にしても仕方ないです。

それより、今週末からワクチン接種の支援が始まります。昼はやっぱり地元B級グルメのにら焼きそばかしら。


「西瓜食ふ酸いも甘いも人生かな」