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無花果
無花果や群がる蟻を吹いて食う
この季節、気になる果物といえば桃、でも、無花果も大好き。
田舎の家には、柿や無花果、金柑などの木が植えられていて、腹が空いたら勝手に取って食べるのが普通だ。
お金を払って店で買うという意識は薄いが、いつの間にか無花果の木は姿を消していて、最近は買わないと食べられない。
たぶん、剪定をするのが面倒と思った物臭な祖母が切ったのだろう。彼女には薔薇も桜も伐採対象にしか見えない。
隣の家には立派な無花果の木があって、手を伸ばせばすぐに取れそうだが、いくら道端に植えられた木でも、無断で頂くのは犯罪だ。近所を歩くだけで善悪の心を鍛えられる。
無花果が好きな理由、甘くて美味しいというのもあるが、割ったときの中身のツブツブと毒々しい色がたまらない。グロテスク、でも美味しい。そんなギャップも好きだ。
あと植物性エストロゲンを多く含み、更年期障害などの緩和にも役立つと聞くと、乱れたホルモンバランスを整えてくれて、穏やかにしてくれそうだ。
年齢を重ねるにつれて無花果が好きになってきたのだが、無意識に足りないものを補充しようと体が欲しているのだろう。
そんなことを思いながら他人の食生活を覗き見すると、その人を理解する一助になる気がする。
たかが「食」。でも、自分を作る食を大切にする人は、自分も他人も大切にする人だし、思いやりのある人に思える。
noteを覗いていても、自分の作った料理や、自分の食べた料理の写真を投稿している人がやたらといる。
最初のうちは、自分の食べるものをせっせと投稿する人の気持ちが分からなかった。でも父の介護を始めて、父の食べたものの記録を残すようになり、見方が変わってきた。
血液検査で父が栄養不足と指摘され、なんでやねん!という反抗心から始めた記録だが、写真を残していくうちに、父の健康についてより深く考えるようになったし、より丁寧に料理をするようになった。記録写真を撮らないといけないので、盛り付けも美しい。
何よりも、料理を食べてくれる人のために、有限の時間を文句も言わず使っている自分がいいなと思えた。
"生産性"という言葉が好きだったあたしは、無駄が大嫌いで、以前のあたしは料理をする時間は無駄と決めつけていた。
でも、違うんだよなあ。
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