花びら餅
今月は、工房に行く日と仕事の日がダブったので、ほんの数回しか山に行けません。
でも山は雪が積もることがあるので、仕事がなくても、危機管理上はキャンセルするしかない日もあります。
本日は、今年初のものづくりの日です。思う存分、楽しんできたいと思います。
大服と花びら餅で手を合わせ
(おおぶくと はなびらもちで てをあわせ)
季語は「大服」です。
てっきり大福餅と同じく「だいふく」という呼び方と、勘違いしていました。
こんな風雅なお正月を過ごす我が家ではありませんが、福茶を飲みながら花びら餅を頂くなんて、今年一年の幸せは間違いないです。
あの世の両親の幸せを願って、福茶を淹れ、花びら餅を買ってきて、お供えでもしようかなあ。
まだ、やってないことをどう表記すればよいのか分からないので、「手を合わせ」と詠みました。
春まだき棚田に鍬を打つ老夫
(はるまだき たなだにくわを うつろうふ)
季語は「春未だき」です。
山道をドライブしていますと、まだまだ凍てついた棚田に、早くも鍬を入れている老人がいました。
お~い、脳卒中にでもなったらどうするの、と車窓越しにハラハラ。
秋には赤い彼岸花が棚田をとり囲み、見事な景観ですが、今はまだ荒涼とした雰囲気で、「じいちゃん、おとなしく正月しときや」と思わず言いたくなりました。
あらがえぬ時の流れや店終う
(あらがえぬ ときのながれや みせしまふ)
季語はありません。再開発やら感染症やら、どうにも、あらがえないことが起こります。
「もしも」と言って、過去に戻ることは出来ません。時間には決してあらがえないことを認め、今を大切に暮らしていきたいです。
日脚伸ぶ赤子のよふに猫と寝る
(ひあしのぶ あかごのように ねことねる)
季語は「日脚伸ぶ」です。
冬至(12月22日頃)を過ぎ、段々と昼の時間が長くなることをいいます。
猫のマール、陽当たりのいい場所を陣取り、座布団の上で気持ち良さげに昼寝をしていました。
それを見ると、こちらにも眠気が移ります。ふたりで赤子のように、昼寝をしました、という何てことない一句です。
寝るのが仕事です(笑)。
初明かり「まだこれから」と煎餅焼く
(はつあかり 「まだこれから」とせんべやく)
季語は「初明かり」です。
新年の番組で、ご高齢の職人さんが、一度は辞めた煎餅焼きをふたたび始めた姿を捉えていました。
何歳まで年寄りを働かせるん、と声を荒げる人もいますが、生産性とか度外視して、ただやりたいことをやる。
そんな風に、自分の速度で、自分の歩幅で、最期まで生きていけたら最高です。
「まだこれから」と、震える手つきで煎餅をひっくり返すしわくちゃの手指。働いてきた手だなあと思いました。
あまり旨そうな煎餅でないのが残念ですが、焦げた感じを出すのは難しいです。
ただ、カメラが食べ物と認識してくれたのは嬉しかったですね。三脚代わりの猫です。