猫のいる縁こ
今日は工房に行く日です。
現在、黒のチャッカブーツを作成中ですが、さすがに3足目となると、同じことを師匠に聞くのも憚られてしまいます。
つい要らぬ見栄も張ってしまい、自己判断で裁断した革をくっつけます。
縫製してから、右右、左左、同じ向きの革をくっつけていることに気づきます。
自分の足に合わせた、my-型紙を使って作るので、既製品の靴よりも細やかな調整がされています。
でも、間違ってくっつけたら、型紙が意味をなさなくなります。落ち着いて作業をしようと心に念じて、いざ参る。
今日もよろしくお願いいたします。
餅熱し凍てる畑の朝にゐる
(もちあつし いてるはたけの あさにいる)
季語は「餅搗き」、「餅」は関連季語です。ところが、俳句の上先輩より「凍つ」も冬の季語と添削がありました。
とりあえず、どちらも冬の季語です。ご勘弁願います。
ご飯を炊くのが面倒で、小腹を満たしたいな思ったときには、非常食として買い置きしてある、真空パックの餅を焼いて食べます。
熱い餅をふーふーしながら、霜の降りた畑のなかをうろちょろする猫を眺める、何てことない日常の朝です。
新品と銘打つスープ初笑顔
(しんぴんと めいうつすーぷ はつえがお)
季語は「初笑顔」です。
たまに行く台湾料理の店。前にも書いたが、どうしても「新品」が気になります。
おそらく日本語に不慣れな店員が書いたものだろうが、誰も突っ込みを入れないのかな。
わたしもまだ、突っ込めるほどの関係性でもないし、一人でほくそ笑んでいます。
「今日は手持ちが少ないき、中古でえいき」と言ってみたいもんです。
冬に病む真上ばかりも見飽きたり
(ふゆにやむ まうえばかりも みあきたり)
季語は「冬」です。
ちょうど冬に事故って入院。同じ頃に、日本では昭和天皇が病の床につき、連日、体重が何キロになったとスペインの新聞で伝えられていました。
最初は「首折れる天井ばかりも見飽きたり」としていましたが、季語が入りません。でもこちらの方が具体的でいい気もします。
冬になって、首の辺りの凝りが酷くなると、寝ている間に頭が横に向かないように、頭の両側に土嚢みたいなものを置いていたことを思い出します。
数年して、寝返りがうてるようになり、うつ伏せ寝ができた時は感動でした。
焦るまじリハビリ八年いぬふぐり
(あせるまじ りはびりはちねん いぬふぐり)
季語は「いぬふぐり」です。
正社員としてフルで働くまでの体力と自信を持つには、時間が掛かりました。アルバイトやらボランティアやらをしながら、「いけるんちゃう」と思えるのに8年近く。
36歳で久しぶりの新人になっても、そこから20年働いたらベテランです(笑)。
実証実験ではありませんが、何もせずに自己評価しようなんて難しいもんです。心も体もアルバイトやボランティアをやってみる。
社会と繋がりを持ちながらリハビリ、徐々に鍛えていきました。
いぬふぐりにわたしの思いを託しましたが、応えてくれるか、いぬふぐりよ。
早春の道端や庭や畑に咲いて、踏まれても、雑草として引っこ抜かれても、逞しく、淡い水色の花を咲かせるいぬふぐりが好きです。
餅を食う陽を恋う猫のいる縁こ
(もちをくう ひをこうねこの いるえんこ)
これも餅の句です。夏は涼しい場所を知っているし、冬は陽の当たる暖かい場所を知っているし猫です。
猫のいる場所を追いかけて、そこでぬくぬくしたお餅を食べるのは幸せな時間です。
縁側のことを「縁こ」と呼んでいましたが、これは標準語かな。でも、あたたかい響きが好きです。
行きつけの喫茶店を描きましたが、なかなか影の部分がうまくいきません。
費用対効果というのか、消耗時間効果で換算すると、二束三文の絵です。でも描いている時間は自画自賛の海に浸っていました(笑)。
帽子パンです。食べ物は美味しそうに描かないといけませんが、どうもパンの艶が出せません。それに、置いてある場所が不潔っぽいですね。
まだ賞味期限前で、十分美味しいですよ。